人気の都道府県はどこ? 国内旅行市場の気になる行方を探る


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テロの影響で海外へ行くことを控える人が増えるなか、新幹線の開業ラッシュや、新スポットの誕生などにより、日本全国をめぐる楽しさが広がっています。

何より、「安」「近」「短」で楽しめる国内旅行は計画も立てやすく、またネットの情報を駆使すれば、満足のいく旅のスタイルが簡単に作れるのも魅力。
国内旅行が成熟するなか、市場はいかに変化していくのか──。その行方を探ります。
あわせて2016年のGWの動向を参考に、いま人気の都道府県もご紹介しましょう。
 

ゆとり旅を満喫し、人生を謳歌するシニア層

 
ここ数年の国内旅行の延べ旅行者数は、年間約6億人前後※(うち日帰り旅行は3億人前後※)、旅行消費額は18兆円前後※を推移しています。
日本人の旅行離れが懸念され、インバウンド需要に目が向けられがちですが、国内旅行は今でも巨大なマーケットといえます。※観光庁「旅行・観光消費動向調査」より

この国内旅行市場を牽引しているのが、時間とお金に余裕のある60代シニア層です。
同層は国内旅行の延べ旅行者数も、年間平均旅行回数も最も高く、まさに人生を謳歌しており、以下のとおり、パッケージ旅行費だけでも、他の世代との差は一目瞭然であることがわかります。

パッケージ旅行費(世帯主の年齢階級別年間支出金額)※総務省「家計調査」より
■30歳未満  2万9800円
■30代    2万9200円
■40代    4万5100円
■50代    5万3600円
■60代    6万9300円
■70歳以上  6万2700円

こうしたゆとりある旅スタイルを満喫するシニア世代と、SNS情報などを駆使して「安く」「実のある」旅行を楽しむ子育て世代。
この層の違いによって、今後、国内旅行の二極化がさらに広がっていくのは間違いないでしょう。
 

2016年、旅行するならどこの都道府県!?

 
では、どの地域が旅行先として人気なのでしょうか。
GW国内旅行の人気の都道府県を調べてみると、BEST10は不動と言えそう。

●1位 北海道  ●2位 東京都  ●3位 沖縄県
●4位 千葉県  ●5位 大阪府  ●6位 静岡県
●7位 長野県  ●8位 福岡県  ●9位 神奈川県 ●10位 京都府
※『じゃらん』2016年GW国内旅行動向

「北海道」は、3月26日に開業した北海道新幹線が低調と言われながらも、堂々1位。北海道新幹線の終着駅である「新函館北斗駅」から「函館駅」にかけて、函館市周辺は、いま特に活性化しているエリア。函館アリーナから大型商業施設まで開業ラッシュとなっています。

2位の「東京都」は、2012年の東京スカイツリー開業に始まり、復原工事を終えた東京駅丸の内駅舎、虎ノ門ヒルズなど、次々に新名所も誕生しており、新旧人気スポットを含め、新しい魅力を発信。
東京初となる世界遺産登録(7月)された国立西洋美術館にも多くの人が訪れています。

バカンスを楽しむなら外せない「沖縄」もまだまだ堅調。ゆったり流れる島時間に癒されたい、という人も多いのでしょう。

そして、「千葉県」も第4位。実質3年連続の値上がりにより動向が注目されるTDRも、やはり人気は衰えず、というところでしょうか。
 

では、前年比からの増加率を見てみると…

 
前年比増加率ランキング
●1位 宮城県176%   ●2位 茨城県164%   ●3位 愛知県154%
●4位 広島県153%   ●5位 徳島県152%
※『じゃらん』2016年GW国内旅行動向

2011年の東日本大震災から5年。観光地として底力を持つ宮城県が、前年比76%でトップ。仙台駅をはじめ大型商業施設のリニューアルも相次いでいます。「杜の都」と称される仙台の美しさも再認識され、観光客が戻ってきていることが分かります。

2位は、決して注目度が高いとは言えない茨城県が大健闘。これは一体何故……?と思われがちですが、つくばエクスプレスに乗れば、秋葉原からつくばまで最速45分。都心からも近く、名所も多いのですね。
最も人気なのは、ネモフィラで有名な国営ひたち海浜公園。四季折々の花が楽しめることでも有名です。つくばエクスプレスは、東京駅までの延伸が悲願と言われており、これが実行すればさらに観光客は増えるでしょう。

── 今後、少子化が進む中で、国内旅行産業は縮小に向かうとも指摘されています。
しかし、日本全国に広がる観光名所を「見たい」と思う気持ちは、消えるものではありません。今後の時代にあった交通インフラの整備、巨大マーケットを支えるシニア層が、より気持ちよく旅できるスタイルの提案が、国内旅行市場の動向を握っているといえるでしょう。
 
 

≪記事作成ライター:中村深雪≫
ライター。千葉県出身。4月より金沢在住。映画、舞台、飲食、住まいについての広告・取材記事や、著名人インタビュー、街歩きコラム等を手がける。関東から北陸に来て、日本の魅力を再発見。現在は幅広いジャンルで執筆中。


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