「FCチェーンに加盟してラーメン屋を始めようか」。 そう思ったら、“3分だけ”思い留まってみてください。


クラウドファンディング,ソーシャルレンディング,マネセツ

「商売を始めたい、そうだラーメン屋だ!」「だけどやったことがないから不安だ」「フランチャイズチェーンに加盟しようか」「だけど、あまりにもいろいろありすぎて、何を基準に選んだらいいのかわからない」……。こうした人は多いのではないでしょうか。

フランチャイズフェアなどに参加すると、あちらこちらから「うちは儲かりますよ」と声がかかります。
でも、待てよ。「そんなに儲かるならすべて自前でやればいい」が原則であるはず。
加盟する側はつい、つい自分のことだけで精いっぱいになってしまいがちですが、こうしたときにフランチャイズ本部はどうやってお金儲けをしているのか……という方向から見客観視すると、フランチャイズチェーン(以下FCチェーン)に加盟するメリットとデメリットが見えてくるはずです。
 

「儲かりそう」の前に冷静になるための3つの質問

  
「FCフェアで目立っていて、食べてみたらおいしかったから」
「FCチェーンの開発営業の人がしっかりしているから」
「本部が作った収支計画に無理はなさそうだから」……etc.

あなたがいい人であればあるほど、現状から逃げたければ逃げたいほど、上記のような理由で、すすめられるまま出店へと突き進んでしまいそうです。
でも、それではいけません。待ってください。以下の質問にぜひ答えてみてください。

Q.01/加盟金300万円って、オープン予定地の一番近所の個人経営のラーメン屋は払っていますか? 内外装工事費は、本部指定の業者ではありませんか?

Q.02/契約書に「食材は必ず本部から仕入れること」って書いてありませんか? で、その麺、一番近所のラーメン屋の仕入値と比べるとかなり高くありませんか?

Q.03/売り上げの5パーセントのロイヤリティって、利益の何パーセントですか?
 

隣の個人経営のラーメン店の2倍の利益を稼げるほど魅力的か

 
先に上げた3つの質問について、解説していきましょう。

Q.01への回答  加盟金と内外装費について
加盟金300万円。これは本部のまるもうけですし、親切そうな顔であなたに近づいてきたFCビジネスの紹介コンサルタントと、山分けしているケースもあります。
いずれにせよ、1店舗増えるたびに何もせずに入ってくる加盟金の存在は、本部にとって甘い蜜であることに変わりはありません。そして、内外装工事費、当然、本部にバックマージンが入る仕組みです。その上乗せ分を誰が払うのか? それはあなたなのです。

Q.02への回答  食材供給について
Q.01だけで、隣の個人店がオープンする時と比べてFCチェーンに加盟する場合は、何百万円も余計に出費していることがおわかりいただけたと思います。
そしてさらに食材。当然のように本部のマージンが上乗せされています。本当に売れているFCチェーンなら、実はこの食材供給だけで莫大な利益が出ているのです。

Q.03への回答  ロイヤリティについて
いわゆるのれん代ですね。「5パーセントなんて大したことない」と思いがちですが、月間300万円の売の上げがあるお店の利益率(食材原価、人件費、水光熱費、家賃等を引いた残り)が10% = 30万円だったとします。
その時のロイヤルティは300万円×0.05=15万円。なんと利益の半分がロイヤリティということになってしまうのです。

よく、開発営業マンは、「FLコスト」という言葉を出してきます。
これは「フードアンドレイバー」の略で、食材費と人件費を足したコストのこと。
このFLコストが55%以内ならFCチェーンに加盟しても十分に利益が出る、というような説明をされます。妙に納得してしまいそうですが、この55%という数字。出すのは至難の業だと、実際に飲食チェーンに加盟して失敗したことがある筆者は思います。
いずれにせよ、FC本部が作ってくる「収支モデル」には、多くの数字のマジックが隠されているので要注意です。
 

自身の目で見極め、納得してから出店の判断を

 
賢明な読者のみなさんはもうお分かりになっていただけたと思います。
結論は、この章の見出しの通りです。

FCチェーンに加盟してオープンしたラーメン屋は、個人店のラーメン屋よりも、
○何百万円(時には何千万円)も余計に出店費用をかけ、その回収をしつつ、
○永遠に上乗せされた食材費を払い続け、
○その上、ロイヤリティというのれん代まで払い続けなければなりません。
そしてこれを成り立たせるには、軽く2倍の利益は稼がないとお金は回っていかないのです。

しかし、私が言いたいことは「だから、飲食のFCチェーンに加盟するのはやめておきなさい」ということではありません。
FCチェーンに加盟して成功しているラーメン屋のオーナーさんは。世の中に少なからずいらっしゃいます。
ですから、どうせ独立するなら、
「個人店の2倍稼げるほど魅力あるお店をつくることができるかどうか」をぜひ、自分自身の目で見極めて、納得してから出店の判断してほしい……。これが私のお伝えしたいことです。
 
 

≪記事作成ライター:前田英彦≫
大手情報サービス企業に11年間在籍後、独立。数々の創業経営者との仕事に触発されて、企業の広報活動を支援する会社を設立、現在18期目を迎えている。「レジを打ったことのない人間に小売りの何がわかる!」と言われたことがきっかけで、なぜかたい焼き屋も展開中。好きなもの。ダルメシアン、テニス、ゆで卵。


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