毎食後の歯のブラッシングが、増え続ける医療費抑制を可能にする!?


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2016年9月に厚生労働省が発表した「国民医療費の概況」によると、平成26(2014)年度の国民医療費は40兆8071億円でした。

超高齢化に伴い、国民医療費は年々増加傾向にあり、今回の数字は前年度から約2%、10年前からは約23%もの増加となっています。
そんな中、心臓や肺といった循環器系の疾患、糖尿病、脳の疾患など全身の臓器に対して歯の細菌が深い影響を与えていることが近年の研究で分かってきました。
── もしかしたら、歯の健康を意識することが医療費抑制の特効薬になるかもしれません。

 

日本のサラリーマンは、医療費を稼ぐために働いている!?

 
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冒頭に挙げた平成26(2014)年度の国民医療費は、国内総生産(GDP)に対する比率が8.33%、国民所得(NI)に対する比率が11.20%となります。1カ月が1年の8.33%ですので、生産ベースでちょうど1カ月分、所得ベースではそれ以上のお金が医療に使われているということです。

もはや日本のサラリーマンは、医療費を稼ぐために働いていると言っても過言ではありませんが、表①を見るとわかるように、GDPやNIに対する比率も年々増加しており、この傾向は今後も続くものと考えられます。
なお、医療費の内訳は表②、表③にある通りで、医科が大半を占めて次に薬科、歯科、その他という割合順序になっており、さらに医科の中では内科が半分近くを占めています。

 

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近年の研究で分かった、“一般人も歯が命”

 

表②の診療種類別のうち、「歯科診療医療費」は2兆7900億円で医療費全体の6.8%に過ぎませんが、この歯の健康状態こそが、肺炎、脳や心臓の疾患など全身の様々な病の原因となっていることが、近年の研究でわかってきたそうです。

実際に筆者の身近でも、歯の細菌が原因で脳梗塞になってしまった友人がいました。幸いその友人は大事には至らず、目立った後遺症も残りませんでしたが、のちのち脳梗塞の原因が歯だったと聞かされたときは本当に驚きました。

今から20年ほど前に「芸能人も歯が命」というキャッチコピーで一世風靡した、歯磨き粉のテレビCMがありましたが、文字通りの意味でどんな人にとっても“歯が命”だったのです。

 

ギネスも認める世界最多の病気・歯周病

 

歯の二大疾患と言われているのが、虫歯と歯周病です。
両者の違いは原因菌にあり、歯そのものを溶かしてしまうのが虫歯の原因菌(ミュータンス菌など)であるのに対し、歯周病の原因菌(プロフィロモナスジンジバリス菌など)は歯と歯茎の隙間に入り込み、歯の周囲の組織を溶かしていきます。
また、成人の罹患率は虫歯が約40%で、歯周病に至っては約80%にものぼります。歯周病の罹患率の多さは世界共通で、「全世界で最も患者が多い病気は歯周病」とギネスブックに認定されるほどだそうです。

そして先述の「全身の様々な病の原因」となるのは、圧倒的に罹患率が高い歯周病のほうです。細菌の塊(プラーク)が歯周ポケットから歯肉に入り込み、毛細血管や心臓を通って全身に送られ、感染した血液は血栓ができやすくなるのです。

歯周病には虫歯のようなズキズキとする激しい痛みがないので、診察や治療を後回しにしがちかもしれません。成人の約80%が罹る病気なのに、歯科診療医療費は6.8%しかないというデータを見ても、その現状がうかがわれます。しかし、 “後まわし”が命取りとなる可能性が十分にあることを忘れてはいけません。

 

虫歯もあなどってはいけない!

 

さきほどは歯周病の怖さに言及しましたが、虫歯のほうも「たかが虫歯」とあなどってはいけません。虫歯が進行すれば、歯周病の細菌が取りつく“歯と歯茎の隙間”を広げることになります。虫歯と歯周病は切っても切り離せない関係にあるのです。

これまで虫歯の治療といえば、神経を取り除いたうえで被せ物をするのが一般的でした。しかし神経を取ってしまうと歯に栄養が送られなくなるばかりか、抵抗力が弱くなって虫歯になりやすくなってしまいます。また痛みを感じなくなってしまうので、歯周病と同じように知らないうちに症状が進行してしまう危険もあります。

そこで最近になって「MTAセメント」と呼ばれる材料が開発されました。
強力な殺菌力と封鎖性を持つMTAセメントを使うことで、神経を取らなくても虫歯が治せる可能性があります。ただし、どんな虫歯でも使えるわけではないので必ず専門医に相談することと、使用の際は保険適用外となるので費用が高額になります。

被せ物は金属(金、銀)、プラスチック、セラミックと素材によって違いがあります。
 

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銀歯などの金属製の被せものは、歯との間に隙間できてしまい虫歯や歯周病の原因菌が入り込む危険性があるため、あまりおすすめできません。

「とはいえ、セラミックは高い」という方には、ハイブリッドセラミックがあります。その名の通り、プラスチックとセラミックをかけ合わせた素材です。「小臼歯の冠の治療のみ」と限定的ではありますが、保険が適用されるのでオールセラミックよりも安く治療が行えます。

 

最も効果的なのは毎食後のブラッシング

 

一方、歯周病の治療は進行を食い止めるためのブラッシングで細菌除去しかありません。一度壊れてしまった組織はもう取り戻せないからです。

だからといって落胆することはありません。歯垢がしっかり取れるだけでも炎症は鎮静しますし、何といっても歯周病でいちばん怖いのは歯周ポケットが入口となって細菌が全身をめぐってしまうことなので、細菌さえ除去できればその可能性は低くなるからです。

プラークができるのは食後8時間と言われていますので、毎食後のブラッシングを習慣づけることが、結局のところ最も効果的な歯周病の治療法と言えそうです。そして、それは同時に虫歯や歯周病の予防、ひいては全身の臓器の疾患予防にもつながります。

── 記つまるところ、国民一人ひとりに食後のブラッシング習慣が根づけば、増え続ける医療費を抑制することができるかもしれません。この記事を読んだ方はぜひ、今日からご自身のために、そして日本のために、毎食後のブラッシングを実践してみてください。

≪記事作成ライター:水野 稔≫ 
1977年名古屋市出身。大学卒業後、編集プロダクションで旅行代理店情報誌の編集者として活動後、Web技術を独学で習得し、2006年にWeb制作会社に転職。ディレクターとしてさまざまな案件に携わり、2011年に独立。


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