「チケットをネットオークションで販売」は、ダフ屋行為と何が違うのか


 

テニスが大好きな筆者は、毎年、有明コロシアムで行われる楽天オープンジャパンを観に行きます。

ところが昨今、錦織圭人気の高まりによってチケットが非常に取りにくくなってしまいました。
どうしても入手したければ「チケットキャンプかヤフオクか……」と思いのぞいてみると、「行くつもりだったのですが、どうしても行けなくなりました」と書き込みがあり、定価の2倍以上の売り値をつけている出品者が多数います。
このとき、「どうしても行けなくなりましたって、ほんとかよ」とつい突っ込みたくなりますが、今回は、以前から気になっていた、「チケットのネットオークション販売って、ダフ屋行為と何が違うの?」について調べてみました。

 

ダフヤ行為を取り締まる国の法律はない

 

先に書いた「どうしても行けなくなりました」ですが、まず“うそ”とみなしてよいでしょう。いや「うそだ」と断言してもいいと思います。なぜなら、同じ日の同じ時間にまったく違う席で、何十枚も出品しているからです。さらに、出品者の過去の取り引きを見ると、様々なイベントのチケットばかり出品しています。これは、明らかに転売目的で購入しています。「これって違法じゃないの?」と素朴な疑問が湧きます。
そこで、法律を見てみましょう。
まず驚く点は、ダフ屋行為の禁止についての国の法律は実はなく、自治体ごとに条例で定めているのが実情です。以下、東京都の場合をご紹介します(表①参照)。

 


 

 

 

条例違反を証明するのは、意外に難しい!?

 

簡単にまとめると……、
迷惑防止条例では、「当初から転売目的でのチケットなどの購入」と、「公共の場所でのチケットなどの販売」をダフ屋行為と定めている、ということですね。

ただし、「購入」の場合、
〈1〉 不特定の者への転売目的  〈2〉公共の場所での購入
「販売」の場合、
不特定の者への公共の場所での販売の条件を満たす必要があります。

以下に二つの事例を挙げます。

 
【事例1】
2005年に、愛知万博で大人気になった、「サツキとメイの家」の予約券をめぐる出来事です。
もともと無料であった予約券でしたが希望者が殺到し、大変なことになりました。以下、当時運営者だったスタジオジブリのコメントです。
「電話を利用したチケットゲッターの存在も浮かび上がってきました。電話が自動音声対応なのを利用して、プログラムを組み、電話がつながると同時に一瞬でチケットを大量に取ってしまうのです。そして、これらのチケットは即「Yahoo!オークション」に出品され、一枚あたり平均3000円くらいから、高額なものでは4枚で16万8000円という異常価格で売買され始めました」

【事例2】
同じく、2005年にプロ野球の巨人戦チケットを、名古屋市内のプレイガイドにおいて、転売目的で236枚購入し、インターネットオークションで売りさばいた。元巨人軍応援団のケース。

【事例1】の場合、電話予約 → 売りさばきを繰り返し、かなりの利益を上げたうえ、他者の予約を阻害したことは明らかで、スタジオジブリが激怒したにもかかわらず、なんと!条例の適用は見送られたのです。当時の解釈では、「予約券が無料で購入されていない」「インターネット上は公共の場とは言いきれない」という結果でした。
それに比べて【事例2】は、プレイガイド=公共の場での購入が決め手になって逮捕に至りました。

さらに、ヤフーオークションを見ながら、「これってありなの?」と筆者が常日頃思っている、「花火大会当日の近隣ホテルの予約権売ります」という告知。
これってひどい場合、電話しまくって部屋をおさえるだけですよね。清算は宿泊当日ですから。これも、ホテルの宿泊代金をやり取りしているわけではなく、あくまでも「予約した」という権利なので、迷惑行為条例違反を問うのは難しそうですね。
ホテルに対する営業妨害なら成り立ちそうな気がするのですが……。あるいは、予約者名で宿泊する必要がありますから、「偽名で宿泊」ということにもつながりますね。

 

チケットのネットオークション=悪ではない

 

今まで、ネットオークションでチケットを取り引きすることの、「負の部分」ばかり取り上げてきましたが、必ずしもそうではありません。
世の中には、「多少、余計に手数料を払っても、どうしてもあのコンサートには行きたい」というニーズは確かにあるでしょうし、そこで値段が決まることはある種、市場原理ということも言えます。

チケットキャンプに代表されるチケットのネットオークション市場が今日現在も存在し、そこでは定価以下で取り引きされているチケットも多くあることは、一方で厳然たる事実です。どうしても行けなくなった人と、どうしても欲しい人の懸け橋にもなっているでしょう。
要は「買い占め」「ぼろ儲け」「やりすぎ」というような、行為が庶民感情として許せない、ということをどう処理すればいいのか、ということでしょうか。

≪記事作成ライター:前田英彦≫
同志社大学工学部(現理工学部)出身。株式会社リクルートに11年間在籍、広報室マネジャーなどを経て独立。数々の起業家、創業経営者との出会いを通して、日々成長中。独立時に設立した会社は現在18期目を迎えている。「『レジを打ったことのない人間に小売りの何がわかる!』と流通業の顧客に言われて悔しかったことがきっかけで、たい焼き屋も展開。大学を卒業して30年。突如理系仕事に目覚め、最近では製造業の職人になってしまったという噂も。ダルメシアン、テニス、ゆで卵を愛す。


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