専業主婦がお金を借りたいとき、借入先は身内や友人以外ないのか?


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「女性の活躍」促進以前の、平成22(2010)年の内閣府調査による「第1子出産前後の妻の就業変化」によると、表の通り女性全体における就業者率(ピンク&オレンジ)は30%未満で横ばい。

この数字からは、出産を機に退職を決断した女性や、出産・育児の節目に直面しても、仕事や育児・家事に奮闘する“ワーママ”たちの姿が透けて見えます。
さらに「出産を機に退職」する女性(黄)が増加傾向にある反面、専業主婦(紫)の割合は減少していることがみてとれます。
これまで様々な角度から「専業主婦」について考察してきた第3回目は、「専業主婦」をはじめとする自ら収入を得ていない人が借財を負ってしまったとき、どこから急場のお金を工面したらよいか、を考えます。

 

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泣きつく先は、身内や友人しかないのか?

 

今記事では「専業主婦」と表現しているものの、専業主婦とひとくくりに言っても、潤沢な生活費(小遣い)がある人とそうでない人など、人それぞれ。そうした背景からも今記事では、「専業主婦」を「自らの居住空間を有してはいるものの、自ら収入を得ていない人」の代表格として進めていきます。

人は誰しも思いもよらぬ突発的な事態・事故等によって、急場のお金が必要になることがあります。同じく、無収入の「専業主婦」や「ニート」が詐欺に遭って借財を負ってしまったとき、やはり泣きつく先は身内や友人しかいないのでしょうか。
現在の日本では「収入を得ていない人には、銀行などの機関はお金を貸してくれない」……といった考え方が一般的ですが、具体的な借入先や借入方法に触れる前に、まずは「総量規制」という言葉に目を向けてみましょう。

この「総量規制」は、言葉として聞き慣れないため難しく感じられますが、2006年に成立した「貸金業法」が、2010年に「改正貸金業法」として改定される際に「総量規制」のルールが加わった経緯があります。
そして、この規制のルールはいたってシンプル。「銀行を含まない消費者金融、信販・クレジット会社等の総称である〈貸金業者〉からの借り入れ制限」は「年収の3分の1まで」というものになります。
要は、「総量」 =「借入可能額のMAX」であり、現在は老若男女問わず年収の3分の1までしか借り入れできないことが「貸金業法」によって定められているのです。
ここまで読むと「年収の3分の1まで」であれば、「自ら収入を得ていない人」には無縁のものと思われますよね。ところが、「専業主婦」を対象とした「配偶者貸付け」があることをご存じでしょうか。

 

総量規制=年収の3分の1を超える借り入れはできない

 

次に「総量規制」を具体的な数字に置き換えてみましょう。例えば……、
借りる側 ➡ 年収300万円の人なら、貸金業者から100万円以上の借り入れ
       はできない
       また年収300万円であっても、貸金業者からすでに100万円の
       借り入れがある場合は、新規でお金を借りることはできない
貸す側  ➡ 消費者金融、信販・クレジット会社等の貸金業者は、借りに
       きた人の年収が公的書類等で証明され、さらにその時点での
       借入金と照らし合わせたうえで、年収の3分の1を超える
       お金を貸してはならない

でもなぜ、こうした規制ができたのでしょう。
それは、債権者が消費者金融、信販会社、クレジット会社などの貸金業者から、年収の3分の1を超える借り入れができないように定めることで、債権者への過剰貸付を防ぐことにあるとされています。

※車や住宅のローン、高額医療費の貸付等は「総量規制」の除外借付となります
※クレジットカードでの借り入れ(キャッシング=貸金業法に基づく)は「総量規制」の対象となりますが、クレジットカードを使用した商品購入(ショッピング=貸金業法適用外)は「総量規制」の対象外。さらに、貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超えた場合、新たな借り入れができないなど細かなルールがあります。

 

消費者金融、信販系等の貸金業者から専業主婦が借り入れする場合

 
 

前置きが長くなりましたが、この「総量規制」の中に専業主婦を対象とした貸金業者による例外の貸付け「配偶者貸付け」があります。これは収入のない専業主婦でも、消費者金融、信販・クレジット会社等の貸金業者からお金を借りることができることを定めたもの。日本貸金業協会のHPに「配偶者貸付け(例外の貸付け)」について記されていますので、ここに引用します(図参照)。
 

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「配偶者貸付け」を読んで、「収入がない私(専業主婦)でも貸金業者からお金を借りられるんだ」と思った人も多いことでしょう。でも、そう思った方は次の点に気をつけてください。
それは、表中に赤字で示した「配偶者の同意と配偶者(夫婦関係)であることを証明する書類が必要」の一文にあります。要は、専業主婦が消費者金融、信販・クレジット会社の貸金業者からお金を借りる際に「夫に内緒」という事情を抱えていては、まずお金を借りることはできない……ということなのです。

 

夫の了解をとり、書類は完璧でも断られてしまう!?

 

前項で、「夫に内緒」でお金を借りられるシステムにはなっていない【ひとつめのからくり】を述べましたが、これに加えて「配偶者貸付け」には、【もうひとつのからくり】が存在するのです。
その【ふたつめのからくり】とは何でしょうか。

それは、「配偶者貸付け」では、無収入の主婦であっても「夫の同意を証明するもの」と「夫婦関係を証明する書類」があれば、貸金業者にて夫の年収の3分の1の「借り入れが可能」と明文化されている部分にあります。
しかし、明文化されているにもかかわらず、現在ではほとんどの貸金業者で「配偶者貸付け」を行わなくなってしまっているという現実こそが【ふたつめのからくり】なのです。

実は「改正貸金業法」が施行された2010年以降、要件を満たした専業主婦に貸付を行っていた貸金業者もしばらく存在していたのですが、「配偶者貸付け」は通常貸付より手続きが複雑な点に加え、総量規制以上の貸付を行った場合は行政処分の対象となってしまうことから、今日では「夫の了解をとり」、さらに「書類を万端用意して」、いざ貸金業者の窓口に行っても、実際には断られてしまう(借りられない)ケースがほとんど……とされているのです。

 

やはり、専業主婦はお金を借りられないのか?

 

【ふたつのからくり】が理解できたところで、「自ら収入を得ていない人」がお金を借りることは無理なんだ……と思いきや、意外と身近なシーンで「総量規制の対象外」としてお金を借りられる方法があるのです。

それは、大手ネット銀行のカードローン。最近、CMなどでもよく目にしますね。

先にあげた「総量規制」は消費者金融、信販・クレジット会社等の貸金業者を対象とした規制であり、銀行法には「総量規制」が存在しません。よって銀行は独自の審査に基づき、借入者の返済能力と照らし合わせながら、年収の3分の1以上の借入れを受け入れてくれる場合があるのです。

こうした銀行のカードローンであれば、自ら収入を得ていない人でも申し込めますし、「借り入れ返済のATM手数料の無料「毎月の返済は◯千円から」「利用明細はWEBで確認可能」「口座不要」「低金利」「◯万円まで◯日間無利息」などの様々なメリットを受けられ、最初に定められた限度額の中での借り入れが可能となります。

しかし、安易に申し込み可能だからといって、夫や家族に内緒の借財はトラブルのもと。ウソがウソを招き、のっぴきならない状態に陥ってしまうこともありますし、借り入れを急ぐ切羽詰まった心の有り様は、表情や言動にも現れやすく、自らつけこまれやすい状況をアピールすることになりかねません。
実際に「うちは安心ですよ…と笑顔で近寄ってきたヤミ金に、法外な利息を取られた」という事例も報告されていますので、くれぐれも突発的な事態に見舞われないよう、さらに、仮に見舞われたとしても熟慮のうえ行動したいものです。

≪記事作成ライター:岩城枝美≫ 
東京在住。大手情報サービス企業を退社後フリーランスに。二十年余にわたり、あらゆるジャンルの取材・執筆、ディレクションに携わる。


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