カードローン契約。銀行側にすれば、全額借金しているのと同じ!?


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筆者は、小さな会社を20年近く経営しています。そのうち15年くらいは、銀行さんとのおつきあいが欠かせなくなっています。

これはつまり借金ですね。法人として借り入れをしていると、「おつきあい」という言葉のもと、銀行さんはいろんなお願いをしてきます。
逆に、こちらには「借金をしている」という弱みがあるわけですが、銀行さんからのお願いをすべて「はいはい、わかりました」と聞いていると……。

 

カードローン契約で、住宅ローンの金利が下がる?

 

筆者は50代。住宅ローンが完済まであと10年ほど残っています。
よく、「おつきあい」で話題にのぼるのが、この「住宅ローンの借り換え」です。筆者の住宅ローンは、住宅金融公庫など公的機関からの借り入れですが、固定金利で3.5%。今どきの金利と比べるとずいぶん高いといえます。しかし、住宅ローンの残り期間と残高から考えると、借り換えをしてもメリットが出るかどうか微妙なところ。
しかし、どうしても自分のところで借り換えさせたいA信用金庫さん。「うちのカードローンを契約してくださるだけで、住宅ローンの金利がもっと優遇できます。ですから作っておきませんか」と言ってきたのです。

「契約してほしいけど、使ってはいけない」って?

 

さらにA信用金庫さんは、ちょっとおかしなことを言ってきます。「このカードローンは金利が高いし、リボ払いでの返済が原則で、使うと2倍くらい返済しなくてはいけなくなるので、絶対に使わないでください、契約だけでいいんですから……」と。
おっしゃることは筆者にすれば当然のこと。つまり、法人でお金を借りている分、個人の信用情報は身ぎれいにしておきたいですから。そこで、「まあ、日ごろお世話になっているし、使わなければいいんだし……」ということで、申込書を書いた筆者。

 

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後日、「お待たせしました! 枠いっぱいの○百万円まで借りられることになりました、滅多にいらっしゃらないんですよ、こんなに枠を確保できる人って……」と担当者氏はなんだかうれしそうです。

もとからカードローンを使う気はまったくなく、住宅ローンの金利を下げるためだけの目的だった筆者にとっては、それはどうでもいい話。でも、担当者氏がどうしてそんなにうれしそうなのか不思議に思った筆者は、「まったく使いませんよ、このカードは」と念押ししたのです。それに対して、「はい、使わないでください」と言った担当者氏は、それでもなんだかうれしそうなのです。

 

カードローン契約は、他行への防衛策だった

 

またまた後日。別のB銀行の担当者が「実は個人のカードローンを~」と切り出してきました。立て続けの話に、筆者は「またですか? 先日もA信金が」という話をしたところ、担当者氏は、「うーん、やられましたね」と言うではありませんか。何がやられたのか、こちらにはさっぱりわかりません。担当者氏の説明は以下のようなものでした。担当者氏の言葉を思い返して記述します。

「── 社長が1円もお金を借りていなくても、銀行が共有している信用機関では、〈ローンカードを持っている=いつでも借金ができる=借りているのと同じとみなされる〉ことになります。先にその枠をA信金さんに取られてしまったら、私たちが住宅ローンの借り換えをお勧めしようと思っても、今までとは違って、住宅ローン+A信金さんのカードローンの極度額が、社長が借り入れされている総額となります。そこからローン返済比率、つまり年収に占める年間の返済比率をはじき出さなくてはならないのです。ところがA信金さんは、社長がカードローンを使わないことを知っているし、極端な話、いつでも解約させることもできます。なので、住宅ローンの審査に影響をおよぼさずにすむわけです。これは他行に介入させないための作戦なんですよ ──」。

 

銀行も儲けを出すために必死だった

 

担当者氏の説明は、筆者にとってショックでした。カードを作っただけで「借りているのと同じだ」なんて……。素直にそう言葉にした私に対して、B銀行の担当者はこう言ったのです。
「そうでしょう、今すぐA信金のカードローンを解約しましょうよ、どうせ使わないんですから」
「A信金の担当者氏は、カードローンの契約を取っただけでポイントになっています。解約されてもそんなに大きなダメージはありませんよ、そんなものですから」

自行のカードローンのパンフレットを見せながら、B銀行の担当者はそう言ってくるではありませんか。いくら私がお人好しだったとしても、もうその手にはノリませんよね。
「しかし、銀行の営業も大変ですね。法人営業の担当者が、すでに法人を個人保証している代表取締役に対して個人ローンも薦める、いったい何がしたいのやら」と皮肉を言う私に対して、「低金利が続くうえに、法人は借り手が減っています。銀行もどこかで儲けを出さなくてはいけないわけで……」と担当者氏はうつむくのでした。

 

リフォームローンも教育ローンも、名前が違うだけ

 

B銀行の担当者氏によると、「ローン返済比率」を割り出す際には、住宅ローンをはじめ、リフォームローン、マイカーローン、教育ローンなど、その人が抱えるすべてのローンが合算されるそうです。要は、名前を変えても借金は借金。金融機関からすれば、まったく同じものなのです。
この件があって、筆者の住宅ローン借り換え熱は一気にしぼんでしまいました。昨今は、「まぁ、そんなにメリットはないし、このままでいいか」と自分に言い聞かせています。

≪記事作成ライター:前田英彦≫
同志社大学工学部(現理工学部)出身。株式会社リクルートに11年間在籍、広報室マネジャーなどを経て独立。数々の起業家、創業経営者との出会いを通して、日々成長中。独立時に設立した会社は現在18期目を迎えている。「『レジを打ったことのない人間に小売りの何がわかる!』と流通業の顧客に言われたことがきっかけで、たい焼き屋も展開。大学を卒業して30年。突如理系仕事に目覚め、最近では製造業の職人になってしまったという噂も。ダルメシアン、テニス、ゆで卵を愛す。


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