目的地までの「相乗り」。この新しい考え方は日本に定着するか〈その1〉


クラウドファンディング,ソーシャルレンディング,マネセツ
 

「一般の人が自家用車に他人を乗せて、目的地まで送り届けて報酬を受け取る」……。

日本では考えられないこのようなサービスが、世界70カ国、450もの都市で展開されていることをご存じでしょうか。このサービスを提供するのは、アメリカのウーバー・テクノロジーズという会社です。言い換えれば「相乗り」とも言えるこの考え方、今後、日本で定着する可能性はあるのかを探ってみました。

 

日本では、白タク行為にあたる!?

 

Uberは2009年3月に、アメリカのサンフランシスコでハイヤー・タクシー等の即時手配サービスとして創業しました。クルマに乗りたい人と一番近くにいる空車のタクシーをマッチングさせます。リアルタイムで空車状況が表示されるうえに、アプリにクレジットカードを登録するため、支払いの手間もかかりません。一方、システム提供者のUberはドライバーから決められた料率で報酬を得ます。

しかし、現在、Uberのサービスの中で、世界中で支持を得ているのは、一般ドライバーが自家用車で運転する『uberX』と呼ばれるサービスです。これは、スマホからすぐにクルマを呼べる便利さ、料金の安さが受けて、創業6年で世界中に事業展開しています。さらに日本においても、Uberは2014年8月から、東京都内全域で本格的にタクシーの配車サービスを開始しています。
そして2015年2月には、福岡市において一般人が自家用車で運送サービスを行う「みんなのUber」のテストを開始しましたが、国土交通省が「自家用車による運送サービスは白タク行為に当たる」と指摘が入ります。サービスを中止するよう指導が入り、同年3月にサービスを中止しました。

 

日本にもあった! ライドシェアというサービス

 

もうひとつ、日本には、notteco(のってこ)という“長距離ライドシェア”を謳うサービスがあります。これは、あらかじめ運転免許証等、身元を登録した一般の人が、長距離を旅するときに、同乗者を募るものです。ここまで読んで、ほとんどの読者のみなさんは、多くの疑問がわいてくるはずです。

1.これはどうして、白タク行為ではないのか?

ライドシェアという言葉に大きな意味があります。日本語で言うと相乗りですね。“シェア”ですから、誰かが特別儲けるのではなく、「かかる経費を分け合う」という考え方をとっているわけです。「報酬を受け取るわけではないので、白タクには当たらない」という解釈です。

2.見ず知らずの他人のクルマに長時間乗るなんて、絶対危ない!

その通りです。当然です。その疑問を払拭するために、写真や運転免許の種類、Facebookの友達の数などの登録、実際に乗った人からのレーティングとコメント、女性限定のドライブ等々、様々な対策が取られています。評価コメントを読むと「ドライブ中の会話が人生勉強になった」「楽しかった」など、前向きのコメントがあふれています。
また、200回を超えるドライブ履歴があるドライバーもざらで、評価は最高の5.0をもらっているドライバーがほとんどです。これは、「ドライブをともにした人に低い評価をつけにくい」という心理が働いているのか、あるいはもっと違う何かがあるのか、そこは筆者にはわかりません。ただあえて負の側面を考えると、上記以外にも、

「高速を利用するということで、事故が起きた時にどうなるかが不安」

「それでもナンパ目的にする人がいるんじゃないか」

「白タクではない」とは言うものの、短期間の間に長距離ドライブを繰り返す人は、やはり利益をあげることを目的にしているのではないか……など、疑問が次々とわいてくるのも事実です。

 

楽天が3億ドルを出資!?

 

さらに、このNottecoというビジネスモデル、現在の経営者が3人目ということで、何度か身売りを経験しているようです。その理由は想像に難くなく「どこで利益を得るか」という問題が根本的に解決されていないからだと考えられます。ドライバーや同乗者に課金すれば、「それは白タク」と言われるでしょう。サイト運営自体で広告費を得るにはまだまだ我慢が必要でしょう。

── 気になる動きとしては、アメリカで、ライドシェアリングサービス大手Uberのライバルとして、しのぎを削る「Lyft」に対して、2015年に楽天が3億ドルを出資しました。
日本上陸を本格的に狙っての動きかどうかはわかりませんが、「儲かる」と踏んだからこそ、あの楽天が出資したことだけは間違いありません。今後の展開が気になるところです。

≪記事作成ライター:前田英彦≫
同志社大学工学部(現理工学部)出身。株式会社リクルートに11年間在籍、広報室マネジャーなどを経て独立。数々の起業家、創業経営者との出会いを通して、日々成長中。独立時に設立した会社は現在18期目を迎えている。「レジを打ったことのない人間に小売りの何がわかる!」と流通業の顧客に言われたことがきっかけで、たい焼き屋も展開。大学を卒業して30年。突如理系仕事に目覚め、最近では製造業の職人になってしまったという噂も。ダルメシアン、テニス、ゆで卵を愛す。


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