使うみんなで“監視”し合うから信用できる。 ドルでもない、円でもない、“仮想通貨”の時代!


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2016年3月4日、政府は仮想通貨を「不特定の者と売買でき、電子的に移転できる財産的価値」と定義する資金決済法改正案を閣議決定しました。

日本銀行も、3月17・18日に「リテール決済の新潮流―イノベーションと拡大するリテール決済のフロンティア―」と題した「決済システムフォーラム」を開催し、大手銀行、証券会社、システム会社、ポータルサイト運営会社、取引所運営会社などが参加する中、「日銀も情報発信を強化し、関係者をつなぐ触媒の役割を果たしていく」と表明しました。

日本でもいよいよ仮想通貨が決済手段として公に認められることになり、これから本格的に普及していくと思われます。
 

ネット上でいろいろな人と決済できるバーチャルな通貨

 
“仮想通貨”とは何かというと、日本の“円”やアメリカの“ドル”、EUの“ユーロ”などのように、特定の国の通貨として保証された価値を持たない通貨のこと。

欧州銀行監督局では、「デジタルな価値の表現で、中央銀行や公権力によって発行されたものではないものの、一般人にも電子的な取り引きに使えるものとして受け入れられたもの」と定義しています。日本政府の場合は、冒頭で触れたとおりの定義をしたわけですね。

平たくいえば、「ネット上でいろいろな人と決済できるバーチャルな通貨」という感じでしょうか。

ただし、ネットバンキングやクレジットカードもネット上でいろいろな人(事業者)と決済することができますが、これは仮想通貨とはいいません。あくまでも“円”などという実際の通貨による決済を、紙幣やコインではなく電子的に置き換えてやっているに過ぎないからです。

仮想通貨に国家は関係なく、その利用者の間の仮想通貨に対する信用で成立しているところが大きく異なります。
仮想通貨と一口にいっても、その種類は200種類くらいあるようです。
代表的存在の“ビットコイン”(ほかに“リップル”や“ライトコイン”なども有名です)は、2016年3月現在、約7,300億円分が流通しており、2位の15倍ほどと圧倒的です。
 

“金”のように“採掘”する!?

 
では、ビットコインのしくみはどうなっているかというと、“金(きん)”に例えるとわかりやすいかもしれません。

金は地球のどこに埋まっているかよくわかりませんが、埋蔵量には限界があります。
すなわち有限なので一定の価値が担保されています。

また、金はどこかの政府や中央銀行が価値を保証しているわけではなく、世界中の人がその価値を認めていることにより、価値があるわけです(これを“市場価値”といいます)。

金は市場で取り引きされますが、価値は需要と供給の関係で決まります。これを“相場”といいますね。

ビットコインは、この金のような価値を持つ電子情報をP2P(ピアツーピア:多数の端末間で対等の者同士が通信を行うアーキテクチャー)の決済ネットワークでやり取りしているわけです。

まず、日本銀行が紙幣を印刷して“円”をつくりだしているように、ビットコインでは“Miner”(採掘者)というソフトウェアが最適な量や時期を計算して“採掘”(発行)を許可します。その“埋蔵量”は2100万BTCと決められていて、10分ごとに25BTCが採掘されるようにコントロールされています(2016年3月現在、1550万BTCほどが発行済)。

日本銀行のような管理者が存在していないビットコインは、実は誰でも採掘できます。
非常に難しいようですが・・・。ですから、採掘する人が少なければ早く掘り当てられるように、逆に多ければなかなか掘り当てられないように調整して発行量をコントロールしているわけです。
 

世の中が変わる“ブロックチェーン”技術

 
採掘されたビットコインをやり取りするP2Pの技術の根幹は“ブロックチェーン”と呼ばれる、参加者全員が監視し合うシステムです。

ビットコインのネットワーク上で行われる、あらゆる取引を記録したデータは世界中に分散していて、参加者全員がチェックすることができます。このことが、ビットコイン取引の信用性を担保しているわけですね。

ブロックチェーンがあればあらゆる仲介者が不要になるので、世の中が変わるほどのインパクトを秘めているといわれています。

このブロックチェーン技術、サトシ・ナカモトという日本人らしき人が発表した論文に基づいて開発され、2009年からビットコインの運用が始まっています。
サトシさんは正体不明ですが、本当に日本人ならなかなか誇らしい話ですね。

ちなみに、ビットコインと聞くと、「マウントゴックス事件」を思い起す人がいるかもしれません。
2010年に東京で設立されたビットコイン交換所でしたが、システムを何者かによってハッキングされたようで、運用していたビットコインを失って払い戻しもできなくなり、2014年4月に破産が確定したという事件です。
同社は2013年に世界のビットコイン取引の70%も占めていたこともあり、債務総額は約2兆6630億円にも及んでいるそうです。

こういう事件があると「ビットコイン=危ない」というイメージを持ちがちですが、「この事件はマウントゴックス社のセキュリティの杜撰(ずさん)さの問題であって、ビットコインの問題ではない」とビットコイン関係者は言っています。
ビットコインの“在庫”を管理するサーバーからケーブルを外し、外部からアクセスできなくする「コールドウォレット」方式の事業者ならば安心できるようですね。
 

≪記事作成ライター:髙橋光二≫ 
フリーライター・エディター。1958年、東京都生まれ。1981年、多摩美術大学デザイン科卒業後、㈱日本リクルートセンター(現・㈱リクルートキャリア)入社。2000年、独立して現職。主に経営者インタビュー、コンテンツマーケティング、キャリアデザインなどの分野で編集・執筆。


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