将来、銀行はなくなる? 針路の大転換を求められる銀行の行く末


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行員と膝つき合わせ、融資額や担保について銀行で相談することが当たり前とされていたひと昔前。しかし、その概念や行動様式が昨今大きく変容しています。

それは例えばイオンやセブンイレブンなどの大手小売業や、ネットを主戦場としていた楽天の金融業界への参入もそうですし、オンライン上の資金調達サービス「ソーシャルレンディング」「クラウドファンディング」においては、異業種の朝日新聞(A-port)も参入。目立ったところでは、昨年から今年にかけて世間を騒がせた仮想通貨の狂想ぶりも、「金融」「お金」の概念を打ち砕く一要因になったようです。
そうした中「銀行はなくなってしまうのか?」という声もちらほら漏れ聞こえてきます。果たしてそれは、現実的な話なのでしょうか?

 

あのAmazonが、銀行の存在意義を問う!?

 

Amazonが2014年1月から法人の販売事業者向けの融資サービス「Amazonレンディング」を展開していることをご存じでしょうか? この新サービスは出店業者の商品販売動向や支払実績データを把握するAmazonが、以下概略で運転資金や資産運用を融資するというもの。

●目的:Amazon.co.jp内 Amazonマーケットプレイスでのビジネスの拡大、成長
●融資対象:Amazonマーケットプレイスでビジネス実績のある法人販売事業者
●融資額:10万円~最大5000万円
●融資利率:8.9% ~ 13.9%(年率)
●返済の方式:元利均等返済方式
●返済期間及び返済回数:3ヵ月(3回)/6ヵ月(6回)
端的にいうと、オンライン上でのカンタン手続き、タイムリーな資金調達……といった点が特長ですが、このサービスは、業者側にしてみれば銀行からお金を借りていることとなんらかわりはありません。「あのAmazonが銀行みたいにお金を融資しているんだ」と驚かれた方も多いことでしょう。

 
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銀行員の大失業時代がやってくる!?

 

遡ること1994年、Microsoftのビル・ゲイツが「銀行機能は必要だが、将来、銀行は必要なくなる」と発言し、金融・経済界から一笑に付されたという有名なエピソードがあります。そのコメントから約20年が経過した現在、「FinTech(フィンテック)」等のテクノロジーによって金融サービスや概念が大きく変化。私たちはわざわざ銀行に足を運ばずとも、日常生活を支障なく営めるようになっています。
加えて、銀行の主要領域にAmazonなどの大手異業種が参入する今日、1994年にビル・ゲイツが唱えた「将来、銀行は必要なくなる」の言葉が今後さらに真実味を帯びていくのか……。はたまた、書店に平積みされた著作物のタイトル「銀行員大失業時代」が現実のものとなるのか……。
懐疑的ながらもビル・ゲイツが唱えた「銀行機能は必要だが、将来、銀行は必要なくなる」のコメントは、いまや一笑に付されるレベルではなく、にわかに真実味を帯びてきたことは確かでしょう。

 

金融の概念を覆す「FinTech」「ブロックチェーン」

 

「FinTech」「ブロックチェーン」については、本コンテンツ「マネセツ」でも解説してきましたが、これは世界中の大手金融機関が注目する新たなテクノロジー。補足するとFinance(金融)とテクノロジー(Technology)の言葉をかけ合わせた造語「FinTech」の導入は、海外と比較して日本は立ち遅れているものの、「スマホなどのモバイル決済」「おサイフケータイ」「ネットバンキング」といえば、「自分も使っている!」という方も多いはず。私たちは知らず知らずのうちに「FinTech」の恩恵にあずかっているのです。

また、金融業界の最新トレンド「ブロックチェーン」は、仮想通貨「ビットコイン」の基幹技術として発明された概念。ただし「ブロックチェーン」はあくまで「分散台帳を実現する技術」であるため、あくまで「ブロックチェーン」のテクノロジーを仮想通貨が使用しているという関係性(「ブロックチェーン≠仮想通貨」)でしかありません。またここでいう「分散台帳」は、オープンなネットワーク上で高い信頼性が求められる金融取引や重要データのやりとりを可能にする「分散型台帳技術」のこと。つまり、その中心に位置するのが「ブロックチェーン」なのです。

 

銀行以外でもお金は借りられる……が一般的に

 

「FinTech」や「ブロックチェーン」を活用した金融システム、商品、アプリが私たちに身近なものとなったいま、例えば個人資産を有さない学生や主婦レベルにおいても、お小遣いや生活費をスマホ上で管理できるように。さらに、新規ビジネス立ち上げや設備導入を考えている事業主をはじめ、大規模プロジェクトを民間資本で立ち上げる際の資金調達においても、ネット上での資金調達チャネルが増えたことで、銀行に行って頭を下げてお金を借りずとも、別の方法で資金調達できる……という考え方が今日では一般的になりつつあります。

一方の銀行側は、テクノロジーの台頭や客側の意識変化に対して単に手をこまねいているわけでなく、あの手この手で針路転換を打ち出しています。事実、世界大手銀行では「ブロックチェーン」を用いた多様なソリューション・プロジェクトがスタートしており、業務効率の大号令の下、いち早く新技術を導入したシンガポールの大手銀行など、複数の銀行での先進的取り組みが話題を集めています。

 
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米四大銀行CEO、「ビットコインは詐欺、崩壊」の発言撤回

 

振り返れば、ビットコインが世に登場したのは2009年1月。サトシ・ナカモトという日本名(?)の人物によって投稿された論文に基づいて運用がスタートし、紆余曲折を経て2013年11月にビットコインの時価総額は100億米ドルを超え(600%上昇)、一部の人から「2017年=仮想通貨元年」といわれるように。
その後もマネーロンダリング、急落、取引停止、資金洗浄といった動きに注目が集まる一方、デル(Dell Inc.)やオンライン旅行最大手エクスペディアが、その使用をスタート。日本でもDMM.com、ビックカメラ.com、メガネスーパーほか多くの小売業がビットコイン決済に対応し、昨末から年始にかけて「ビットコイン」の文字を見ない日がないほどの熱狂ぶりは、記憶に新しいところです。

こうした仮想通貨について、2017年9月に米四大銀行JPモルガン・チェースの会長兼最高経営責任者(CEO)ジェイミー・ダイモン氏は、「ビットコインは詐欺であり、崩壊する」とコメント。さらに、「JPモルガンのトレーダーが暗号通貨を取り引きしていたら即刻解雇する。その理由は二つで、第一に就業規則違反。第二に間抜けで、いずれも危険だからだ」とも追言。
しかしその後、ダイモン氏は同発言について「後悔している」と述べ、JPモルガンは仮想通貨についての姿勢を一変。同年12月にはシカゴの先物取引所にてビットコイン先物が上場し、翌年にはJPモルガンが仮想通貨の取引部門設置を発表。これに追随するように、他金融機関にも仮想通貨取引部門を設置する動きが加速していきます。

 

日本のメガバンクも独自のデジタルマネーを開発

 

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日本国内でも、大手メガバンクが動いています。
昨今の仮想通貨の暴騰の流れに制限をかけようとする三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)では2018年度中の実現を目指した独自の仮想通貨「MUFGコイン」を開発中であると年初に発表。邦銀による仮想通貨の発行や取引所開設といった取り組みは本邦初ですが、残念ながら詳細はつまびらかにされていませんので、「MUFGコイン」に関する情報をネット上の収集したところ……、
●消費者がスマホに専用アプリをダウンロードする
●送金やショッピング代金の支払いにMUFGコインを使用できるようになる
●「暴騰の流れへの制限」等のリスク面においても、1コイン=約1円で安定させる
●利用者が安心してMUFGコインを使用できるようにする仕組み……といった概略(ウワサ?)が。

また2017年9月には、みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほ銀行、ゆうちょ銀行、地銀連合が手を組んだ「Jコイン」についても、時を同じく紙面を飾ります。こちらも2018年中発行とされていますが、ともに利用者がスマホ専用アプリを通じて、自分の銀行口座の円を1円=1コインの固定レートでデジタルマネーに換え、そのデジタルマネーを店舗での支払いに使える仕組みとなっているようです。
これら「MUFGコイン」「Jコイン」が誕生した暁には、金融機関の経費削減に加えて小売り店、外食店でのデジタルマネー使用に基づく経済効果は約10兆円に達するという見通しも。世界から大きく立ち遅れていた「キャッシュレス化」の波が、ついに日本全土に上陸するかもしれません。

 

信用金庫、地方銀行競争が激烈を極める

 

先にご紹介した通り「MUFGコイン」「Jコイン」などの新機軸を打ち出し、変化に立ち遅れまいとするメガバンク。その一方で信用金庫や地方銀行では、技術革新のみならず金利低下、少子高齢化、人口流出、地域経済低迷といった他要因もあいまって、サバイバル競争が激烈を極めているようです。しかしながら「デジタル×金融」の針路変換時に、小回りのよさを長所ととらえて柔軟に対応しているところも出現しています。
実例として九州・福岡で展開する「ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)」では、銀行自らがフィンテック企業をつくり、銀行が従来測定できなかった「預金の目的」など非金融領域を含めたユーザー情報を取得。マーケティング活用しながら、アカウント登録数が17万人超えの大ヒットを記録するといった驚きの実例も報告されています。

──「ビットコイン狂想曲」で幕開けした2018年。それ以外にも銀行を取り巻く環境には過去にない変化が押し寄せているようですが、将来的に銀行はなくならないにしても、銀行の行く末や今後の明暗は、ここ数年の動向によって少なからず見えてくるようにも感じます。同時に、銀行で融資を必要としない普通の人々のお金の使い方や概念が変容する中、非現金決済の比率が5割を超えている国や、現金を使わずに1カ月生活できてしまう北欧の国の決済事情が日本でも取りざたされることが多くなり、日本でも東京五輪開催時期に向けてキャッシュレス化が進むと言われています。そうした変化に銀行がどのように対応するのか……その点にも、ぜひ注目したいところですね。

≪記事作成ライター:岩城枝美≫ 
東京在住。大手情報サービス企業を退社後フリーランスに。二十年余にわたり、あらゆるジャンルの取材・執筆、ディレクションに携わる。


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