プロ野球球団。本拠地移転問題から見る球団の経済事情(2)


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プロ野球開幕から早2カ月。日本の全国各地で熱戦が繰り広げられる一方、海外で活躍する日本人選手にまつわる「SHO TIME」や「生涯契約」といったキーワードもまた話題になっている。

そんな中、前回は「北海道日本ハムファイターズ。本拠地移転問題から見る球団の経済事情(1)」と題し、北海道日本ハムファイターズが2023年、札幌ドームから本拠地を隣接する北広島市に移転し、新球場を建設する計画に触れた。この移転に伴い、日本ハムの新球場開業後10年で北海道に莫大(!?)な経済効果が期待されている点についても解説したが、今回は他球団の本拠地球場事情について紹介しよう。

 

自前か、賃貸か。3つに大別できる球団と球場の関係

 

前回の記事でも述べたが、北海道日本ハムファイターズが札幌市から北広島市に本拠地を移転するのは、札幌ドームの高額な球場使用料がネックだったから。プロ野球の球団の総収入は平均100億円といわれており、選手の年俸に経費がかかる分、球場使用料はできるだけ抑えたい支出であることはいうまでもない。

日本のプロ野球の球団がホームゲームを主催する本拠地球場について、以下の3つのタイプに大別されることをまず確認しておこう。
① 球団が所有し、運営・営業権も持つ「自前型」
② 自治体などが所有し、球団は運営・営業権も持たず、球場使用料を支払う「賃貸型」
③ 球団の所有ではないが、一部営業権を持つ「折衷型」
前回紹介したファイターズは「②の賃貸型」だったわけである。他の球団をタイプ別に見てみよう。

 

① 球団経営が安定化する「自前型」

 
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下記にあげた5球団の本拠地は「自前球場」だ。
■阪神タイガース(阪神甲子園球場)、
■オリックスバファローズ(京セラドーム大阪)
■福岡ソフトバンクホークス(福岡ヤフオク!ドーム)
■西武ライオンズ(メットライフドーム)
■中日ドラゴンズ(ナゴヤドーム)

阪神甲子園球場はタイガースの親会社の阪神電鉄、メットライフドームは西武ライオンズの親会社の西武鉄道が所有している。球団・球場の一体経営が行われており、入場料収入、売店、広告料など、すべてが親会社に入る仕組みになっている。

福岡ソフトバンクホークスは、かつて年間50億円ともいわれた球場使用料を福岡ドームに支払っていたが、2012年に870億円でドーム球場を買収。現在の所有者はホークス球団となり「完全自前球場」になっている。

京セラドームはオリックスバファローズのグループ企業、ナゴヤドームも中日ドラゴンズの親会社の中日新聞社のグループ企業が所有している。厳密には球団の自前とはいえないが、グループ内の金銭の行き来であることを考慮すれば、「自前」に分類できるだろう。

 

② 高額な使用料や使用制限がある「賃貸型」

 

次に下記3球団の本拠地は「賃貸型」だ。
■北海道日本ハムファイターズ(札幌ドーム)
■読売ジャイアンツ(東京ドーム)
■ヤクルトスワローズ(明治神宮野球場)

読売ジャイアンツは東京ドームに、年間30億円以上の球場使用料を支払っているといわれている。また、年間100億円ともいわれる球場内の広告料や売店の売り上げも、その多くは球団に入らないようだ。それでも球団は黒字経営を続けているのだから、人気球団の面目躍如たるところだ。しかし、同様の理由から新球場建設の噂も絶えない。

ヤクルトスワローズが本拠地として使う明治神宮野球場は、もともと東京六大学野球を開催されるために建設された球場だ。いまでも学生野球のスケジュールが優先される。スワローズの年間使用料は約10億円といわれているが、老朽化のために建て替え計画も進んでいる。

 

③ 地元密着型の球団に多い「折衷型」

 

そして、下記4球団の本拠地は「折衷型」だ。
■広島東洋カープ(MAZUDA Zoom-Zoom スタジアム広島)
■東北楽天ゴールデンイーグルス(楽天生命パーク宮城)
■横浜DeNAベイスターズ(横浜スタジアム)
■千葉ロッテマリーンズ(ZOZOマリンスタジアム)

上記4つは、自治体などが球場を建設・所有し、球団は使用料を支払ってはいるものの、管理・運営を任され、一定の営業権を行使できる契約をしている。地元に根づいたチームとして、優遇された条件で使用していることが多いようだ。各球団に特徴があるので、個別に説明しよう。

 

改修費用と引き換えに使用料を下げたイーグルス

 

東北楽天ゴールデンイーグルスがプロ野球に新規参入したのは2004年のこと。このときに本拠地としたのが、宮城県が所有する県営宮城球場だ。球場の改修費用を球団が全額負担することを条件に、年間使用料5000万円という破格の賃貸契約を結んだ。

加えて、球場内の広告料や売店でのグッズ販売の売り上げ、飲食の売り上げなど、すべてが球団に入る仕組みを作り上げたため、イーグルスは参入直後から黒字経営を可能にしている。これは、かなりまれなケースだ。

 

指定管理者として球場運営をするカープ、マリーンズ

 

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いま最もチケットが入手しにくい球場、といわれているのが広島東洋カープの本拠地・MAZUDA Zoom-Zoom スタジアム広島。所有者は広島市だが、球団は指定管理者となっている。球団は年間使用料5億7900万円と別に、10年間で21億1000万円を支払い、球場内の広告料や売店の販売権などを管理・運営する契約を結んでいる。

千葉ロッテマリーンズも指定管理者となり、千葉市が所有するスタジアムの球場内広告や売店など、ある程度自由に切り盛りする権利を有している。これらを自由に管理することが、球団の収支改善に大きく影響を及ぼしている。

 

スタジアムを連結子会社化したベイスターズ

 

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最後に横浜DeNAベイスターズだが、2010年に親会社だったテレビ局のTBSが球団売却を考えたのは、横浜市が所有する横浜スタジアムの球場使用料が高額だったから……が一つの理由だった。当時で入場料収入の25%、年間約20億円と言われていた。
親会社がDeNAに代わったのは2012年。本拠地移転の噂も流れ、これを引き留めるべく横浜スタジアムは球場使用料を入場料の25%から13%へと大きく譲歩。新設の広告スペースの営業権も球団が持つことになった。

さらに2015年、球団は株式公開買い付け(TOB)によって横浜スタジアムの運営会社を連結子会社化することに成功。球団は経営環境をより安定させ、将来のボールパーク化への大規模改修を具体化させている。

 

球団と球場の関係が良化すれば、地域も活性化する

 

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じつはアメリカ・メジャーリーグの各球団と球場との関係もこの「折衷型」が多い。市や郡が出資して建設したスタジアムを格安の年間リース料で賃貸し、しかも売店などの収入の一部も球団に入る仕組みになっていることが多いようだ。
野球が文化として認知され、メジャーリーグのチームを誘致できれば絶大な地域活性化につながるという考えがあるからだろう。日本のプロ野球界でも、球場と球団の関係が良化することで、さらなる野球文化の定着と地域活性化が図られることになることは間違いない。

≪記事作成ライター:三浦靖史≫ 
フリーライター・編集者。プロゴルフツアー、高校野球などのスポーツをはじめ、医療・健康、エンタメ系など、幅広いジャンルで取材・執筆活動を展開。好物はジャズ、ウクレレ、落語、自転車などなど。新潟県長岡市在住。


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