北海道日本ハムファイターズ。本拠地移転問題から見る球団の経済事情(1)


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2018年3月、プロ野球球団の北海道日本ハムファイターズが、本拠地を札幌市から北広島市に移転させ、新球場を建設することを決めた。人口196万人を誇る道都・札幌市から、6万人に満たない隣の北広島市に移転するのは、なぜなのだろうか。
ファイターズの本拠地移転&新球場建設構想から、日本のプロ野球球団のフトコロ事情を眺めてみることにしよう。

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本拠地・札幌ドームは使いにくい賃貸物件!?

日本ハムファイターズがフランチャイズを北海道に移したのは2004年のこと。新庄剛志、ダルビッシュ有、大谷翔平ら、多くのスター選手を擁し、北海道移転後はリーグ優勝5回、うち日本一2回という輝かしい成績を収めている。
ホームゲームの観客動員数は200万人を超え、パリーグではソフトバンクに次ぐ2位(2017年)。経営的にも安定しており、親会社である日本ハムからの補填はあるものの、長期にわたって黒字経営を続けている。

ホームグラウンドは札幌ドーム(札幌市豊平区)。巨人といえば東京ドーム、阪神といえば甲子園などと同様、ファイターズといえば札幌ドームという印象は全国的にも定着している。しかし実は、札幌ドームはファイターズが所有しているものではなく札幌市の所有で、市の第三セクターが運営。ファイターズは球場使用料を支払って試合しており、札幌ドームとファイターズは大家と店子の関係というわけだ。その店子(たなこ)であるファイターズは、かねてから大家である札幌ドームに大きな不満があったといわれている。

最大の不満は、高額な球場使用料

もともと札幌ドームは、サッカーJ1の北海道コンサドーレ札幌との兼用。人工芝と天然芝のピッチを入れ替える画期的な多目的スタジアムだったが、それゆえに使い勝手の悪さもあった。ピッチの入れ替えはもとより、他のイベントが開催されるたびに客席やトレーニング器具などを移動しなければならないという。また、球団は古い人工芝の貼り換えや客席の改修などについて球場側に申し入れたが、他の使用者との公平性の保持や市議会の承認が前提となることなどを理由に認められてこなかった。

球場の使い勝手もさることながら、ファイターズの札幌ドームへの最大の不満は高額な球場使用料。札幌ドームの1日の基本使用料は831万6000円(2016年10月以前は800万円)。入場者が2万人を超えた場合は、1人につき415円(同400円)が加算される。2017年実績でみてみると、札幌ドームでのファイターズ戦59試合の観客動員数は平均2万9932人。しかし、3万人以上の観客が入った試合は19試合、4万人以上入った試合も12試合あった。これらを鑑みると、年間の球場使用料は9億~11億円にのぼるといわれている。

球場関連費用が、ファイターズ選手の年俸総額に匹敵?

加えて、球場を所有している球団であれば、大きな収入源となるはずの球場内の広告料約2億5000万円も、すべて大家である札幌ドームに入る。また、売店や飲食店の収入も球場側、チームグッズなども球団が球場に卸して販売してもらうという立場で、逆に警備や清掃料などは球団持ちだという。前述の球場使用料に加え、これら球場関連費用が約17億~18億円にもなるともいわれ、合計すればファイターズの選手の年俸総額(約29億円)に匹敵する額になる。

札幌ドームの売り上げの約3割はファイターズが担っているにもかかわらず、球場使用料の値下げ交渉にも応じられず、逆に2016年には値上げされる始末。球団の不満は受け入れられず、しかも毎年莫大な使用料が求められるのだから、「ぜひとも自前の球場を」と考えるのは当然のことだ。

2016年以来、球団は札幌ドームに代わる新球場構想を検討してきた。当然、札幌市はファイターズに残留を持ちかけ、また札幌ドーム以外の代替え地の提案もした。そして最終的な移転候補地は札幌市の真駒内公園と、北広島市のきたひろしま総合運動公園の2カ所に絞られ、2018年3月、ファイターズは北広島市移転・新球場建設を発表した……というのがこれまでの経緯だ。

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米国流ボールパークの経済効果は7兆8000億円!?

2023年の開業を目指すファイターズの新本拠地構想は、球場を中心に商業施設や娯楽施設などを併設するアメリカ流のボールパークだ。

北広島市の「きたひろしま総合運動公園」は面積が約36ヘクタールで、これは東京ドームのおよそ7.7個分に相当。ボールパークの建設には十分な広さといえるだろう。この建設のためにファイターズ、親会社の日本ハム、そして電通の3社からなる新会社「株式会社北海道ボールパーク」も設立。総工費は500億~600億円と見込まれている。

新球場には天然芝が敷かれ、開閉式ドームか、透明な樹脂素材の屋根を架けることが想定されている。もちろん、ファイターズが主体となって管理・運営することとなる。周辺にはホテル、温泉施設、レストラン、公園をはじめ、草野球ができる球場や住宅、子育て支援施設なども設けるという。しかし、これらはまだ構想の段階で、すべて実現できるかは不透明な部分もある。

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新球場開業後10年で、北海道に約7兆8000億円の経済効果?

北広島市は土地を無償貸与し、球場などの公共施設にかかる固定資産税や都市計画税を10年間免除すると約束している。また、JR北海道に新駅の設置や列車の増便を求め、さらには道路整備も進めてアクセスを向上させていく方針だという。これまで千歳空港から札幌市への通過点でしかなかった北広島市が、その姿を大きく変えることになりそうだ。

ファイターズが計画する新球場は、開業後10年間で北海道に約7兆8000億円の経済効果をもたらすとの試算もある。北海道観光の大きな目玉となることは間違いない。そしてファイターズ自身も高額な球場使用料から解放されるだけでなく、チームとしてのモチベーションが大きく向上するだろう。より強いチームとなり、より多くの観客を呼び、経営状況もより良い方向に改善していくはずだ。2023年が楽しみである。
次回は、他の「プロ野球球団と球場との関係」について考察してみよう。

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