馬券を売らないのに盛り上がる? ドバイワールドカップ


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毎年3月下旬に、アラブ首長国連邦(UAE)で開催される、競馬の祭典「ドバイミーティング」。

世界最高の賞金額で知られる「ドバイワールドカップ」をはじめとするビッグレースが開催される、競馬の一大イベントです。
ところで、UAEはイスラム教国ですから賭け事は禁止です。馬券を発売しないにもかかわらず、ギャンブルである競馬が開催され、高額な賞金が支払われる……その意義はどこにあるのでしょうか?

 

「ドバイミーティング」とは、どんなイベントか?

 

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未来を見据えた戦略がドバイ競馬の隆盛を支える

 

別名「ドバイワールドカップデー」とも呼ばれるドバイミーティング。UAEにある最新鋭の設備を誇る巨大施設「メイダン競馬場」がその会場です。ドバイワールドカップ、ドバイシーマクラシックなどの高額賞金レースへの出走をめざして、世界じゅうから一流のサラブレッドと、第一線で活躍するジョッキー(騎手)やトレーナー(調教師)が集まります。

世界じゅうから集まるのは、競馬関係者だけではありません。レースを観戦(応援)するファンも、世界じゅうからドバイを訪れます。そんなファンのために、有名アーティストのコンサートやショー、ファッションコンテストなど、さまざまなイベントがレースの数日前から開催されます。競馬ファンのみならず、競馬に詳しくない観光客でも楽しめる工夫がこらされているのです。

 

なぜ、イスラム教国であるドバイで競馬が盛んになった?

 

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優雅な競馬観戦を実現する、メイダン競馬場の風景


 

もとより優れた馬の産地であるアラビア。競走馬として知られるサラブレッドも、アラビアからヨーロッパに輸入された馬と、ヨーロッパ土着の馬を交配して作り出されたものです。

UAEにおける競馬隆盛のきっかけを作ったとされるのが、王族であるシェイク・モハメド殿下です。アラビアの王族として、幼少期から乗馬に親しんでいた殿下ですが、イギリス留学中にヨーロッパの競馬文化と出会います。そして、競走馬の生産や競馬の開催に情熱を注ぐようになっていったのです。

官民あげてビジネス誘致や観光政策に力を入れていることも、ドバイにおける競馬隆盛の理由の一つです。いずれ石油が枯渇する未来を見越して、魅力的な観光資源を増やし、距離的に近いヨーロッパをはじめとする国々からの観光客を呼び込もうというわけです。

 

自らは馬券を売らない、でも外国での販売には寛容?

 

イスラム教では賭け事は禁止されており、ドバイにおける競馬はあくまでスポーツとして掲載されています。賞金を出資するのは、モハメド殿下をはじめとする王族の人びと。たとえば日本の競馬が、馬券の売り上げを原資として賞金を設定しているのに比べれば、大きな違いといっていいでしょう。

とはいえ、ドバイは他国が馬券を販売することには寛容な姿勢を見せています。それは、「レーシングライツ」(馬券を販売する権利)が、ドバイにとっての収入になるからです。
ちなみに、馬券の代わりにドバイでは「くじ」が販売されています。現金のほか、自動車などの豪華な賞品が当たるため、現地の人々や観光客にも人気のようですよ。

日本でも海外の競馬の馬券が購入できるようになったのは、以前(2016年11月)の記事でも解説したとおりです。今年のドバイミーティングにも複数の日本馬が遠征しており、馬券も販売される予定。レースやイベントの模様はインターネットなどでも中継されますので、ぜひ注目してみてはいかがでしょうか。

参考:「優駿」2015年4月号・2016年9月号(中央競馬ピーアール・センター)

《記事作成ライター:奥田ユキコ》
生まれも育ちも東京のライター。教育や語学、キャリア、進学、サイエンス、生活の雑学、ライフスタイルなどをテーマに、雑誌や広報誌、ウェブなどの記事を手がけています。「マネセツ」では、主にスポーツと「お金」にクローズアップした記事を書いていきたいと思います。


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