商品相場がオセアニア通貨押し上げる 


マネセツバナー_eyecatch

今年の為替市場を見渡すと、欧州通貨はユーロでは、オランダ総選挙、仏大統領選挙などのリスクを意識した動き、ポンドは英国のEU離脱を控えたBrexitリスクから、動きが鈍いように思います。
そして円については、日銀が依然としてデフレ脱却の目標のもと金融緩和を続けています。そしてドルはトランプリスクを意識して積極的に動けない状況になっています。そんな中、快走するオセアニア通貨、つまり豪ドルとNZDの上昇が目立っています。

オセアニア通貨の動向は中国経済の動向に左右されており、その結果商品相場に大きく影響を受けていると言えます。
まず中国の経済を見てみましょう。中国は一頃の高経済成長路線から、巡航速度の経済成長を続けています。昨年第4四半期GDP(国内総生産)6.7%前年比と、中国政府の目標の6.5%前後で安定しています。中国12月鉱工業生産6.0%前年比、中国12月小売売上高10.9%前年比と、懸念される景気減速感は出ていないようです。製造業、サービス業とも順調に成長を続けていると言えます。最近では不動産業界が不景気に襲われているとの報道を聞かなくなりました。
株価の指標、上海総合指数にしても最近では3,200ポイントを越えており、今年に入ってからは大きく変動していません。大きく下落する局面がないということは、中国投資家は大きな損失を被ることなく、安定的な利益を出しているのではと推測されます。

そんな中国では、経済が安定しており、再び製造業中心に、鉄鋼需要が増しているのではと推測します。それを証明するのが、鉄鉱石価格の動きです。まずは商品相場の指標であるCRB(Commodity Research Bureau)指数を見ると、昨年年央の180水準から、今年は190前後と上昇し、しかも安定してきています。
投機家のポジションもありますが、景気上昇を反映して、商品需要が世界的に増大してきているのではと推測します。そして景気需要のもう一つの指標である原油価格を見ましょう。WTI(ウエストテキサス・インターミディエイト)で見ると、55ドル前後と安定しています。OPEC(石油輸出国機構)の昨年12月の原油減産合意から、需要と供給が均衡かあるいは需要が増すような状況を演出しているようです。米トランプ大統領がインフラ投資に意欲的であり、需要創出期待を反映しているかの動きになっていますね。

そして筆者が日々追いかけている鉄鉱石価格を見ましょう。下記グラフ(出所:CME)はCME(シカゴ先物取引所)に上場している鉄鉱石価格です。これを詳しく見ると、昨年10月以降の上昇が著しく、50ドル前後から急速に90ドル近くまで跳ね上がっています。
つまり投資家は中国の需要の回復、そして世界的に景気回復するのではと鉄鉱石買いに先回りしたと言えます。この動きから、鉄鉱石の一大生産地であるオーストラリアの鉄鉱石会社は活況となっているようです。その結果、オーストラリア経済は押し上げられることになります。

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オーストラリア経済は中国に依存する体質、特に資源輸出に頼っています。豪貿易収支を見ると興味深いことが分かります。昨年1月貿易収支35.56億豪ドル赤字から、年末12月には35.11億豪ドル黒字に転換しています。数字を追うと10月までは赤字、そして11月からは黒字となっています。
そして貿易の相手国がどこであるかも興味深く、外務貿易省統計2015年のよると、中国が総額:23.2%、輸出:28.8%、輸入:18.2%と断トツの1位となっています。少し古い統計ではありますが、豪貿易の中国依存体質が明確であると言えます。そんな傾向が直近でも鮮明にあるのではと推測します。
中国依存の鉄鉱石輸出の恩恵からか、豪経済はここにきて良好に推移しているように思います。直近の数字をみると、豪第3四半期GDP:1.8%前年比、そして明日発表予定の第4四半期GDPは予想として1.9%前年比と良い数字となっています。鉄鉱石価格上昇による好景気が続いていることの裏づけです。

好景気の循環に入ってきたことから、豪中央銀行であるRBA(Reserve Bank of Australia)は、昨年までの景気後退を意識した利下げ政策から、中立的金融政策に変化してきています。
現在の政策金利であるキャッシュ・レート(Cash Rate)1.50%です。2015年年初は2.50%であり、景気後退期が続き、積極的に利下げ政策を続けました。去年8月3日に1.75%から1.50%に利下げに踏み切ってからは、現状維持の政策を貫いています。景気回復を実感しているのか、声明文にもその表現が盛り込まれています。
「インフレは2017年が進むにつれて、2%(RBAインフレ目標)以上にむかう。しかし緩やかに。政策スタンスを変更しないことが、経済の持続可能な成長と時間をかけてインフレ目標を達成することと一致すると判断している。」
ロウRBA総裁は、最近経済に自信を持っているようで、次のように発言されています。
「市場の政策金利の年内据え置きの織り込みは妥当であると思われる。今年と来年のGDP成長率は3%程度と予想している。」
このように述べているものの、豪ドルについては、豪ドル安の方が輸出促進には良いようであり、豪ドル相場は上昇より下落を望むとも発言されています。下記グラフ(出所:RBA)は1990年からのキャッシュ・レートの推移を示しています。これを見ると現在は歴史的に最低水準の政策金利であり、インフレ率の上昇と共に、来年からはそろそろ引き締め気味、つまり利上げが視野に入ってくるのではと思います。
豪10年債利回り2.76%と、先進国の中では高利回りの水準と言えます。格付けの良い国債には、本邦投資家には魅力的に映ります。中長期的に見ると、今年は据え置きの金融スタンスを続けるものの、中国景気が巡航速度の経済持続から、鉄鉱石輸出も右肩上がりの数字が見込め、豪経済は好景気を維持しそうです。利上げが予想される来年以降、まだまだ利回りの上昇は続くのではと思います。そしてドル高傾向は不安要因であるものの、豪ドルが上昇を続ける見通しです。

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ニュージーランドの経済もオーストラリア同様、中国に依存する体質が散見されます。こちらは乳製品が一大輸出産業で、中央銀行であるRBNZ(Reserve Bank of New Zealand)は当面据え置き(現在政策金利:1.75%)の金融政策をとります。
ニュージーランド10年債利回り3.26%と、豪ドル以上に高利回りとなっています。そしてNZDは堅調模様と言えます。ここに関しましては別の機会を設けて、詳しく説明したいと思います。

中長期的にオセアニア債券投資、通貨組み入れは、皆さんには魅力的なように映ると思います。ミドルリスク、ミドルリターンの商品と共に、皆さんのポートフォリオに組み込むことも一考であるのではと思います。


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