イエレンFRB議長は利上げに前向き


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先週14、15日に米議会銀行委員会にてイエレンFRB(米連邦準備理事会)議長が、現在の金融政策と今後の方針について議会証言をされました。重要な発言部分は次の通りです。
「金融緩和の解除まで時間をかけ過ぎることは賢明ではない。待ち過ぎればFOMC(米連邦公開市場委員会)が最終的に急速なペースでの利上げを迫られる可能性があり、金融市場を混乱させ、経済上リセッションに追いやるリスクを生じさせる恐れがある。
“As I noted on previous occasions, waiting too long to remove accommodation would be unwise, potentially requiring the FOMC to eventually raise rates rapidly, which could risk disrupting financial markets and pushing the economy into recession.”」
この言葉には、イエレン議長の考えが散りばめられているように思います。米景気はこれまで良い経済状態が続いていたと言えます。直近の数字としては、1月失業率4.8%と、完全雇用状態にあります。
下記のグラフ(出所:米労働省)は過去20年の失業率を示しています。グレイで色づけられた部分は失業率が急上昇をした期間を示しています。
右のグレイゾーンは、所謂リーマンショックの時代です。不動産バブルが弾けて、銀行の融資が滞り、不景気に突入、その結果、失業率が上昇しました。2010年頃不景気風が強かったのですが、その後次第に失業率は低下の一途をたどりました。10%近い失業率から5%まで富士山の峰を下り降りるような急回復を遂げています。
労働問題の専門家であるイエレン議長としても、雇用関係は完全に回復しているとの想いが強いのではと思います。それはこのグラフが裏づけていると言えます。

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そして非農業部門雇用者数にしても1月22.7万増と非常に良い数字と言えます。3ヶ月平均にしても15万人を上回る良い数字となっています。トランプ大統領がいつも言われている米国に雇用を取り戻すとの公言も、この数字を見たら撤回しないといけない状態ではと私は思います。

そしてもう一つの利上げを阻む要因はどうでしょうか。インフレ率はFRBの目標である2%のインフレ率に達しているのではと思います。米1月消費者物価指数2.5%前年比、コア2.3%前年比と、2%を大きく上回ってきています。
そしてFRBが重視する12月PCEコア・デフレーター1.7%前年比と、こちらは2%をやや下回っています。こちらの数字は昨年7月の数字を見ると1.5%前年比と改善はしているものの、大きくは変動していないと言えます。しかし、確実に上昇トレンドに乗っているとも言えます。

FRBが利上げの判断をする2大要因である雇用とインフレは、完全に利上げをする条件を満たしているように見えます。そこでその他の要因を考えてみましょう。
一つにはトランプ政権の誕生です。トランプ大統領が政治的に景気を良くするためには、FRBに利上げをさせない工作をするのではとの懸念です。
少なくとも来年3月までイエレン議長の任期はありますので、今後夏頃から次期FRB議長の候補の選任に入ることになります。次期候補に利上げに慎重な人選をするように圧力をかける可能性などがあります。
タルーロFRB専務理事は、銀行規制法案を進めた方であり、トランプ政権は規制強化の路線を撤回するような動きがあります。そして、タルーロFRB専務理事は今後退任が予定されております。これは間接的な圧力ではと思います。
紆余曲折が流れるFRB人事の中で、イエレン議長は確固とした独立を貫くのではと思います。その意味では早く利上げに踏み切った方が、独立を保っているFRBの面目躍如ではないかと思います。それが、最初に述べた、イエレン議長の考えが散りばめられていると言った理由です。待ち過ぎることの危険性を指摘するもので、翌日にはバランスシートをゆっくりと縮小させる決意を表明されており、利上げ路線に前向きな姿勢と言えます。

それでは市場はどのように考えているのでしょうか。筆者は金利中心に金融相場を考える思考を持っています。最近では10年米国債の利回りよりも、短期金利先物ユーロドル(3ヶ月物)を中心に思考するようにしています。
下記は12月限のチャート(出所:CME)です。金利先物では価格下落が利回り上昇となります。現在98.455です。利回りベースに引き直すと1.545%となります。この水準は、今年0.25%毎の利上げが3回実施されることを織り込んでいる水準と言えます。
現在のFF Rateの誘導目標は0.50~0.75%です。上限の0.75%が基準になり、1.50%とはおおよそ0.75%の差があります。つまり今年12月までに0.25%毎の利上げが3回行われると短期金利先物市場では、市場参加者が推測して、その方向にポジションを傾けていると言えます。チャートを分析してみると興味深いことが分かります。

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緑の水平線を上下に引いて見ました。上段の緑の線は、昨年12月14日のFRBが0.25%利上げをする直前の水準です。予想通りとは言え、利上げ直後に98.55から98.40へと大きく売られました。金利に引き直すと、1.45%から1.60%へと0.15%の急上昇です。しかし利上げが織り込まれていたせいか、0.25%までの上昇とはなっていません。
そこで直前の1か月間のチャートの動きも部分を緑丸で囲みました。この部分を見ると、98.65つまり1.35%から98.55つまり1.45%へとこの間0.10%の利回り上昇が、上下の変動はあるにせよ、上昇の動きとなりました。そして利上げで0.15%上昇の動きになりました。結果0.25%の利上げが理論上成立することになりました。
筆者はこのチャートの動きが今後3月15日開催のFOMCまでの1か月間、類似したチャートを描くことになるのではと推測しています。
そして更に注目すべき点は、昨年12月14日以降は、着実に戻す動き、つまり金利低下の動きになっていることです。0.15%近い戻しの局面も示現しており、そしてそこを起点として新たな利回り上昇のトレンドになってきているのです。その意味では下段の緑線(98.40水準)を目指し、突破するかどうかに注目しないといけません。
そして1.50%から0.25%乗せた1.75%つまり価格で言うと98.25水準を目標にすることになります。次の利上げ局面到来までは調整局面の動きを強め、時期を見て再度利上げ方向に動く。このような動きを参考にして、金融商品の動きの投資判断材料としたいですね。金利上昇は、為替ではドル高です。
そして株式市場の動きとしては、景気が良いとの点が重視されると株式市場上昇、反対に金利高が企業の資金繰りに悪影響を与える金利上昇と捉えられると株式市場下落の動きとなります。両面を捉えて、ポートフォリオ構築の参考にしましょう。

反対方向、つまり利上げが先送りされるのではとの材料としては、欧州でのオランダ総選挙(3月15日)と4月、5月予定の仏大統領選挙です。ポピュリズムの台頭が、投資家のリスク回避の動き、FRBも外部環境の変化を敏感に察知するかもしれません。
安全なポートフォリオを組みたいと思われる方は、ミドルリスク、ミドルリターンの商品を取り組むことを考えましょう。明確な投資判断が浮かばない方には得策と言えます。


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