2016年4月1日より、首都高速を含む首都圏の高速道路の料金体系が改訂されました。
これまで首都圏の高速道路料金は定額制と距離制が混在していましたが、今回の改定で原則として【1Kmあたり36.6円】の距離制に統一。これにより首都圏の交通流動を最適化するとともに、東京五輪に向けて都心の渋滞を解消する狙いもあるといいます。
走るルートや路線によって、これまでより割高にも割安にもなるという今回の料金改定。
どこが大きく変わったのか、主な路線と割引制度のポイントを絞ってまとめてみました。
※文中の通行料金例は「ETC普通車」の場合です。他区分やETC未搭載の車両の料金は異なります。
【首都高速】 短距離は値下げ、長距離は大幅値上げに!
まず、大きく変わった首都高速の料金体系をみてみましょう。
【旧料金体系】
6kmごとの料金距離に応じて加算される5段階の料金設定(下限510円~上限930円)。車種区分は「大型車、普通車」の2区分のみ。
【新料金体系】
0.1kmごとの料金距離に応じて10円単位で加算される、よりシームレスな料金設定に。車種区分は「軽・二輪車、普通車、中型車、大型車、特大車」の5区分に細分化。
また、1Kmあたり36.6円の距離制をそのまま導入すると、値上げ幅が大きすぎるため、激変緩和措置として一部区間で上限料金(1300円)・下限料金(300円)を設定。
ただし、この対象となるのはETC搭載車で、現金車は短距離でも1300円(一部区間を除く)の上限料金となります。
新料金をみると、10~20Km程度の中距離利用であれば、以前と大きな差はありませんが、遠距離利用(約35km以上)では930円→1300円と大幅な値上げに。一方、短距離利用(約5Km以下)では510円→300円と値下げになりました。
【東京外環道・圏央道】 迂回ルートで割引も
東京外環道については、圏央道の境古河IC~つくば中央ICの開通(2016年度内に開通予定)に合わせ、ETC車が一律510円の定額制から距離制に移行となります。
また、この4月からはETC車に「外環道迂回利用割引」が導入されました。
これは、首都高速の都心環状線内出入口を発着して放射高速道路を利用する車が、東京外環道を1ジャンクション間のみ迂回利用した場合、外環道が無料になるというもの。
たとえば、東北道から外環道・首都高池袋線を経由して都心環状線に入った場合、外環道の料金はタダになります。東北道から首都高川口線を経由した場合と同料金にすることで、通行量を分散させようという狙いです。
ただし、都心環状線を通って放射線の出入口(三軒茶屋、代々木など)を利用した場合、この割引は適用されません。
また、これまで割高な料金設定だった圏央道は、東名や東北道など他の高速道路と同様の水準にまで引き下げされました。新タイプのETC2.0搭載車については、さらに2割減の料金割引も適用されます。
加えて、同じ入口と出口を利用する場合、首都高を経由せずに圏央道を使った方が割安になる(少なくとも同料金に)料金制を導入。首都高へ流入する車の量を減らすことで、都心部の渋滞緩和につなげようというものです。
利用者にとって恩恵となるかは微妙?
今回の改定では、ご紹介した路線以外でも新しい料金体系・割引制度が導入され(詳細は下記の関連リンク先を参照)、より公平でシームレスな体系に近づけようという方向性がみえます。
とはいっても、割引対象などの内容が複雑で分かりにくいうえ、単に値上がりするだけの路線も少なくありません。
とくに、筆者(横浜在住)がよく利用する第三京浜道路は全線利用で260円→390円に、横浜新道は全線区間210円→320円と、なんと5割以上も値上がり!(割引制度もなし)。毎日、通勤などで利用する人にとっては大打撃といえるでしょう。
また、東京外環道や圏央道で迂回ルートの料金がお得になるといっても、ガソリン代は余計にかかりますので、実質的に安く行けるかどうかはケースバイケース。こうした意味で、大きなメリットを受ける利用者はかなり限定されそうです。
せめては交通分散による渋滞解消を期待しつつ、今後の動向を見守りたいところです。
参考/首都高ドライバーズサイト、NEXCO東日本サイト「ドラプラE-NEXCOドライブプラザ」
≪記事作成ライター:菱沼真理奈≫
約20年にわたり、企業広告・商品広告のコピーや、女性誌・ビジネス誌などのライティングを手がけています。金融・教育・行政・ビジネス関連の堅い記事から、グルメ・カルチャー・ファッション関連の柔らかい記事まで、オールマイティな対応力が自慢です! 座右の銘は「ありがとうの心を大切に」。
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