大きな経済効果を生む、自転車ロードレース「クリテリウム」


マネセツ123(奥田)自転車クリテリウム/メイン

10月は、日本の自転車ファンがそわそわし始める季節。
栃木県宇都宮市にある「森林公園」を舞台に、「ジャパンカップサイクルロードレース」が開催されるからです。

日本ではマイナーな印象のある自転車レースですが、ヨーロッパでは「ツール・ド・フランス」をはじめとする大きなレースが多数あり、華やかな人気を集めています。
しかし日本でも、この「ジャパンカップ」など、観客にとって魅力のあるレースが増えてきました。
そうした試みの一つとして、近年増えているのが「クリテリウム」と呼ばれるレース。どんなレースなのか、どのような狙いがあるのか、その背景をひも解きます。
 

10月、宇都宮が「自転車ロードレース」に染まる!

 
世界を転戦するプロチームをはじめ、強豪チームが一堂に会するのは日本ではこのレースだけということもあり、毎年多くの観客が訪れる「ジャパンカップサイクルロードレース」。
昨年の観客動員数は、なんと8万2000人!
自転車ファン、とくに「ロードレース」と呼ばれる長距離カテゴリーが好きなファンにとっては、まさに年に一度のお祭りです。

この「ジャパンカップサイクルロードレース」は、1992年から開催されている歴史あるレース。
その前日イベントとして、2010年から新たに開催されるようになったレースがあります。
それが、「ジャパンカップクリテリウム」です。

「クリテリウム」とは、市街地や公園などにつくられた距離の短いコースを何周回もして勝敗を競うレースのこと。
宇津宮のジャパンカップクリテリウムも、普段はバスや自家用車、買い物客が行きかう6車線もの道路をシャットアウトして実施されます。
ファッションビルやショッピングセンターが立ち並ぶ大通りがコースに変わり、そこを疾走する自転車の一群……初めて観る人は誰もが、その躍動感に驚くことでしょう。

昨年(2015年)のレースでは4万3000人もの観客が見守る中、ヨーロッパで活躍する別府史之選手(トレックファクトリーレーシング)が日本人として初優勝。
宇都宮の街は大いに盛り上がりました。
レース以外にも、タレントによるステージやトークショー、期間限定のカフェやギャラリーなどが市内に登場。
ファンはさまざまなイベントを楽しみながら、名物のギョウザや、地元ブルワリーによる限定ビールなどのグルメも堪能! 自転車漬けの週末を過ごすというわけです。
 

そもそも、「クリテリウム」とはどんなレース?

 

色とりどりのウェアをまとった選手たちが、市街地を疾走する

色とりどりのウェアをまとった選手たちが、市街地を疾走する


 
ヨーロッパ発祥のスポーツである、自転車ロードレース。
そのヨーロッパでは、町や村のお祭りなどに合わせ、周回コースを設けて実施する「クリテリウム」が盛んです。
本格的な自転車ロードレースともなると、郊外や、時には山岳地帯などを利用した、全長100km、200kmにも及ぶものになります。

それに比べて、街中で気軽に観戦できる「クリテリウム」は、ファンならずとも気軽に楽しめる自転車レースです。
短いコースを何周もするため、周回のたびに選手を応援できるのも「クリテリウム」のいいところ。
集団の中での位置取りや、コーナーワークなども見どころになります。

すらりとした長身の選手が多い、自転車ロードレースの選手たち。
カラフルなウェアをまとった選手たちが、最新鋭の自転車を駆って疾走する姿は「カッコいい」!
詳しいことがわからなくても、楽しめてしまうのが「クリテリウム」なのです。
 

日本各地で、都市型自転車レース「クリテリウム」が開催されている!

 
マネセツ123(奥田)自転車/図表①

すでにお話したように、本来の自転車ロードレースは、アクセスが不便な場所で開催されることが多いもの。
もともと自転車ファンが多いヨーロッパでは、僻地でレースを開催しようとファンは駆けつけるかもしれません。
しかし、まだ自転車レースがマイナーな日本では、不便な場所にわざわざ出かけてレースを観戦するのは、熱心なファンばかりになってしまいます。

本番のレースの前日に、人通りの多い繁華街で「クリテリウム」を開催すれば、翌日のレースの周知につながります。
ショー的な要素の大きい「クリテリウム」を入り口に、本格的な自転車ロードレースに興味を持ってもらいたい、という狙いがあるのです。

サッカーや野球などと違い、チケット収入などが見込めない自転車ロードレース。
しかし、繁華街でレースを開催することで、有料イベントの開催、特典のついた「観覧席」の販売、といった付加価値をつけやすくなります。
自転車やウェアのメーカーも、たとえばコース付近に「ポップアップストア」を設置し、観客を呼び込む、といった展開ができます。
周辺のレストランやカフェ、居酒屋、土産物店などにとっても、メリットが生まれるでしょう。

また、レースを1日だけ開催するよりも、その前日に「クリテリウム」というお楽しみを用意することで、それまで日帰りしていた観客が「宿泊」するようになります。
そうして周辺の観光も楽しんでくれれば、その経済効果はさらに大きなものに。
たとえばジャパンカップ(ロードレース、クリテリウム)開催による経済効果は、20億円以上とも言われています。
観光誘致、まちの活性化などを考える地方都市にとって、「クリテリウム」は大きな可能性を秘めているのです。

「ジャパンカップクリテリウム」(栃木県宇都宮市)
「OITAサイクルフェス いこいの道クリテリウム(大分県大分市)
「さいたまクリテリウム」(埼玉県さいたま市)

などが、2016年秋に開催される主な都市型クリテリウム。
機会があれば、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

ちなみに本場ヨーロッパのクリテリウムは、有名選手の「顔見せ興行」として、あらかじめ「シナリオ」がある場合も多いのだとか。
日本の主催者によるクリテリウムは、文字通りの真剣勝負で行われるケースがほとんど。
自分が観戦しているレースは、果たしてどっちなのか? 考えながら観ると、クリテリウムをいっそう楽しめるはずです!

参考:「バイシクルクラブ」(枻出版社)
 
 

≪記事作成ライター:奥田ユキコ≫
生まれも育ちも東京のライター。教育や語学、キャリア、進学、サイエンス、生活の雑学、ライフスタイルなどをテーマに、雑誌や広報誌、ウェブなどの記事を手がけています。「マネセツ」では、主にスポーツと「お金」にクローズアップした記事を書いていきたいと思います。


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