自転車のビッグレース「ジロ・ディ・イタリア」。 どうして「オランダ」で開幕するの?


画像マネセツ035(奥田)/ジロ開幕なぜオランダ?

初夏のイタリアで開催される、自転車ロードレース「ジロ・ディ・イタリア」。
有名な「ツール・ド・フランス」、それに「ブエルタ・エスパーニャ」と並び、グランツール(三大ツール)と称せられる、華やかなイベントです。
イタリア全土を3週間かけてまわるのですが、近年は外国で開幕することが多くなっています。今年の大会スタート地に選ばれたのは「オランダ」。なぜこのような現象が起きているのでしょうか?
 

イタリアをめぐるレースのはずが……?

 
1909年に第1回大会が開催されて以来、100年以上もの歴史を誇る「ジロ・ディ・イタリア」。自転車の世界では、「ツール・ド・フランス」などと並ぶ格の高いレースです。「イタリアを一周する」というレース名のとおり、3週間にわたりイタリア各地で開催されます。

そんな「ジロ・ディ・イタリア」、かつてはミラノで始まり、ミラノにゴールするのが習わしでした。
1960年代ごろからその伝統が崩れ(?)、イタリアの各地、さらには周辺のヨーロッパ諸国がスタート地点に選ばれるようになったのです。

近年はその傾向が顕著で、2010年はオランダ、2012年はデンマーク、2014年には北アイルランド(英国)で開幕。
そして今年は、再びオランダが大会スタート地点に選ばれています。
おなじみの「ツール・ド・フランス」も事情は似ており、ここ数年だけでもベルギー、英国、オランダなどが開幕地となっています。
 

自転車ロードレースがもたらす経済効果とは?

 
このように、外国での開幕が一般的になった裏側には、各国(の市町村)による「招致合戦」があります。

約200人の選手が出場し、数千人のチームスタッフや大会関係者がそれを支える自転車ロードレースの世界。
「ジロ・ディ・イタリア」や「ツール・ド・フランス」のようなビッグレースともなると、メディアや広告・宣伝関係者、警備に携わる人の数も、大変な数にのぼります。
さらに、沿道では大勢のファンが声援を送ります。3週間にわたるレース期間中、沿道で観戦するファンの数は、のべ1000万人以上といわれます。
レースの模様はテレビ中継され、レースが通過する市町村の名前はさまざまなメディアによって報じられます。

これらが生み出す経済効果は、市町村にとってはとても魅力的。
「栄えあるレースをぜひ、わが町で」。全部で21あるステージの、スタート地点またはゴール地点になるための「招致合戦」が盛んに行われ、それが国外に飛び火しているのです。

招致に成功すると、市町村はレース主催者に数万ユーロの「協賛料」を払い込みます。
さらに、円滑にレースを開催するための「道路や駐車場の整備」など、多くの費用が必要となります。
それらの出費を補って余りある経済効果が、「ジロ・ディ・イタリア」や「ツール・ド・フランス」のようなビッグレースでは期待できるのです。
メディア露出による観光PR、ホテルやレストランの利用、グッズその他の売り上げ、コンサートなど関連イベントの開催……。
招致費用に対する経済効果は、一般に4~5倍。とくに注目される開幕地では、約10倍もの経済効果が生まれると言われます。
 

移動の手間をかけてでも、外国で開催するメリット

 
大会主催者にとっても、外国でのレース開催にはメリットがあります。たとえば、レースの「国際化」。まだ自転車ロードレースの人気が高くない国でレースを開催することで、新たなファン層を開拓したいという思惑があるのです。

国際化の傾向に拍車をかけているのが「テレビ中継」。「ジロ・ディ・イタリア」や「ツール・ド・フランス」は、百数十カ国、数十億人に向けて中継されており、全世界にファンがいます。沿道に詰めかける観客のうち、約20%が外国人だという調査結果もあるほどです。

移動の時間や距離の問題から、これまで大会スタート地点に選ばれているのはヨーロッパ内の国ばかり。ですが、この傾向が続けば、アジアやアメリカ、アフリカ、オセアニアで大会が開幕する日がくるのかもしれませんね!

参考:ムスタファ・ケスス/クレマン・ラコンブ(斎藤かぐみ訳)「ツール・ド・フランス100話」(文庫クセジュ)

≪記事作成ライター:奥田ユキコ≫
生まれも育ちも東京のライター。教育や語学、キャリア、サイエンス、生活の雑学、ライフスタイルなどをテーマに、雑誌や広報誌、ウェブなどの記事を手がけています。「マネセツ」では、主に「スポーツとお金」にクローズアップした記事を書いていきたいと思います。


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