2016上半期の倒産件数は1990年度以来、26年ぶりの低水準。 ところで、企業の「倒産」の正しい定義とは?


マネセツ136(岩城)倒産件数/メイン

 

倒産件数は減少。その要因の一つは、中小企業のリスケ

 

東京商工リサーチをもとにした中小企業庁の発表によると、2016年10月、上半期(4-9月)の全国企業倒産(負債額1000万円以上)状況(件数)は4216件、負債総額は6623億9200万円らのぼるとされています。

表①参照(上半期(4-9月)の全国企業倒産4216件は、表の黄色い部分の合計件数)。
 

マネセツ136(岩城)倒産件数/表①    

倒産件数は、前年同期比3.9%減で年度上半期としては8年連続で減少しています。これはバブル期の1990年度同期(3070件)に次ぐ、26年ぶりの低水準だそうです。

東京商工リサーチではその要因として、「依然として金融機関が中小企業のリスケ要請に対応しているほか、財務内容に改善の兆しがみえる企業への貸出増も追い風になっている」としています。

「リスケ」とは「リスケジュール(reschedule)」の略で、金融機関からの借入金の返済条件を変更することを指します。たとえば、企業が借入金の返済が困難になったとき、一定期間、元本の返済額を減らしたり、返済を猶予してもらったりすることです。

リスケ自体は決して新しい手法ではありませんが、注目されるようになったきっかけは、2009年12月に中小企業金融円滑化法(中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律:以下、円滑化法)が施行されたことによる、とされています。

円滑化法は、金融機関に対し、中小企業などが返済条件の変更などを申し出た場合、できる限り対応するよう求めたもの。
当初は2011年3月末までの時限立法とされましたが、その後二度延長され、2013年3月末に期限を迎えました。

 

銀行が借金の返済を求めなければ、中小企業は存続できる

 

「リスケ」をするとなぜ倒産件数が減るのでしょうか。それを議論するには「倒産」の定義を知る必要があります。

そもそも「倒産」は正式な法律用語ではなく、東京商工リサーチが1952年から「全国倒産動向」の集計を開始したことで一般に知られるようになったとされます。同社では倒産の定義として、下記のようにしています。
── 「倒産」とは、企業が債務の支払不能に陥ったり、経済活動を続けることが困難になった状態を指す。「法的倒産」と「私的倒産」の2つに大別され、「法的倒産」では再建型の「会社更生法」と「民事再生法」、清算型の「破産」と「特別清算」に4分類される。「私的倒産」は、「銀行取引停止」と「内整理」に分けられる ──

「債務の支払不能」とは借りているお金が返せないこと。
つまり「倒産」とは、資金繰りに窮して、これ以上会社を存続させることが難しいという状態になった会社を、上記のような方法で法的に整理することになります。

ただし、債務は、債権者が「お金を返してほしい」と言わなければ支払不能にはなりません。ですから、赤字の会社でも、銀行が返済を求めなければ、存続ができるのです。

円滑化法は2013年3月末に期限を迎えましたが、金融庁はその後も「金融機関が引き続き円滑な資金供給や貸付条件の変更等に努めるべき」とし、中小企業のリスケ要請に対応するように求めてきました。
結果として、「債務の支払不能」状態を先送りすることで、倒産件数が減ったのです。

マネセツ136(岩城)倒産件数/表②

 

やみくもに延命するのではなく、再建を目指す方法もある

 

円滑化法は施行当初から「モラトリアム法」とも呼ばれていました。中小企業の中には、リスケを利用して経営改善に取り組んだところもありましたが、実際には債務超過状態にある中小企業を「延命」しただけとも言われています。

ずるずると延命するだけでは、金融機関や取引先などへの債務がさらに拡大することもあります。それならばいっそ、民事再生法などを利用して債務を圧縮し再建を目指すほうがいい場合もあります。民事再生では原則として経営者が会社の経営権を維持することができます。

会社更正法も含め、再建型の手続きで倒産後も会社が存続した案件は数多くあります。吉野家、日本航空(いずれも会社更正法申請)、スカイマーク(民事再生法申請)などは再建の成功例として知られます。

≪記事作成ライター:岩城枝美≫ 
大手情報サービス企業を29歳で退社後フリーランスに。教育、結婚、通信、金融、IT、住宅、ゴルフ系の出版物、Web、社史、社内報など、20年にわたりあらゆるジャンルの取材・執筆、ディレクションに携わる。


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