筆者の愛犬ダルメシアン マリー(メス)が亡くなって2年。
生前、医療費がけっこうかさんだ記憶があったので、「次にワンちゃんを迎える時は、ぜひペット保険に」と思っていたのですが、ペットを飼っている友人・知人に聞くと、「入っていたけど、途中で解約した」という人が意外と多いのです。
最近、様々なメディアでよく見聞きするようになった「ペット保険」。
成長のかげでどんな仕組みになっているのか、気になったので調べてみました。
まず、筆者の飼い犬で試算してみた
ダルメシアン、マリーの場合、保険に入っていたほうがよかったのかを具体的に検証するために、ペット保険大手のウェブサイトに従って試算してみることにしました。
最初にお断りしておきますが、これは、あくまでも筆者の愛犬マリーの場合です。
ペットを飼っている人すべてにあてはまるものではないので、ご了解ください。
加えて、ネット上に書いてあるペット保険大手の情報から、筆者が勝手に解釈した結果が含まれています。
── しかし、どうでしょう。内容を見て驚かれた方も多いのではないでしょうか。
意外と多い「保険適用外」
必ずしも「保険適用外」とは決めつけられませんが、3歳の時に「膀胱結石ができやすい体質」と診断されたことについては、獣医師から「生まれつき」と言われていることから、「保険加入前からの先天的な病気」とみなされる可能性が高いといえます。
また、フィラリアは、「ワクチンを打っていれば防げる病気」とされ、保険は適用されません。結果、マリーの場合は、生涯の保険対象となる治療費は34万円となります。
それに対して、保険料はどうでしょうか。13歳までの『スタンダードタイプ70%限度日数あり』の保険料の単純合算は約85万円です。
※最近改定された料金表には、8歳からの料金体系の記述がありませんので、一つ古い料金体系の表を参照しました。また、当年保険請求による翌年保険料の増減は考慮していません。
保険対象の治療費は34万円で、通院日数や一回の手術費用などの上限は無視することにして、単純にその70%が支給されるので、23万8000円。
85万円〈保険料〉>23万8000円〈支給額〉という結果に。
仮に、膀胱結石が保険対象になったとしても、対象となる金額は48万円。その70%は、33万6000円なのです。
病院窓口の支払いはゼロにはならない
先に述べた「途中で解約」と言う人の多くの理由は、「『保険料が高い』と感じたから」でした。
もう少し詳しく言うと、「手術や入院を伴うような大病やケガをしない限り、それほど効力を感じない」ということなのです。
ペットを飼っている人なら共感する部分も多いと思いますが、「通常、動物病院でお金を支払う機会がいちばん多い。定期検診やワクチンの予防接種には保険が効かないので、なんだか病院の窓口でいつもお金を支払っているのに、保険料も支払うのはどうなんだろう」と感じてしまうわけですね。
とはいえ、ペット保険大手のウェブサイトによると、1年間に契約者の62%が保険金支給の恩恵にあずかっているそうです。また、高額の手術が増えているのも事実ですから、「いざという時に備えて保険に入っておく」という選択は、否定されるものではありません。
また現在、ペット保険業界は、それほど収益が上がっていないという声もチラホラ耳にします。そのためか、以前は存在した「日数制限なし」「90%補償」も姿を消しつつあります。
── 一般的に、犬や猫は高齢になると急激に医療費がかかる傾向にあります。
それに備えて、ペットを飼い始めると同時に、積み立てを始めておくか……、いざという時に安心の保険に入っておくか……、ウェブ上で試算ができますので、ぜひともそれを活用して、家族でよく話し合ってみるとよいでしょう。
何より、保険としてきちんと成立し、かつ飼い主も安心して病院に行ける。今後はそんな保険に発展していくといいですね。
≪記事作成ライター:前田英彦≫
同志社大学工学部(現理工学部)出身。株式会社リクルートに11年間在籍、広報室マネジャーなどを経て独立。数々の起業家、創業経営者との出会いを通して、日々成長中。独立時に設立した会社は現在18期目を迎えている。「『レジを打ったことのない人間に小売りの何がわかる!』と流通業の顧客に言われて悔しかったことがきっかけで、たい焼き屋も展開。大学を卒業して30年。突如理系仕事に目覚め、最近では製造業の職人になってしまったという噂も。ダルメシアン、テニス、ゆで卵を愛す。
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