農林水産物・食品の輸出額世界1位は……アメリカ。では第2位は?


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答えはズバリ、オランダです。
これを当てられる方は少ないのではないでしょうか。

以降、3位/ブラジル。4位/ドイツ、5位/フランス、6位/中国、7位/カナダ……と続きます。
では日本はというと、ずーっとランキング表の下の方の47位です。ここで「ちょっと待てよ、オランダって3位以下の国より、ずっと国土が狭くない?」と疑問がわいてきます。オランダがこんなに強いのはなぜなのか、調べてみました。

 

オランダと日本を比較してみたら……

 

まずは2015年、1位のアメリカの農林水産物・食品の1449億ドルです。そして2位のオランダは、886億ドル。日本は過去最高を記録した2015年、やっと7452億円、1ドル110円で換算すると、67.7億ドルでひとケタ違います。ここでオランダと日本を比較してみましょう(「オランダと日本の農業条件の比較(2012年)」参照)。

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「オランダ:日本」で見てみると、「国土面積は1:9」。「農地面積は1:2.4」。「人口は1:7.6」と差がありますが、オランダの輸出額は日本の10倍以上にのぼります。
単純に人口ひとりあたり、単位面積当たりの輸出額だけで見れば、何十倍も違うことになります。これはかなりの驚きです。
「オランダに比べて日本の農林水産業はそんなにダメなのか」とガックリしそうですが、そうではありません。そこにはちゃんと理由がありました。

 

EU諸国は、単一市場

 

ご存じの通り、オランダは、EUに加盟しています。農林水産物・食品における輸出の8割は、関税もなければ検疫も非常に緩やかなこの地域向けです。
さらに、農産物の輸入額が輸出額の3分の2の568億ドルにのぼっていることから、原料を輸入して、加工して輸出する貿易や、単にオランダを通過するだけの中継貿易が盛んだということができます。純粋に自国で生産した物だけに限定すると、日本との差ももう少し縮まりそうですね。

 

革新的農業経営によって、農産物の輸出大国に

 

日本では、国際競争力をつけるために、農業経営の大規模化が叫ばれています。確かに、1戸あたりの経営面積で比べると、オランダは日本の8倍以上あります。しかし、この数字、フランスやドイツに比べるとまだまだ小さいのだそうです。
そのため、花き・野菜のように、広大な面積でなくても比較的収益が上がりやすい品目の生産・輸出に集中、穀物等は周辺諸国からの輸入に依存することにし、非常に先進的な取り組みを試みた結果、今では1ユーロの輸出に対して、64ユーロセントもの利益を生む効率経営を実現しています。そういえば、日本のホームセンターで見るチューリップの球根は、ほぼほぼオランダ製ですね。

オランダを、オランダ語で発音すると、ネーデルランド。この意味はなんと「低い国」。
国土の26%が海よりも低く、湿地が非常に多いという恵まれない環境を、長い時間をかけて克服してきたオランダ人のプライドが、その国名に込められています。オランダ人の風車は、現代日本ではIOTなのかもしれません。日本ならではの技術を活かして、高付加価値な野菜や果実を育てることは、すでにあちらこちらで始まっており、日本政府は「平成31年に農林水産業・食品で、1兆円(およそ90億ドル)の輸出を目指す」としています。
いつか、オランダのように、農産物の輸出大国になって、世界の食糧危機に貢献できる国になるといいですね。

≪記事作成ライター:前田英彦≫
同志社大学工学部(現理工学部)出身。株式会社リクルートに11年間在籍、広報室マネジャーなどを経て独立。数々の起業家、創業経営者との出会いを通して、日々成長中。独立時に設立した会社は現在18期目を迎えている。「『レジを打ったことのない人間に小売りの何がわかる!』と流通業の顧客に言われて悔しかったことがきっかけで、たい焼き屋も展開。大学を卒業して30年。突如理系仕事に目覚め、最近では製造業の職人になってしまったという噂も。ダルメシアン、テニス、ゆで卵を愛す。


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