介護保険法改正案が衆議院を通過! 改正ポイントは?


 

去る4月18日、介護保険法の改正案が衆院本会議において自民党、公明党、日本維新の会の賛成多数で可決されました。

厚生労働委員会での強行採決により一時騒然となった介護保険の改正も無事に衆議院を通過したことで、法案は参院での審議を経た上、今国会で成立する見通しです。
2000年に始まった介護保険制度は高齢化の急激な進行で財政が悪化、存続のために現役世代の介護保険料がこの3月に値上げされたばかり。なぜまた変更されるのでしょうか。サービスを利用する場合の自己負担割合も一部とはいえ3割時代へ突入します。
介護保険のしくみと財源についてあらためて見直すとともに、今回の改正のポイントを探ってみましょう。

 

介護保険のしくみと財源

 

介護保険は高齢者の暮らしを社会全体で支えるための公的な保険です。市区町村が主体となり、高齢化が進む社会で介護費用を担うためのしくみとして1997年12月に介護保険法が成立し、2000年4月から施行されました。40歳以上の人すべてが加入して保険料を支払い、65歳以上で介護が必要となった場合、介護認定を経て介護サービスを受けることができます。また、40歳から64歳の人が末期がんなど特定の疾患で介護を必要とする際にも受給できる制度です。

介護保険の財源を大まかに言うと、国、都道府県、市区町村が半分、被保険者が半分を担っています。財源構成を細かく見ると負担割合は図表1のようになります。ただし、特別養護老人ホームなど入所系の財源については、国が20%、都道府県が17.5%の負担割合です。

 

 

 

第1号被保険者、第2号保険者とは

 

第1号被保険者とは65歳以上の加入者を指します。認定を受ければ介護保険の受給者になれる高齢者です。支払う介護保険料は市区町村によって異なるため東京都目黒区を例にとると、所得に応じて第1段階から15段階に分かれています。年間の保険料は3万1212円~20万8080円となっており、3年ごとに見直しがあります。第1号被保険者の支払う保険料の基準額は5万3200円で、ひとりあたり保険料の全国平均は約5万円です。

これに対し、第2号被保険者は現役世代とも呼ばれる40歳から64歳までの加入者です。保険料はそれぞれが属している健康保険者が徴収しています。公務員や民間のサラリーマンの場合、保険料は受け取る給料によって異なり保険料の半額は事業主が負担します。また、自営業の人など国民健康保険に加入している場合は、保険料は所得や資産に応じて異なり、保険料の半額は公費でまかなわれます。

 

介護サービス自己負担3割時代へ

 

今回の介護保険法改正で最も大きなポイントは、一部の受給者の自己負担割合の変更です。所得金額の合計が220万円以上で、年収340万円以上(年金のみなら344万円以上)の人は受給の際、自己負担割合が現在の2割から3割になります。この改正により負担が増えると予測されるのは約12万人で、受給者全体の3%にとどまります。

とはいえ、2015年の改正で合計所得が160万円以上の人の負担率が1割から2割に上がったばかりです。高齢者の生活の変化を十分に検証されることがないまま踏み込まれた今回の改正にとまどう人も多いことでしょう。今回の負担増は、年収340万円以上という微妙な線引きによって決められたため、生活が楽とはいえない中間層が含まれることとなり、不公平感につながりかねません。引き上げは2018年8月に行われる予定です。

 

現役世代の介護保険料を改定し、総報酬割へ

 

第2号被保険者(40歳~64歳)の介護保険料の額は、これまで医療保険者ごとに第2号被保険者の加入数に応じて決められていました(加入者割)。改正案では、国民健康保険を除く、共済組合や健康保険組合、協会けんぽについて、それぞれ加入者の報酬額に比例して決めるしくみ(総報酬割)に改められます。改正により、賞与を含む高額の報酬を受け取る公務員や大企業の被保険者の保険料は増額となり、報酬が比較的少ない中小企業の被保険者の保険料は若干減少します。

具体的に見ていきましょう。2017年8月から段階的に見直される平均保険料は図表2の通りです。2019年4月には、平均年収553万円の公務員が所属する共済組合では月額1972円の増、平均年収456万円の大企業従業員が属する健保組合では月額727円の増であるのに対し、平均年収315万円の中小企業従業員が加入する協会けんぽでは月額241円の減となります。

 

 

── 2000年に介護保険制度が始まって以来、高齢者が安心して暮らせる社会とするべく、サービスのしくみを変更したり、制度の維持存続を図るために介護保険料や介護報酬の改定が行われてきました。高齢化が進む社会で国民が公平に介護サービスを受けられるためには、このような改正はどうしても避けられないことですが、今回の介護保険法改正によって、わが国の介護行政が少しでもよい方向へ進んでいくことを願わざるをえません。

≪記事作成ライター:山本義彦≫
東京在住。航空会社を定年退職後、介護福祉士の資格を取得。現在は社会福祉法人にて障がい者支援の仕事に携わる。28年に及ぶクラシック音楽の評論活動に加え、近年は社会問題に関する執筆も行う。


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