加熱式たばこの普及によって、紙巻きたばこ値上げの“悪夢”は訪れるか?



 
スモーカーを卒業して2年になる筆者ですが、この2年の間に副流煙が出ずニオイもつかない「加熱式タバコ」なるものが登場。

「周囲にとっても、本人にとってもよさそう」というイメージから、じわじわ喫煙家の間に浸透していることは、皆さんもよくご存じのことでしょう。
さてこの「加熱式タバコ」、いいことずくめに思えますが、その急激な人気の高まりをみた財務省が、さっそく「たばこ関連の増税」を再び狙っているらしいのです。なぜ、そうなるのか……。
そこで今回は、同僚かつヘビースモーカーのH氏と一緒に調べてみることにしました。

 

加熱式たばこのほうが、実は税率は低い

 

現在、標準的な紙巻きたばこ「一箱440円」に対する、国税、地方税すべてを概算すると277.47円となり、「一箱440円」のたばこにかかっている税率は63.1%にもおよびます。私の同僚のヘビースモーカーH氏の場合は、月に約3万円のたばこ代を使いますので、なんと毎月約2万円もの税を負担していることになります(この事実を伝えた時点で、H氏はかなり不機嫌になっていました)。
それに対して、加熱式たばこの税負担率を比較してみましょう。
●「IQOS(アイコス)」が49%(定価440円、税負担額226円)
●「glo(グロー)」が36%(定価420円、税負担額151円)
●「PloomTECH(プルームテック)」が15%(定価460円、税負担額60円)……となります。
それぞれ税負担額に差があるのは、使用されているたばこの葉の量に差があるからだそうです。

 

 

このように「加熱式たばこ」は「紙巻きたばこ」に比べて税負担額が少ないため、「紙巻き」から「加熱式」にスイッチする人が増えれば増えるほど、当然ながら税収は減ることになります。そうしたことから、ここ数年2兆円台前半で推移していたたばこ税が、2017年度は500億円ほど減り、きたる2020年度には3000億円ほど減る……という調査結果も公表されているため「これは大変だ!」と財務省が考えないはずがないのです。

 

値上げは紙巻き? それとも加熱式?

 

ではここから、「紙巻きたばこ」愛好家H氏が予想する、やや“被害妄想的”な悲劇のシナリオをお届けしましょう。
■財務省は、なんとか2兆円台の税収をキープしようとする
     ↓
■キープするためには増税しかないが、加熱式と紙巻きのどちらを増税すべきか考える
    ↓
■筋でいえば、課税対象は税率が低い加熱式と考える
    ↓
■しかし、加熱式の販売価格が紙巻きより突出して高くなるのは「周囲や自分の健康を思ってチェンジしたのに」と、加熱式派から反発を受けそうだとも考える
    ↓
■「それならいっそ両方上げちゃえば、価格差がなくなるのでは」と考える
    ↓
■いやいっそ、“紙巻きは悪”はすでに定着しているし、紙巻きにすべて転嫁すれば文句言う人が少ないのではないかと考え、紙巻きたばこの値段が上がる
上記フローにはH氏の“被害妄想的”な発想も含まれていますが、「欧米では、一箱1000円はもはやあたり前」という“最強の切り札”が待ち構えていることに加えて、“もう何でもあり”の今、上記に想定したフローも十分に起こりうるシナリオと考えてよいでしょう。
余談ですがH氏はビールも大好き。これまたビールにかかる税率も40%以上であることを知り、もはや「おれって、酒とたばこの税金を納めるために働いているみたい、真面目に所得税とか住民税は払っているのにひどすぎる」とうなだれていました。
さらに、「所得が高い人は、ある目標に向かって努力することが得意で意志が強い。よってたばこに手を出さないか、もしくは出しても禁煙しやすい。こうしたサイクルから喫煙率が低い」と一般的に言われ、新聞・雑誌等でもそうした論調を目にする機会も増えています。その逆のタイプについてはここであえて言及しないものの、後者に該当するH氏はすっかりノックアウト気味だったのです。

 

月5万円のタバコ+酒代、そのお金は投資にまわせる

 

ちなみに、たばこ産業の「2017年全国たばこ喫煙者率調査」によると、成人男性の平均喫煙率は28.2%。これは昭和40年以降のピーク時(昭和41年)の 83.7%と比較すると、50年で55%も減少しています。これに対し、成人女性の平均喫煙率は9.0%であり、ピーク時(昭和41年)より減少しているものの、ほぼ横ばい状態で推移しています。
冒頭でも述べましたが、筆者の禁煙歴はまだ 2年。偉そうに言えた話ではなく「たばこをやめた途端、いきなり嫌煙家になるいやなヤツ」にならないよう律すると同時に、正直いえば居酒屋などにいると、まだまだたばこが恋しい時もあります。でも「一本くらいなら大丈夫」という安易な心持ちによって一度禁煙に失敗しているので、もう決して手を出さないよう心がけています。
そんな筆者は、「タバコをやめて、さらに酒を減らしたら月5万円くらいは浮くよ。月に5万円もあれば国に貢ぐのではなく、クラウドファンディングにでも投資して有望な起業家を応援することも、その見返りも期待することができるよ」とH氏に話してみたのです。しかし、H氏には筆者のアドバイスも耳に届かず、うなだれたままの状態。次の一歩となる禁煙についても決心がつかないようですが、H氏のような紙巻きたばこ愛好家も、そして加熱式タバコ愛好家も、今後国家がどのような税策を講じてくるのか、しっかり見届けたいものですね。

≪記事作成ライター:前田英彦≫
同志社大学工学部(現理工学部)出身。株式会社リクルートに11年間在籍、広報室マネジャーなどを経て独立。数々の起業家、創業経営者との出会いを通して、日々成長中。独立時に設立した会社は現在18期目を迎えている。「『レジを打ったことのない人間に小売りの何がわかる!』と流通業の顧客に言われて悔しかったことがきっかけで、たい焼き屋も展開。大学を卒業して30年。突如理系仕事に目覚め、最近では製造業の職人になってしまったという噂も。ダルメシアン、テニス、ゆで卵を愛す。


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