長く続くお城ブームが、いま空前の盛り上がり! その意外な背景と課題は?


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いま、空前のお城ブームにわいている。

“レキジョ”に代表される歴史ブームの到来、『真田丸』『西郷どん』といったNHK大河ドラマのヒット、そして外国人観光客の増加などの要因が重なり、日本古来の美しさを再認識できる場所としてお城が大人気となっているのだ。

2018年末、横浜で開催された“城好き”を対象としたイベント「お城EXPO」には、3日間で延べ約2万人の人が来場した。お城のどこに人々は惹きつけられるのだろうか。今回はお城ブームの実態に迫るとともに、これからの展望と課題についてもまとめてみたい。

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お城は、日本にいったいいくつある?

かつて日本には、およそ2万5000ものお城があったといわれている。単に柵で囲っただけの砦のような細かいものも含めれば、4万〜5万もの城があったという説もある。

戦国期から江戸初期にかけては、3000ものお城が一気に築城されたとされている。それが徳川幕府によって170ほどに整理され、さらに明治維新や明治期に発布された廃城令、そして太平洋戦争などで多くが失われることとなった。

現在、築城された当時の姿を残す「現存天守12城」と呼ばれるのは、以下のお城だ(順不同)。このうち5基が「国宝五城」とされ、7基が国の重要文化財に指定されている。
●松本城(長野県/国宝五城)  ●犬山城(愛知県/国宝五城)
●彦根城(滋賀県/国宝五城) ●姫路城(兵庫県/国宝五城)
●松江城(島根県/国宝五城) ●弘前城(青森県)
●備中松山城(岡山県) ●丸岡城(福井県)
●丸亀城(香川県) ●伊予松山城(愛媛県)
●宇和島城(愛媛県) ●高知城(高知県)

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お城の分類、名称あれこれ

●復元天守/木造復元天守
上記以外に、古い写真や図面などをもとに、当時のままの天守を忠実に再建したものを「復元天守」といい、このうち材料や工法なども当時のまま忠実に再現し、外観のみならず内部まで復元しているものを「木造復元天守」という。これには白河小峰城(福島県)、掛川城(静岡県)、大洲城(愛媛県)などが分類される。

●外観復元天守
また、復元天守のうち、鉄筋コンクリートなどを使い、現代の工法で再建したものを「外観復元天守」いい、これには名古屋城(愛知県)、岡山城(岡山県)などがあてはまる。

●復興天守
さらに、昔の資料がなかったりして、当時とは異なる天守を再建したものは「復興天守」と呼ばれ、大阪城(大阪府)や小田原城(神奈川県)などがこれにあたる。

●模擬天守
そして、実際はなかった天守を造ったり、別の場所に再建したりしたものは「模擬天守」と呼ばれ、清洲城(愛知県)、今治城(愛媛県)などがこれにあたる。

ひと口にお城といっても、必ずしも昔からの天守が残っているものではなく、現代の工法で復元したものが多い。また、天守などの建物がなく、石垣や土塁の跡だけが残っている城跡も多く存在する。

このようなものを含め、現在見学できるお城は全国に約200城あるといわれている。

そもそも、お城ブームが始まったきっかけとは?

いまのお城ブームは、いったいいつから始まったのだろうか。
ひとつのきっかけと言われているのが、2006年、財団法人日本城郭協会による「日本100名城」の選定だ。翌07年には公式ガイドブックが発売され、同時にスタンプラリーがスタートし、これで多くの人がお城めぐりをするようになった。

お城めぐりのバイブルともいえる書籍が、異例の大ヒットを続けている点も見逃せない。
●『日本100名城に行こう』36万部
●『日本100名城公式ガイドブック』14万部
『続・日本100名城公式ガイドブック』5.7万部
(いずれも公益財団法人日本城郭協会監修・学研発行)

このように、どの本にもスタンプ帳が付いていて、お城めぐり必携のガイドブックとなっている。このお城ブームと並行するように、神社やお寺の御朱印を集めるブームも続いており、いかに日本人が「スタンプ好き」かがわかる。

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全国49のお城の管理団体が加盟する「全国城郭管理者協議会」によれば、2015年度のお城の総入場者数は約2200万人。2018年は明治維新150年にあたり、NHK大河ドラマ『西郷どん』の影響などにより、さらにお城を訪れる人が増加している。

入場者数のランキング上位には、大阪城、名古屋城、二条城、姫路城、首里城など、観光の目玉となっている城が名を連ねる。いずれも150万人超の入場者数を誇るビッグネームだ。
ランキングトップは大阪城で、2017年の入場者数は256万人。3年連続で前年度を更新している。

姫路城も平成の大改修が完了した2015年から入場者数を伸ばし続け、トップ3に迫る勢い。なんといっても「現存天守12城」に数えられ、世界遺産にも指定されている城だ。これからも多くの人を呼び寄せることになるだろう。

SNSやお城アプリの影響で、新たなブームも

このお城ブームは、100名城選定から数えて10年以上も続いていることになる。最近では、スタンプラリーの他にも、人気を後押しするさまざまな仕掛けが登場してきている。
そのひとつは、そう、SNSだ。流行りのインスタグラムに自分の好きなお城の写真を投稿するなど、城好きの人たちの情報交換の場が増えている。

また、スマートフォンのアプリも“城人気”に拍車をかけている。
「発見!ニッポン城めぐり」というアプリは、地図上の位置情報をもとに、近くにある城を攻略するゲーム。アプリに出てきた城をひとつずつ攻略していくことから、スタンプラリーと同じような遊び方ができる。

最新の仮想現実の技術を使ったアプリで、「AR滝山城跡」は、かつて(現)東京都八王子市にあった滝山城の歴史を、バーチャルで体感しながら学べるアプリ。2018年に八王子市観光課が制作したものだ。

さらに各地方のいろいろなお城が、それぞれプロジェクションマッピングやコンサートなどのイベントを仕掛けたり、人気ゲームとのコラボレーションをしたり……。若年層から高齢層まで、幅広い層を取り込んでいるさまざまな仕掛けが、現在のお城ブームを支えている大きな要因ともなっているのだ。

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観光客が増え、公開と保存のジレンマも発生

城ブームの陰で、課題も浮き彫りになっている。そのひとつに、観光客の増加による史跡損傷や渋滞などもある。貴重な文化財であるからには公開し、多くの人に見てもらうことがその大きな役割となるが、その一方で、多くの人が訪れれば渋滞、ごみ、文化財の損傷など、さまざまな問題が出てくることは必至だ。公開と維持・保存。それぞれのお城は、その両立に頭を悩ませるようになっている。

名古屋城は、現行の鉄筋コンクリート製の天守閣の耐震構造に難があり、取り壊すことになった。そして、名古屋市としては、本来の木造天守を再現すべく、昔ながらの階段構造の計画を発表した。しかし、障がい者も天守に登れるよう、エレベーターなどを取りつけるべきとのクレームが発生している。これも公開と保存のジレンマとして、どこに着地点を見つけるか注目されている。

── ブームの影にはさまざまな問題も浮き彫りになっているが、外国人観光客の増加などもあり、お城ブームはまだまだ続いていきそうだ。
そして、いよいよゴールデンウイークに突入する。観光名所にもなっている名城は、多くの人々で賑わうことは必死だ。落書きをする心無い人、ゴミをポイ捨てする人が一人でも出ないよう、祈るばかりだ。

≪記事作成ライター:三浦靖史≫
フリーライター・編集者。プロゴルフツアー、高校野球などのスポーツをはじめ、医療・健康、歴史、観光、時事問題など、幅広いジャンルで取材・執筆活動を展開。好物はジャズ、ウクレレ、落語、自転車。


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