知っておきたいソーシャルレンディング──ソーシャルレンディングと株式投資の違いとは


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ここ数年、株を中心に投資を行っていた個人投資家たちの間でも、さまざまある金融商品の中でソーシャルレンディングという新たな投資手法に興味を持つ人が増えてきています。

加えて、「老後2000万円問題」に端を発し、資産形成に動き出す個人が急増していると大きく報道されています。ネット証券では実際に、投資未経験者の20代〜40代が貯蓄から資産運用へと動き出す大きなムーブメントが起きており、ソーシャルレンディングの人気が顕著に高まっているとされています。

そこで今回は、株式投資や投資信託などのいわゆる従来型の投資と、ソーシャルレンディングでは何が違うのか、その基本をおさらいしていきましょう。

ソーシャルレンディングと株式の決定的違い

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ソーシャルレンディングとは、ソーシャルレンディング事業者がインターネット上で、ファンドの募集を行って投資家から出資を募り、集めた出資金を企業などに貸し付ける仕組みです。この仕組みとはつまり、「お金を借りたい企業」に、「お金を貸したい人(投資家)」が「融資」という形で投資を行い、その運用による収益の分配金を得ようとするもの。

対して株式投資とは、上場している株式を投資家が売買することで、値上がり益(キャピタルゲイン)を得ようとするもの。
また、株を所有することで企業が利益を出せば、その一部を配当(インカムゲイン)という形で受け取ることもあります。

上記の簡単な説明から、ソーシャルレンディングは「融資」であり、それに対し、株式は「投資」であるという決定的な違いがわかります。

需要と供給で成り立ち、値動きが予測できない株

株価は、その株を欲しい人が多いほど株価が上がり、売りたい人が多ければ株価が下がるという需要と供給で成り立っています。

シンプルでありながら投資としての難しさがあるのは、株価の推移には、その企業の業績や社会的信用などはもちろん、業界全体の動き、国内外の経済や各国の情勢などさまざまな外部要因が絡む場合があるためです。

値動きを読むには、経済、政治、業界動向など広範な知識が必要ですが、持ちうる知識で株価の値動き予測をすることに投資のダイナミズムを感じる方もいるでしょう。また投資信託も同じく、株価は一定ではないためリスクが伴います。

需要と供給による変動がないソーシャルレンディング

株価が予測不可能な値動きをするのに対して、ソーシャルレンディングの場合、ほとんどのケースですでに予定利回りは決定されています(※ただし、あくまで予定であり保証されているものではありません)。

しかし株価のような、さまざまな要因を反映した需要と供給による変動というものはなく、かりに日経平均株価が値下がりしようとも、値上がりしようとも、また融資した案件が予定利回りよりも収益が出ようとも、予定利回りが急に上がったり下がったりすることはありません。

このように、ソーシャルレンディングは、一度投資してしまえば日々の値動きに対して一喜一憂することがない点が大きな特徴といえます。

運用期間中は解約できないソーシャルレンディング

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ソーシャルレンディングには運用期間(大体3カ月から2年程度)があり、運用期間中の途中で解約できない仕組みになっていることが、株式投資と大きく違う点となります。しかし見方を変えれば、「解約できない」という仕組みは、一つのリスクととらえることもできます。

たとえば、生活に必要な資金までソーシャルレンディングの投資に回してしまうとなれば、生活を圧迫してしまうことになりかねません。また仮に、借り手の企業がローン返済を遅延した場合、投資家への返済も遅延する事態が起こりえます。このような遅延リスクがあることも、しっかり念頭に置く必要があります。

そして、株の場合はリスクを避けるために、保有株が下がりそうなタイミングで売り逃げするという選択肢がありますが(現実的には難しいとしても)、ソーシャルレンディングの場合はそれができません。

これはどういうことかというと、融資案件に対して債務者が返済できない=デフォルト(貸し倒れ)が発生したとしても、融資を引き上げることはできないからです。
もう一点、ソーシャルレンディングで得た利益は「雑所得」になることを付け加えておきましょう。「所得」という括りになるからには、税金が高くなる可能性があることを最初に理解しておく必要があります。

しっかり見極めたいリスク対策

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このように株とソーシャルレンディングは、どちらも元本を保証したものではありませんが、リスクのあり方も大きく違います。

では、ソーシャルレンディングの場合、どのようにリスク回避を考えていくべきでしょうか。

最大のリスクであるデフォルトが発生した場合を想定し、まず不動産などの担保の有無、さらに不動産担保評価額(売却時の金額)などは必ず確認するようにしましょう。

加えて、担保評価額に対しての総借入額はいくらなのか。また、抵当権の順位はどのようになっているのか。このような点はファンド情報として開示してあるので、ぜひ確認しておきたいポイントです。

最後に、こうしたファンドを扱うソーシャルレンディング事業者が信頼できるか否かも、リスク回避の重要ポイントになります。信頼できるか否かを見極めるのは難しい側面もありますが、例えば過去の実績もひとつの指標になりえるでしょうし、リスクに対しての管理のあり方、コンプライアンス体制など、その事業者が安心できる業者であるかどうかが、ソーシャルレンディング投資のリスク回避の第一歩となることは間違いありません。

あら図らず? 意図通り? “かの大臣”の思惑は?

さまざまある資産運用方法の中でも、最近は特にNISAやiDeCoに注目が集まっているようですが、同時に投資型クラウドファンディングや、ソーシャルレンディングにも大きな注目が集まっています。この変化を受け、本記事では株式投資とソーシャルレンディングの2つの視点をもとに、ソーシャルレンディングについてご紹介しました。

── 今後さらにソーシャルレンディング人気が高まり、 “貯蓄”から“資産運用”に方向転換していく投資初心者が増えれば増えるほど、政府が掲げた「貯蓄から投資へ」のスローガンが、長い足踏み状態を経て、ついに“絵に描いた餅”ではなくなることを意味します。
これはすなわち、報告書受け取り拒否というパフォーマンスをとった「老後2000万円問題」の渦中にあった“かの大臣”にとって、事の発端となった金融庁の報告書が意図する方向に国民が動いていることを意味します。投資初心者が急増している現状を見て、“かの大臣”はおそらく、かげで“にんまり”していることでしょうね。

≪記事作成ライター:ナカムラミユキ≫ 
千葉出身。金沢在住。広告制作会社にて、新聞広告を手がける。映画、舞台からメーカー、金融まで幅広い記事広告を担当。著名人インタビューや住宅関連、街歩きコラム、生活情報まで興味の赴くまま執筆しています。


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