話題のSDGsとは?私たちにどうかかわるの?  第4回


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前回に引き続きSDGsの目標をひとつずつ解説していきます。

17の目標はそれぞれが重要ですが、単独ではなくお互いに関連していることも忘れてはなりません。例えば、目標14は「海の豊かさを守ろう」ですが、これは目標15の「陸の豊かさも守ろう」と密接に関連しています。
「牡蠣の漁師は山に木を植える」という言葉をご存じでしょうか。日本有数の牡蠣の養殖地である宮城県気仙沼市の漁師による大川上流の植林や、広島県の牡蠣養殖業者たちが行っている「漁民の森づくり」がよく知られています。美味しい牡蠣を育てるには海に流れ込む川の環境を守る必要があり、そのためには豊かな緑の森が不可欠だからです。
ひとつひとつの目標を統合して問題を解決することがSDGsの本質だということを念頭に置いて読み進めると理解が深まるでしょう。17もの色が輪になっているSDGsのロゴには、こうした考えが映し出されているのです。

ジェンダー平等を実現しよう

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ジェンダーが平等であること、すなわちすべての人が性を理由に差別されないようにすることが目標です。世界中の女性や女の子に力を与え、人身取引、強制結婚、児童労働など、さまざまな暴力や差別を撤廃しなくてはなりません。
また、女性が政治、経済の意思決定に参加し、妊娠と出産に関する女性の権利を守ることなど、ジェンダーの平等を促進する政策の強化や社会の改革が求められています。
残念なことに2019年6月28日に発表されたSDGs達成度ランキングで、日本は昨年に引き続き15位にとどまりました。目標12「つくる責任、つかう責任」や目標13「気候変動に具体的な対策を」とともに、目標5の得点の低さが足を引っ張る結果となっています。
具体的には、女性国会議員の数の少なさ、男女の賃金格差、無償労働(家事・育児など)を行う時間の男女格差での評価が低く、ジェンダー平等の実現はまだまだ、といわざるを得ません。また、性的マイノリティの人たちに対する国民の意識改革や法的制度の整備もいまだに進んでいないのが現状です。

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《私たちにできること》
「女性だから」「男性だから」と決めつけるのをやめること、それが第一歩となります。女性の権利についてSNSで共感できる投稿を見つけたら、友達にシェアして拡散するのも良いでしょう。
企業としては、家族向けのマイレージプログラムを同性カップルも登録できるようにしたANAや、社内規定で同性婚を容認したパナソニックのようにLGBTへの更なる対応が求められます。

安全な水とトイレを世界中に

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すべての人が安全な水源と衛生施設を利用できるようにすることが目標です。世界中で安全な水が使えるようにすること、下水処理やごみ処理などの衛生設備が整った環境で暮らせることを目指します。また、水質管理や水の再利用に取り組み、水や衛生環境の改善に地域社会が積極的に対応することが求められます。
現在、世界人口の40%を超える人々が水不足の影響を受け、24億人もの人たちが、トイレのない生活を強いられています。また、衛生的な水が得られないことが原因で、毎日4千人の子どもたちが命を落としています。この状況を改善すべく、水源に化学物質や汚染物質が入らないように地域社会が水の管理や衛生環境の改善に務める必要があります。

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《私たちにできること》
わが国では、ひとりが一日に約219リットルの水を使っています(東京都水道局 平成27年度)。そのうち風呂が40%、トイレが22%、炊事・洗濯で32%、洗面その他が6%です。風呂とトイレだけで全体の62%を占めているので、これらを優先的に減らせばかなり節水ができそうです。
水を流しっぱなしにせず、蛇口をこまめに閉めて水資源を無駄にしないことを基本とし、洗濯を数日に一回にする、お風呂のお湯を張り過ぎないように注意する、シャワーをこまめに止める、など私たちにできることはたくさんあるのです。

エネルギーをみんなにそしてクリーンに

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手ごろな価格で、信頼できる持続可能な現代的エネルギーをすべての人が利用できるようにすることが目標です。
簡単にいうと、石油や石炭などの一度燃やしてしまったらもう使うことができないというエネルギー源ではなく、新しい設備や進歩した技術を使って、価格が低く安定して得ることのできる電気などの近代的なエネルギーをすべての人が使えるようにする、ということになります。実現のためには、太陽の光や海の潮の力など、自然の力でつくる再生可能エネルギーがカギを握ります。
世界人口の13%にあたる人たちは家で電気が使えません(国連調査)。誰もが電気を使える環境にいるわけではないのです。私たちは無駄使いをせず、温室効果ガス排出量の約60%を占めるエネルギーを節約する必要があります。さらに、環境負荷の低い、再生可能なクリーン・エネルギーの割合を世界中で拡大しなくてはなりません。

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《私たちにできること》
家庭の白熱電球をLED電球に取り替えることで、電力消費が約十分の一となり、エネルギー消費を減らすことができます。エアコンの温度設定を夏は高め、冬は低めにセットする、電気をつけっぱなしにしない、など電力を無駄遣いせず、エネルギーを節約しようとする私たちの心掛けが地球環境を守ることに繋がるのです。

働きがいも経済成長も

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適切な仕事と経済成長が目標となります。自然資源が守られるなか、誰もが参加できる経済成長を押し進め、すべての人が働きがいのある人間らしい仕事ができるようにする、ということです。
児童労働や強制労働がないことはもちろん、不平等や危険もなく、安全に働ける場所や環境が普通に提供される世界をつくることが課題です。
自分たちのニーズについて自由に話し合える職場環境で、世界中の人たちにディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の機会が与えられなくてはなりません。尊厳ある労働で家族を養い、経済成長の恩恵を享受し、よりよい生活水準を提供される世界を目指すのです。
この目標のターゲットには、2030年までに若者や障がい者を含むすべての人のディーセント・ワークと、同一労働同一賃金の達成が掲げられています。

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《私たちにできること》
できるだけ残業を減らし、しっかり休みを取ることから始めてみましょう。それが安全で働きがいのある仕事につながります。
あなたの仕事や職場はディーセント・ワーク(decent work 働きがいのある人間らしい仕事)と言えるでしょうか?この機会にぜひ考えてみてください。

――次回は、目標9の「産業と技術革新の基盤をつくろう」から目標11の「住み続けられるまちづくりを」について取り上げます。

≪記事作成ライター:山本義彦≫
東京在住。航空会社を定年退職後、介護福祉士の資格を取得。現在は社会福祉法人にて障がい者支援に携わる傍ら、30年に及ぶクラシック音楽の評論に加え、社会問題に関する執筆を行う。


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