便利かつ使い道いろいろな「駅ナカシェアオフィス」が、続々誕生中!


クラウドファンディング,ソーシャルレンディング,マネセツ

改札を入ったらあとは電車に乗って移動するだけ……。そんな駅の使い方の常識が変わりつつある。

例えば、乗降客の多い大都市のターミナル駅では、駅ナカの充実ぶりが10年以上から話題になり、飲食店はもちろん書店、日用品を扱うおしゃれなショップが軒を連ねている。駅ナカ限定のスイーツなども話題となり、そうした商品目当てに行列ができることも珍しい光景ではなくなっている。

さらに最近の傾向として、鉄道会社はせっかく構内に入った乗客に、電車賃だけでなく、あの手この手でお金を落としてもらおうと躍起になっていることをご存じだろうか。
飲食店や書籍や日用品などの小物が気軽に買える駅の風景は平成の時代に急速に進化したが、令和の時代になって、ついに個室型のシェアオフィスまで誕生したというのだ。駅構内に設置された個室型のシェアオフィスとは、いったいどんなものなのか……、果たして定着するのか……、その中味を調べてみた。
※画像は、2019年7月13日「東日本旅客鉄道株式会社」HP「JR東日本ニュース」より

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新宿、池袋、東京などに続々誕生。駅をオフィス代わりに

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会社のデスクばかりが仕事場ではない。政府が推し進める「働き方改革」は、仕事のスタイルにも新しいうねりを起こしている。会社に出勤せず、自宅で仕事をこなすテレワークなどはその典型例だが、ここにきて、自宅と会社を結ぶ、あるいは出先と会社を結ぶ経由地である駅を、オフィス代わりに使ってもらおうという動きが出始めた。

JR東日本は「働くひとの“1秒”を大切」にというコンセプトを掲げ、「社会課題となっている働き方改革のサポート等を目的として、シェアオフィス事業を推し進めます。これによって時間価値の向上がいっそう図られます」と発表。
新宿駅、池袋駅、立川駅に個室ブース型のシェアオフィスの設置のほか、東京駅にはコワーキング型の「STATION DESK」を設置し、2019年夏より「STATION BOOTH」事業を開始した。

さっそく新宿駅をのぞいてみると、たしかに昔の電話ボックスに似たブースともいえる建屋がいくつか並んでいることに気づく(画像参照)。
そのブースは縦2.3メートル、横1.2メートル、奥行き1.2メートルの大きさで、これがブース型オフィスとなる。ブース内には椅子、テーブル、モニター、電源などが設置されていて、一人でデスクワークするには十分な広さと設備が備わっている。個室内の話し声は外には漏れず、駅構内の雑音も遮断される防音設計で、冷暖房も完備している(空調設備を設置していないものもある)。

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JR東日本が手がける「STATION DESK」の使い方は簡単だ。パソコンかスマートフォンで会員登録すれば、あとはいつでも予約ができ、手持ちの交通系電子マネー(Suicaなど)を開錠のカギとして使用する。また、現場で空いているスペースがあれば、会員でなくても利用できる。料金は15分250円(税別)からだ。
※画像は、JR東日本が設置した駅ナカの「STATION BOOTH」の概略図。2019年7月13日「東日本旅客鉄道株式会社」HP「JR東日本ニュース」より

2019年から小田急でも本格実施!

同じような取り組みはJR東日本だけでなく、私鉄や地下鉄の駅でも始まっており、小田急では、経堂や町田の駅ナカにテレワーク用として個室型オフィスを設置。小田急はブースを開発・提供するテレキューブサービス社から賃料を受け取って、利益を得るシステムを採用している。
同社によれば、2018年にJR東日本と組んで実証実験を行ったところ、約8ヵ月間で稼働率が5割を超える実績を残したとのこと。これによって2019年から小田急でも、本格実施が決まったという。

実際に、この駅ナカ個室オフィスを利用した体験者の声を聞いてみると、「ひと通り営業で得意先をまわったあと、あと一件立ち寄りたいと思ったとき、このボックス内で資料を整理し、アポイントをとることができた。とても使い勝手がよい」と、50代の男性は絶賛。
オフィスに戻ってしまえば、あらためて外出するのは大変だし、時間も浪費するが、会社へ戻る途中の駅なら、引き返したり、まわり道したりする無駄が省けてなにかと便利だ。こうした点から、ビジネスマンにとって重宝する施設になりそうだ。

JR東日本では各駅での実績に自信を持ち、今後は改良を重ねながら、とりあえず30駅に設置を広げる方針でいる。

ビジネスユースにとどまらない、意外な使い道も

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JR東日本は「働き方改革のサポート」にと声高に叫び、“仕事に便利”とうたっているが、実際にブースを目にした人たちにとっては、さまざまな用途で使えることが見えてきた。それはビジネスユースに限らない。

●使い道例1/学生たちの自習室代わりに
学校帰り、塾に向かう途中の駅で、ここを勉強の場として利用している子ども、学生たちが現れている。このブースを使って、手っ取り早く予習や復習ができるということだ。

●使い道例2/他人に聞かれたくない電話をする
携帯電話が当たり前の時代。いつでもどこでも電話ができる便利さはあるが、そのぶん、通話内容を人に聞かれる心配もある。このブース内なら誰にも聞かれずに、内緒の話や込み入った話ができる。そして、これはある意味滑稽な話だが、時代が進んだことによって、今ではまったく見かけなくなった電話ボックスへの“先祖返り”が起こっていることになる。

●使い道例3/面接やデートに備えての身だしなみチェック
大事な人と会う前や大切な商談前に、個室に入って気合を入れ直したり、資料を読み返したり……といった作業ができる。また、身だしなみなどをチェックするにも個室はうってつけ。これまで駅ナカのトイレの個室で着替える必要に迫られた人も多いと思うが、汚れたトイレでは窮屈さや不便さを感じることが多かったものだが、ブース内ならそうした対応にも個室感ならではのメリットを味わえる。

●使い道例4/手軽に集中できる
人の目を気にすることなく、誰にも邪魔されずに仕事ができるのは大きなメリットだが、ほかにも趣味に没頭することもできる。これまで、駅の構内でひざを折って地べたにかばんを置き、ひざの上でメモを取ったり、パソコンを操作したりするビジネスマンの姿をときおりみかけたものだが、今後はそうした人々は激減するかもしれない。
そのほか、静かな個室で購入した菓子折りにつけるお礼状を書くことも可能であるし、一人で集中しながら作業する場面で有効活用できる。

●使い道例5/休息をとる
仕事や買い物などで疲れて駅にたどりついたら、ここでコーヒーでも飲みながらゆっくりと休息をとることができる。人の多い喫茶店とはちがって、個室であれば静かなうえ、昼寝・休憩オーケーといった便利さも。

●使い道例6/個人レッスンが受けられる
立川駅などに設置されている二人用のブースを使えば、たとえば先生とマンツーマンで英会話のレッスンを受けることもできる。もちろん英会話に限らず、二人でゆっくり話をすることもできる。

使用例として6つを挙げてみたが、ビジネスユースに限らず、個室型オフィスではすでにさまざまな用途に利用され始めている。これらはまだ月並みな利用法に過ぎず、今後の展開によっては思いがけない使い道を発見する可能性もある。他の使用者に迷惑をかけないモラルさえ守れば、その使い道は無限にひろがりそうだ。

高まる駅の多機能化。滞在するエリアとしても成長

駅は、これまでのような単なる乗り換えの場ではなく、人が集まる空間としての付加価値を持ち始めている。鉄道会社は、ここになるべく長く滞在してもらって、できればお金を落としてもらいたい。そのための工夫を懸命に凝らし始めているのだ。

東京駅丸の内地下改札付近にできたコワーキング型の「STATION DESK」は、完全な個室ではないものの、他人とはきっちり仕切りされた半ブース型で、集中して仕事や学習などに臨むことができる。

2018年4月から、東京メトロでは朝の通勤時間帯に勉強に活用できる「メトロde朝活」を駅構内で不定期に開催している。朝7時30分からのスタートで、たとえば講師から「人前での話し方教室」や「資産運用の方法」などを学ぶことができる。料金は30分で2000円ほど。

多機能化といえば、駅で簡単にお金が出し入れできるようにもなった。東急は、東横線や田園都市線の駅構内の券売機で銀行預金を引き出せるサービスを始めた。ゆうちょ銀行や横浜銀行と組み、両行の口座を持つ顧客がスマートフォンアプリ上で預金の引き出しを申し込むと、専用のQRコードが発行され、それを券売機の読み取り口にかざすと預金を引き出せる。銀行やATMにわざわざ出向かずに済むと、利用客には好評だ。

──駅を舞台に、「時間価値の向上」が鉄道会社によって図られているのは確かなようだ。今後どんな展開をみせるのか、そして大都市に限らず、地方にどんな形で波及していくのか、今後を見守りたい。

≪記事作成ライター:小松一彦≫
東京在住。長年出版社で雑誌、書籍の編集・原稿執筆を手掛け、現在はフリーとして、さまざまなジャンルの出版プロデュースを手掛けている。


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