「腰痛」が日本経済に与えるダメージはどれくらい?予想外の結果が!


あなたは、腰痛に悩んでいませんか?日本全国に、腰痛に悩んでいる人はどれくらいいると思いますか?

2年に一度行われる厚生労働省による国民生活基礎調査では、腰痛を持つ人は全国におよそ2770万人(男性34%、女性39%)いると発表されています。日本の総人口がおよそ1億2000万人ですから、4〜5人に一人は腰痛持ちになります。さらに、そのうち85%の人が原因不明とされる腰痛であり、腰痛持ちでほとんどの人が、ぶり返す痛みに悩まされていることも判明しています。

もちろん、子どもが腰痛になることはレアなケースなわけであり、腰痛持ちのほとんどは社会人(成人)のはず。となると、腰痛が原因で日々の仕事に支障をきたしている人が非常にたくさんいると想像されます。日本人の腰痛が日本経済にどれくらいダメージを与えているのか、多くの人が気になる数字について今回は調べてみました。

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腰痛による経済損失は、驚くべき数字の3兆円に!?

30代、40代のおよそ7割が悩んでいるともいわれる、いわば国民的な病(やまい)が腰痛です。働き盛りの人ほど、突然に襲われることが多い腰痛ですから、日本における経済的損失は計り知れないものがあります。

東京大学と日本臓器製薬(大阪市)が、2019年9月〜10月にかけて行った調査によると、腰痛による経済的損失は3兆円にものぼるとのこと。この調査は、全国の成人就労者1万人(平均年齢48.1歳)を対象に、最もつらい健康上の不調や、約1カ月間で症状があった日数、年収などをインターネットで調べ、その試算結果をもとに、労働生産性の低下を金額に換算したものとなります。

ひどい場合、歩くことも寝返りをうつこともままならない状態に陥ってしまう腰痛ですが、かろうじて動ける状態であっても、腰痛を抱えたまま仕事をすれば、業務効率はもちろん下がりますし、これがさらに日常生活における運動抑制につながり、他の病気を引き寄せるリスクも高まるといわれています。つまり、運動不足が腰痛を引き寄せ、その腰痛が原因でさらに運動不足になり、さらに別な病気を誘発させているということになります。

例えば、デスクワークで長時間座りっぱなしの仕事に従事している人、あるいは、腰を曲げたり、重い荷物を上げ下げしたりすることが多い労働に従事している人は、腰への負担をかけっぱなしの毎日を過ごしていることとなり、その積み重ねの結果、腰痛が発症するケースが多いとされています。
そうした人が適切な治療を怠り、痛みを抱えた状態を放置すれば、ぎっくり腰や椎間板ヘルニアの発症にもつながり、病気療養の時間はさらに長くなる可能性があります。

ちなみに、首まわりの不調や肩こりも、腰痛同様に約3兆円の経済損失を招いているといわれています。この数字が正しければ、首・肩・腰の痛みに悩まされる人が多ければ多いほど、日本経済に与える損失は巨額になることは間違いありません。

実は、5年以上前から警鐘が鳴らされていた?

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この腰痛による経済損失は、何も今に始まった話ではありません。健康日本21推進フォーラムが2013年に行ったインターネット調査では、日本の社会人は腰痛や肩こりによって、仕事のパフォーマンスが約30%も下がってしまうという調査結果を公表しています。

また、在日米国商工会議所(ACCJ)が、その経済的な損失がいくらになるかを2011年に調査したところ、「病気・ケガによる経済的損失額は約3.3兆円、慢性的疼痛および精神疾患が経済的損失の2大要因」と、冒頭で紹介した東大・日本臓器制約の調査と似たような調査結果を報告しています。

もちろん、この調査額には治療費や薬代などの医療費は含まれていないことになります。これらの経済負担を考慮すれば、3兆円どころか、はるかに大きな経済損失を被っていることが類推できます。

腰痛防止アプリで、経済損失を防ぐ

さて、そんな腰痛による経済損失を防ぐべく、興味深い試みも出てきています。
ベンチャー企業の「バックテック」が、法人向けに開発した腰痛対策アプリ「ポケットセラピスト」がそのひとつです。

このアプリは「リスク評価」「タイプ判定」「チャットを活用した遠隔サポート」で、社員の腰痛や肩こりを軽減しようというもの。独自のアルゴリズムで腰痛や肩こりのタイプを識別し、それに合わせた対応策を提供してくれます。

タイプ判定は、オンライン上の問診票に書かれた質問に回答していくことで、「自分はどのタイプの腰痛や肩こりなのか」がわかる仕組みになっています。なかには、それをもとに理学療法士が個々の社員に合わせたアドバイスを送るサービスもあります。

バックテックによると、「出勤はしているが、健康面の影響などで社員の業務パフォーマンスが下がっている状態」の人が、会社のコスト損失の中でも大きな割合を占めると指摘しており、その体調不良のトップ3が「肩こり」「睡眠不足」「腰痛」であるとのこと。企業側もそれを改善できれば、さらに業務がスムーズに進み、売り上げが拡大することに気づき始めているのです。

上場企業を中心に、腰痛アプリ導入が進む

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コニカミノルタでは、会社主導のもと、2018年にこの「ポケットセラピスト」を導入しました。
同社の社内では、スマホやパソコンを見ながら、腰痛や肩こり対策のためのストレッチをしている社員が多くいます。同じ社内でも担当する業務によって椅子に長時間座っている人、外まわりで歩く時間が長い人……など、人によって働き方はさまざまです。
しかし、こうしたアプリならいつでもどこでも実践できることが導入の決め手だったよう。整体やマッサージに行くとなれば、業務時間を削ったり、個人的な出費が強いられてしまうけれど、アプリを参考にストレッチするくらいならいつでもできると、社員にも好評のようです。

このアプリを導入後1年ほどで、社員1人あたりの生産性がアップしたという計算結果も出ているよう。このアプリは、コニカミノルタの他にも、日本ユニシス、JR東日本など10社以上の上場企業で導入されていて、こうした社員向けの腰痛・肩こり対策ストレッチアプリを導入する企業はどんどん増加しているようです。

なかなか重篤な病気とは認められにくい風潮がある腰痛や肩こりですが、それが企業の経済活動、ひいては日本経済にも大きな影響を与えていることがおわかりいただけたでしょうか。
今後、さらにさまざまな調査結果によって、腰痛や肩こりが大きな経済損失を生み出していることが明らかになれば、社員の腰痛対策は日本の企業必須の福利厚生のスタンダードになるのかもしれませんね。

≪記事作成ライター:三浦靖史≫
フリーライター・編集者。プロゴルフツアー、高校野球などのスポーツをはじめ、医療・健康、歴史、観光、時事問題など、幅広いジャンルで取材・執筆活動を展開。好物はジャズ、ウクレレ、落語、自転車。


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