「T-POINT」「Ponta」「楽天ポイント」「dポイント」、はては近所のスーパーや美容院、パン屋さんなどのものまで。
いまや、誰のサイフにも2枚や3枚は入っていますね、ポイントカード。花盛りです。
ポイントを貯めると、貯めたぶんを換金してモノが買えたり、割引が受けられたり、プレゼントがもらえたりと、何かとトクする特典が得られます。ユーザーにとってはメリットがあると思ってしまいますが、ポイントカードを発行する側にはどんなメリットがあるのでしょうか?
また、デメリットはないのでしょうか?
ポイントカードを提供する側のメリット
なぜ、ショップなどサービス提供者側はポイントカードを発行するのでしょうか。
それには、大きく次の3つのメリットが挙げられます。
● 「ほかの店で買うよりも、この店で買えばポイントがつくのでトクする」とユーザーの足を向けさせることができる(囲い込み効果)。
●ポイントカードが性別や年齢などの個人情報とひもづく場合、属性別にいつどこでどんな商品がどれだけ売れているのかを把握することができ、そのデータをマーケティングに活用できる(データ収集効果)。
●「T-POINT」など大手のポイントカードの場合は、貯めたポイントが通貨のようにほかの加盟店でも使える。自然災害の際の寄付にも使える(通貨効果)。
提供側のデメリットとは?
逆に、デメリットはどうでしょうか。
ポイントカード発行側には、ポイントを管理するシステムコスト(メンテナンスなど)が発生します。手押しスタンプの場合は発生しませんが。
また、発行したポイントは後でユーザーによって使われるわけですから、発行した側はその瞬間、ある種の“負債”を抱えることになります。
ポイント有効期限内に使われなければその負債は解消されますが。
そして、ポイントカードが氾濫気味に広まっている今、果たしてどこまで“囲い込み”できているのかという問題が指摘されています。
逆にいえば、ポイントカードがあるのは当たり前のような状況になっているというわけです。したがって、ユニクロなどポイントカードを廃止する動きも見られます。
気になる、ユーザー側のデメリットは?
ユーザー側にとってのデメリットは何でしょうか。
ひとつは、“囲い込まれること”にあるかもしれません。
どの店で買っても全く同じ商品ならば、なるべく安く買えるメリットはあります。
しかし、本当ならばポイントカードを発行していない店でしか売っていない商品が欲しいのに、ポイントカードを発行している店で売っている類似商品で妥協するという心理が発生する場合があります。
そんな誘惑に負けなければいいだけの話ですが、いちいち誘惑されるのはデメリットかもしれません。
また、サイフにポイントカードがたまってぶ厚くなるというデメリットもありますね。
お店のレジでその都度、「ポイントカードはお持ちですか?」と聞かれるのはウザい、という人もいますね。
ただし、最近は携帯電話に代替させる機能が発達しているので、そのデメリットは解消に向かいつつあります。
さらに、個人情報が利用されているという“気持ち悪さ”もあるかもしれません。
顔の見える商店の場合は「へい、いつものね!」というコミュニケーションは心地よいものですが、あまり顔の見えないスーパーに「あの客はいつも●●を買っている」と思われるのは、ちょっとイヤ、という人もいるでしょう。
もちろん、ポイントカードは使うも使わないも自由。考え方もいろいろです。
でも、ポイントに執着するあまり、パンパンになった財布を持ち歩く……。
あるいは混雑するレジで、ポイントカードを探す手間に時間をかけて、並んでいる人に迷惑をかけてしまう……。せめて、そんなことがないようにしたいものですね。
≪記事作成ライター:髙橋光二≫
フリーライター・エディター。1958年、東京都生まれ。1981年、多摩美術大学デザイン科卒業後、㈱日本リクルートセンター(現・㈱リクルートキャリア)入社。2000年、独立して現職。主に経営者インタビュー、コンテンツマーケティング、キャリアデザインなどの分野で編集・執筆。
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