一人の子どもにかかる教育費はいくら? 少子化の一要因とされる教育費問題


学生

わが国ではいま、超高齢社会でありながら急激な少子化が進んでいます。
総人口に占める年少者(0歳~14歳)の割合は、過去最低の12.8%(平成26年の総務省人口推計による)。これは世界の中で最も低い水準で、昭和25年には25%強であったことを考えると隔世の感があります。
原因は出生率の低下(平成26年の合計特殊出生率=1.42)ですが、背景には初産の高齢化(30.6歳)、教育費や養育費などの経済的な問題が複雑に絡み合っています。

そこで教育費に的を絞り、「一人の子どもが大学を出るまでにかかる費用」を、最新の調査に基づいて調べてみました。
 

幼稚園にかかる学習費

 
まず、幼児教育として幼稚園を見てみましょう(保育所や認定こども園については、ここでは取り上げません)。
かかる費用としては公立と私立に大きな差があり、公立が約22万1000円であるのに対し、私立では49万9000円と約2.2倍の学習費がかかっています。
私立幼稚園に入園する際、保護者の所得によっては市区町村から補助金が支給される場合がありますので、各自治体に確認してみることをおすすめします。
なお、幼稚園児全体に占める私立の園児数は82.7%ですので、「幼稚園は私立に通うことが多い」と言えます。

表1

幼稚園3年間の学習費は(3歳児入園を前提)……
・公立:約66万3000円
・私立:約149万7000円
 

小学校にかかる学習費

 
次に、小学校ですがここからは義務教育となるため、公立では学校教育費が少なく抑えられ、私立との差はさらに大きく約4.8倍です。しかし、私立の小学校に通う児童は、小学生全体の1.2%しかなく、裕福な家庭の子女が通う少数派のようです。

表2

小学校の6年間の学習費は……
・公立:約193万円
・私立:約921万5000円
 

中学校にかかる学習費

 
中学校では高校受験の勉強に備えた補助学習費(主として学習塾費)が特に3年生で大きくなり、公立と私立の学校外活動費が僅差ながら逆転。その結果、学習費総額においても、公立と私立の差は約2.8倍に縮まります。
小学校と同じく義務教育ということもあり、中学生全体に占める私立の生徒数は約7%で、公立中学校に通うのが主流です。

表3

中学校の3年間の学習費は……
・公立:約144万5000円
・私立:約401万6000円
 

高等学校(全日制)にかかる学習費

 
高等学校(全日制)においては、私立の学校数が増え、学校教育費が中学校よりも下がることから、公立と私立の学習費の差は約2.4%とさらに縮まっています。公立の場合、大学へ進学しない生徒も多いことから、学校外活動費が中学校の約半額となっているのも特徴です。
高等学校の生徒全体に占める私立の割合は32.0%と大きく増え、高校生全体の3分の1は私立に通っていると言ってもよいでしょう。

表4

高等学校(全日制)の3年間の学習費は……
・公立:約123万円
・私立:約298万5000円
 

大学にかかる学費

 
平成27年の大学進学率は51.5%と過去最高(平成27年度文部科学省学校基本調査)となり、現在の日本はいわゆる高学歴社会でもあります。
大学生の子どもが二人いる勤労世帯の年収に学費が占める割合が4割を超えるという現状では、大学にかかる学費は国民的な関心の的と言ってよいでしょう。
その費用は、国公立か私立かだけではなく、どの学部に進学するのかによって左右されます。
国公立の場合、文系でも理系でも大学への納入金は大差ありませんが、私立の場合は理系のほうが文系よりも多くかかります。
表5は日本政策金融公庫の「平成26年教育負担の実態調査」に基づいて作成したもので、入学費用とは、受験料や受験のための交通費、その他の総額で、入学しなかった大学に納めた受験料や納付金を含みます。
また、在学費用は授業料のほか、実習費なども含めた4年間の在学中にかかる費用のすべてです。

表5

大学4年間の学費は……
・国公立:約511万2000円
・私立文系:約692万3000円
・私立理系:約787万5000円
 

幼稚園から大学までにかかる費用の総額は?

 
ここまで調べた費用を、進路パターン別にご紹介しましょう。

表6

運よく公立幼稚園に入れ、その後、大学まですべて国公立に進んだとしても1000万円超の費用がかかることがわかります。逆にすべて私立で、大学も私立の理科系で学んだ場合には、2500万円を超える学習費が必要になります。

それぞれに就学率の高いコース(私立幼稚園・公立小学校・公立中学校・公立高等学校・私立文系大学)を歩んだ場合の学習費総額は約1300万円です。この金額が子ども一人にかかる教育費のおおよその目安になるでしょう。

国民の意識調査の結果からも、実際に子どもを持つ数が希望よりも少ない理由として「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」を挙げた人が65.9%にものぼるなか、ここでは直接の学習費のみを教育費とみなして金額を算出。
ただし、遠方の大学に進学した際の住居費、生活費、仕送りなど、これ以外にもかかる費用があることをお忘れなく。
 

≪記事作成ライター:山本義彦≫
東京在住。航空会社に勤務し、定年退職後、介護福祉士の資格をとるために2年間専門学校に通う。現在は介護福祉士として障がい者の施設で勤務中。航空会社在職中より、音楽評論の執筆を始め、現在も続いている。主にオペラ・クラシックを専門とし、インタビューなども手がける。


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