りそな「印鑑」を原則廃止へ。銀行でハンコが不要になる日は近い!?


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りそなホールディングスは3年後をめどに、りそな銀行と埼玉りそな銀行の全店舗で、口座開設などの手続きに必要な「印鑑(銀行印)」を原則廃止すると発表しました。
今後、同行では顧客の静脈データを登録・照合することで、本人確認を行うといいます。

印鑑不要のサービスを全店舗で運用するのは、大手銀行では初となりますが、指紋や静脈による「生体認証」は多くの銀行でも導入が進んでおり、りそなに続いて印鑑を廃止する動きはさらに加速しそうです。
 

利用者にも銀行にも大きなメリットが

 
りそなでは今回の決定を受け、現在、一部支店で試験運用している印鑑不要の口座開設サービスを、2019年3月までに全店舗(約400支店)へ拡大。行政手続きなどで不可欠な場合を除き、原則として印鑑の届け出・捺印が不要になります。
また、すでに口座を持っている預金者も、希望すれば印鑑なしに切り替えられるそうです。
印鑑不要なら「ハンコをなくした・忘れた・盗まれた」といったトラブルや、いちいち捺印する手間もなくなって、利用者としては大助かりですよね! 顧客の利便性だけでなく、銀行側も紙が減らせて事務処理のスピードが上がり、手続き業務の大幅な効率化が期待できるといいます。
りそなでは今後4年間で、事務作業を2割ほど削減できると見込んでおり、その分、営業などのサービス体制を強化する方針を打ち出しています。
  

名目化・形骸化している「印鑑認証」

 
ちなみに、銀行取引で印鑑を使う文化は、明治時代に普及したといわれています。1877年(明治10年)までに政府が出した「太政官布告」にも、証書に捺印することが記されており、その頃から口座開設や金融取引で印鑑を使う習慣が一般化しました。
しかし近年、生体認証などのIT技術の進化とともに、昔ながらの印鑑による本人確認は名目化・形骸化しつつあります。
いまや3Dプリンターを使えば、印鑑の偽造も簡単にできてしまう時代。信憑性・効率性という点で、印鑑の存在感が薄れつつあるのは否めません。

そもそも、世界には印鑑を使用している国はほとんどなく、欧米の銀行では「サイン認証」が一般的です。インターネット銀行でもIDとパスワードを登録すれば、印鑑なしで手続きができますよね。
三井住友銀行の一部店舗でも、今年中にITシステムを使ったサイン認証(筆跡や筆圧、書くスピードなどを端末で識別して本人を確認)による口座開設サービスが始まるなど、大手他行でも印鑑廃止の方向にシフトしているようです。
 

高度なITを駆使した新時代の金融サービスも

 
セキュリティの高い生体認証や、一度限りのワンタイムパスワード、オンラインバンキングなど、IT技術を導入する銀行が増える中、金融(ファイナンス)と技術(テクノロジー)を融合させた「フィンテック」と呼ばれる新たな金融サービスも次々と登場しています。
フィンテックの主なサービスには、SNSやモバイル機器での決済、アプリによる資産運用や家計簿の管理、ネット上で不特定多数の人から資金を集める「クラウドファンディング」などがあります。
いずれも高度なITを駆使し、ユーザビリティを重視したネットサービス&サポートを提供している点が特徴。従来の金融サービスにはなかったアプローチで、20~40代のユーザーを中心に顧客層を広めています。もちろん、そこに「印鑑」は存在しません……。

「ハンコ不要は大助かり」と言いつつも、日本独自の印鑑文化が消えつつあるのは、ちょっと寂しい気もしますが、時代とともに世の中のニーズや価値観は大きく変化しています。
技術革新が加速する現代の情報化社会において、りそなの印鑑廃止は金融業界に新風をもたらす英断といってもいいでしょう。
 
 

≪記事作成ライター:菱沼真理奈≫
約20年にわたり、企業広告・商品広告のコピーや、女性誌・ビジネス誌などのライティングを手がけています。金融・教育・行政・ビジネス関連の堅い記事から、グルメ・カルチャー・ファッション関連の柔らかい記事まで、オールマイティな対応力が自慢です! 座右の銘は「ありがとうの心を大切に」。


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