意外と古い!? クラウドファンディングの歴史と、世界での現状


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近年、よく見聞きするようになった「クラウドファンディング」。
インターネットを利用することで「不特定多数の人々を巻き込む」「スピーディにお金を集める」ことができるクラウドファンディングは、大きな広がりを見せています。

とはいえ、人々からお金を集め、それを必要としている人に出資する……という仕組みは、とても原始的。
実は、クラウドファンディングのアイディアそのものは、昔から存在していたようなのです。そこで今回は、クラウドファンディングの歴史や、世界における現状などをご紹介したいと思います。
 

クラウドファンディングの原型は、17世紀にあった

 
新しいシステムのように思える「クラウドファンディング」ですが、その仕組み自体は金融の原始的なカタチに近いものです。
現在、クラウドファンディングといえば「インターネットを利用した資金調達」を指しますが、街頭で呼びかけたり、新聞紙上を利用したりと、クラウドファンディングに類する試みはかなり昔から行われていました。

たとえば、バッハやベートーヴェンなどの有名な音楽家も、市民からの小口の援助を受けながら音楽活動を行っていたのだとか。
資金提供した市民には、お礼として楽譜などが贈られたそう。現代から想像すると、なんだか夢があるエピソードですね。

クラウドファンディングの原型(?)のひとつとしてよく知られているのは、17世紀初頭に活躍した書籍編集者ジョン・テイラー氏が行ったもの。書籍の印刷代を、寄付を呼びかけることで集めたのです。
テイラー氏は、資金提供者へのお礼として、寄付者の名前を書籍に掲載しました。こうした「ギフト」を提供する点も、現代のクラウドファンディングに通じるものがありますね。
 

自由の女神像もクラウドファンディングの賜物?

 
アメリカ合衆国の独立100周年を記念して、フランスから贈られたのが、有名な「自由の女神」像。
贈呈を受け、アメリカの「自由の女神製作委員会」では、台座を建設しようとしていました。しかし、台座が完成する前に資金が底をついてしまったそう……。

そこで協力を申し出たのが、実業家でジャーナリストのジョゼフ・ピュリッツァー氏。
文学やジャーナリズムなどで優れた業績をあげた人に贈られる「ピュリッツァー賞」で有名ですね。
ピュリッツァー氏が、自身が経営する新聞紙上で、台座建設費用の寄付を呼びかけると、善意の市民から半年で10万ドル近いお金が集まりました。
その内訳はほとんどが当時の金額で1ドル以下と、きわめて少額の寄付だったそう。しかし、資金を提供した人数は100万人以上におよんだことで、大きな資金となったのです。
少額の寄付を活用した、まさにクラウドファンディング的なプロジェクトの実例です。
 

世界のクラウドファンディングの市場規模は?

 
アメリカの市場調査会社マスソリューション社の調査によると、世界のクラウドファンディング市場は、2013年末までに5000億円程度、2014年までに1兆円規模に到達。その後も急成長を遂げています。
その中心となっているのは、ご想像のとおりアメリカとイギリスです。

アメリカ発のクラウドファンディングで、著名なのが「キックスターター」「インディーゴーゴー」。
どちらも、クリエイティブな商品やコンテンツを開発しようと考えているベンチャー企業や個人に向けて、資金調達の手段を提供しています。
たとえば、高い技術を持っているが、創業から日が浅いために融資を受けることが難しい……といった場合でも、クラウドファンディングで技術力を適切にアピールできれば、大きな資金を調達できるというわけです。

最後に……。
英国発のクラウドファンディングで、有名なのは2001年に設立された「ジャスト・ギビング」。
この「ジャスト・ギビング」がユニークなのは、支援団体がみずから寄付を呼びかけるのではなく、寄付を呼びかける「チャレンジャー」が支援したい団体を「指定する」点。
たとえば、「チャレンジャー」が「マラソンの完走」などのチャレンジを表明し、それに共感した「サポーター」が寄付をして応援します。
そうして集まった寄付金が、チャレンジャーが応援する支援団体に届く、という仕組みです。

── これら諸外国の実例と比較し、日本におけるクラウドファンディングはまだまだ発展途上。しかし、「日本型クラウドファンディング」とでも呼ぶべき、新しい資金調達の流れが確実に広がっており、クラウドファンディングの可能性に大きな注目が集まっています。
そうしたお話は、回をあらためてご紹介したいと思います。

参考:大前和徳『クラウドファンディングではじめる1万円投資』(総合法令出版)
 
 

≪記事作成ライター:奥田ユキコ≫
生まれも育ちも東京のライター。教育や語学、キャリア、進学、サイエンス、生活の雑学、ライフスタイルなどをテーマに、雑誌や広報誌、ウェブなどの記事を手がけています。「マネセツ」では、主にスポーツと「お金」にクローズアップした記事を書いていきたいと思います。


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