スポーツイベントでよく聞く「オフィシャルサプライヤー」とは?(前編)


マネセツ111(奥田)オフィシャルS・前編/メイン画像

「商業化した」と言われて久しい、スポーツイベント。もちろん「商業化」が、スポーツの価値や選手の成績を左右してしまってはいけませんが、スポーツに打ち込める環境づくりのためには、ある程度の「商業化」は避けられないのも事実です。

今回取り上げるのは、そんなスポーツにおける「オフィシャルサプライヤー」について。オフィシャルサプライヤーとは、スポーツイベントなどにおいて、運営組織や選手団に物品を提供し、その見返りにイベントのロゴやエンブレムなどを使用する権利を得た企業のことです。
オフィシャルサプライヤーがどのような成長を遂げてきたかを、オリンピックを例にご紹介します。
 

20世紀初頭のオリンピック、運営規模と資金は?

 
マネセツ111(奥田)オフィシャルS・前編/年表①

初期の近代オリンピックの運営資金が、どのようにまかなわれていたかご存じですか? なんと、大半が「寄付収入」だったのだそうです。
渡航費や宿泊費は参加する選手の「自腹」。参加する国も選手の数も今よりずっと少ないものでした。

1908年のロンドン五輪の公式報告書によると、かかった経費はたったの1万5214ポンド(約200万円)。100年以上前のことなので単純比較はできませんが、この程度の規模なら、仲間内のカンパやクラウドファンディングで運営できるかも……と思ってしまいますね。
ちなみに、それから約100年後となる2012年に開催されたロンドン五輪の運営経費は約89億ポンド(約1兆2000億円)と、途方もない金額になっています。

1932年に開催された、ロサンゼルス五輪。まだ旅客機が実用化されていない時代です。
大会組織委員会は、商船会社や鉄道会社に大会への協力を要請。選手や大会役員のための、特別な料金を設定してもらうことに成功しました。
これは、民間会社がオリンピックを支援した最初の例といわれています。オフィシャルサプライヤーの最初期の形態というわけですね。
 

「自国の応援」から、「世界戦略」へ

 

トップ選手の知名度が上がり、メーカーは世界戦略を意識するように

トップ選手の知名度が上がり、メーカーは世界戦略を意識するように


 
第二次大戦を経て、1956年に開催されたメルボルン五輪。企業への依存が少ない、「小さなオリンピック」としての最後の大会だと言われます。
そんなメルボルン五輪でも、すでに企業による販促活動が行われていました。それは、用具の「無償提供」。アディダスが、陸上競技のトップ選手たちにシューズを配布したのです。

アディダスの前身であるダスラー兄弟商会は、1928年のアムステルダム五輪からシューズの提供を始めていました。しかし対象は自国(ドイツ)の選手に限られ、「(提供が)販促につながる」という概念はなかったようです。
メルボルン五輪におけるアディダスの取り組みは、スポーツ用品メーカーが「世界市場を意識したプロモーション」を行った初めての例でした。
 

テレビの普及が、オリンピックの意味を変えた?

 
2020年に向けて、にわかに注目を集める1964年の東京五輪。
今から50年以上前のこの大会では、シャツやシューズ、自動車やオートバイ、テレビ、冷蔵庫……など、企業による現物支給が盛んに行われました。
「自国で初の開催となるオリンピックを支援したい」という気概もあったのでしょうが、もちろん「商品の宣伝になる」という思惑もあったようです。

また、スポーツ用品メーカーによる、選手への「水面下での現金授与」が常態化したのも、東京五輪からだったと言われます。
当時のオリンピック憲章では、スポーツに参加することで報酬を受け取ることはNG。それでもメーカーがこのような動きに出た背景の一つが「テレビ」です。

1960年代は、テレビが普及した時代。選手の国際的な知名度が向上し、選手の「商品価値」も高まりました。
また、アジアやアフリカなどさまざまな国の選手が活躍するようになり、マーケットも拡大。企業による、トップ選手の囲い込みが本格化していったのです。

後編では、1970~80年代のオリンピックにおけるサプライヤーの動きについて、ご説明したいと思います!

参考:小川勝「オリンピックと商業主義」(集英社新書)
 
 

《記事作成ライター:奥田ユキコ》
生まれも育ちも東京のライター。教育や語学、キャリア、進学、サイエンス、生活の雑学、ライフスタイルなどをテーマに、雑誌や広報誌、ウェブなどの記事を手がけています。「マネセツ」では、主にスポーツと「お金」にクローズアップした記事を書いていきたいと思います。


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