スポーツイベントの放送権料と「ジャパン・コンソーシアム」とは


画像マネセツ101(奥田)/五輪放送権とジャパンC

熱戦が続いたリオ五輪。テレビ中継に熱中して、ついつい寝不足……という方も多かったようですね。
五輪などのビッグイベントでは、NHKと民放どちらでも中継が行われます。
これは「ジャパン・コンソーシアム」という体制によるものですが、どのような事情で行われているかご存じですか?

スポーツイベントの歴史をひも解きつつ、ビッグイベントの際に結成される「ジャパン・コンソーシアム」をご紹介します。
 

ジャパン・コンソーシアムの果たす役割、 その歴史は?

 
五輪やサッカーW杯などの際に、NHKおよび民放各局により結成されるのが「ジャパン・コンソーシアム」。日本国内における放送のために、放送権の交渉や中継を行うのがその目的です。

「放送権を一括交渉することで、国内での競争による過剰な値上がりを防ぐ」
「放送権料を互助負担する」
「放送に関連する作業を共同・分担する」
などの役割を担う「ジャパン・コンソーシアム」。ビッグイベントの際だけに結成される、特別体制というわけです。

NHKと民放の共同制作による放送体制は、今からちょうど40年前、モントリオール五輪から始まりました。
当初は「ジャパン・プール」と呼ばれ、その後「ジャパン・コンソーシアム」と改称されています。

放送権料の交渉にはじまり、中継車の準備や衛星回線の確保、関係者への取材など、放送に付随する作業は膨大かつ多岐にわたります。
これらの作業は、各局から「ジャパン・コンソーシアム」に派遣されたスタッフが分担して担当します。

どの競技、どの局の中継を担当するかはコンソーシアム内で振り分けられ、A社の社員がB社で放送される中継を担当することも。
アナウンサーも同様に割り振られるため、たとえば民放C社のアナウンサーがNHKの中継で実況している……なんてことも起きるわけですね。
 

史上初めて、テレビ放送権が販売された五輪とは?

 
五輪の放送権が初めて販売されたのは、1960年。
2月に実施された冬季スコーバレー大会と、8月に実施された夏季ローマ大会でした。ということはつまり、1964年に開催された東京五輪では、放送権が確立されていたことになります。

アメリカの放送局CBSが、ローマ大会の放送のために払った金額は、当時の金額で5万ドル(約500万円)。
貨幣価値に変動はあるにしても、2012年のロンドン大会の放送権料が39億ドル(約3000億円)と言われますから、当初はびっくりするほど安価だったようです。

もっとも、当時はまだ通信衛星が実用化されておらず、撮影したフィルムを飛行機でアメリカまで運び、放送していたのだそう。もちろん、当時は生中継など望めない時代。テレビ放送が現代ほどの価値を生むことはなかった、ということも所以するでしょう。
 

1964年、東京大会の放送権料が伸び悩んだ理由とは?

 
そして、1964年に開催された東京大会では、初の衛星中継が実現。
しかし、放送権料は思ったほど伸びず、その総額は6億円(大会事業収入の2パーセント足らず)でした。

せっかく衛星中継がスタートしたのに、放送権料が伸び悩んだ理由。それは、海外での放送時間が非常に少なかったことによるようです。
アメリカやヨーロッパでの、東京大会の放送時間は、大会15日間を通じてたったの25時間(1日平均1.5時間)。
昔のオリンピックは、参加する選手たち自身、そして開催される国の人びとのためのイベントだったのかもしれませんね。

そもそも、クーベルタン男爵らの尽力により近代五輪が始められた1900年代は、まだテレビはおろか、旅客機もなかった時代。
これほどのビッグイベントに成長するとは、当時の人びとは想像していなかったのではないでしょうか。

時代は移り変わり、スポーツイベントの肥大化、放送権の高騰が問題視されるように。
インターネットを利用した「ライブストリーミング中継」が盛んにおこなわれるようになるなど、中継のあり方も大きく様変わりしています。
──きたる2020年、私たちはどんな時代を迎えることになるのでしょうか。今後の経過を見守り、考えていきたいところです。

参考:村社 淳「ワールドカップがもっと楽しめるサッカー中継の舞台裏」(KADOKAWA)、小川 勝「オリンピックと商業主義」(集英社新書)
 
 

《記事作成ライター:奥田ユキコ》
生まれも育ちも東京のライター。教育や語学、キャリア、進学、サイエンス、生活の雑学、ライフスタイルなどをテーマに、雑誌や広報誌、ウェブなどの記事を手がけています。「マネセツ」では、主にスポーツと「お金」にクローズアップした記事を書いていきたいと思います。


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