「デジタル終活」と、それにまつわるお金の問題を検証!


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パソコンや携帯電話などのデジタル機器は、「動産」として相続対象となることをご存じですか?
そのため、親族が亡くなった際、デジタル機器を誰に相続するという遺言がない場合、協議して相続者を決めることになります。

このことは自らが死を迎えた時も同様で、いま使っているデジタル機器が相続人の誰かの手に渡ることに。そうなった場合、見られたくないデータをはじめ、機器関連使用料の契約、株取引や有料サイト登録などは契約を解除しなければなりません。
── 今後頻発するであろう、いわゆる「デジタル終活」。それにまつわる事項やお金の問題を検証します。
 

デジタル機器に残されたデータの「問題点」

 
『SPA!』誌上で発表された、「“デジタル終活”の準備をしていなかったために発生するトラブル調査」によると、200人中の約過半数102人が、個人のあらゆるプライバシーと資産が詰まった「デジタル機器に残されたデータ」がトラブルの原因になったと答えています(データは2014年調べ)。

その中で1位にランクインしたのは、
「故人が管理していたネット銀行やネット証券口座の詳細がわからなくなった」(28件)

IDやパスワードがわからないまま相続しようとすると、手続きに1カ月以上要することもありますが、口座そのものの存在を遺族が知らなければ、預金はそのまま放置されることになります。
デジタル機器を相続した場合には、メールの送受信や閲覧の履歴などから、「取り引きのある銀行や証券会社などはあるのか」「有料サイトの利用があるのか」などの確認・対処の必要生じるでしょう。対応がわからない場合は、利用先に確認するか、弁護士など専門家に相談してみるのもよいかもしれません。
ただし放置しておくと、例えば「相場急変で損失が発生した」など、突然、証券会社から請求がくる事態発生することもありますので注意が必要です。
また、故人のSNSやブログ、ホームページなども閉鎖せずにアカウントを放置しておくと、第三者に乗っ取られることも。この場合、悪意ある使われ方がされる可能性も否定できないでしょう。
 

IDやパスワードは、家族にわかるように遺しておく

 
このように直接のお金の行き来はなくても、対応すべきことは多々あります。なお、グーグルでは、アカウントを無効化するサービスを提供していますので、ご参考までに。
※グーグルアカウント無効化管理ツール ➡ フリー/一定の期間、アカウントを利用していない状態が続いた場合、そのアカウントデータの一部を公開したり、他のユーザーに通知したりするための手段。

どうやら「残されたデジタル機器の処遇の仕方がわからない」では済まされない時代が訪れているようです。わが身に振りかかる「万が一の事態」を想定し、ネット系マネーサービスのIDやパスワードは、万が一の後も、ご家族にわかるように遺しておくことが賢明ですね。
 

デジタル機器に残されたデータの「対処方法」

 
次に、これからの死亡者数の推移予測を見てみましょう。

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※資料:2005年までは厚生労働省大臣官房統計情報部「人口動態統計」、2010年以降は社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)中位推計」より厚生労働省政策統括官付政策評価官室作成


 
 
今から約30年前の昭和60(1985)年には、年間死亡者数約85万人のうち75歳以上が占める割合は4割程度でしたが、年を追うごとにその割合は増加。平成7(1995)年には約5割、平成27(2015)年には約7割と急激に伸び、2040年には死亡者数166万人の内9割近くが75歳以上になるという予想が厚労省より発表されています。

パソコンや携帯電話の保有が当たり前のようになっている現在。
すべての人がネット銀行やネット証券とかかわりがあるとは限りませんが、死亡者の数だけデジタル機器の問題が発生してくることに相違ありません。その場合、前項のようにしかるべき対処の後に、遺されたデジタル機器内の個人データを処理するサービスも出てきています。
 

デジタル機器内の個人データを処理するサービス一例

 
●「僕が死んだら」(フリー)【パソコンソフト】
ファイルを開くと、あらかじめ指定したデータを削除してくれます。

●「死後の世界」(フリー)【パソコンソフト】
あらかじめ設定しておいた日数の期間にパソコンが起動されなかった際、見られたくないデータや機密情報が自動で消去されます。

●「MirageColloid(フリー)【パソコンソフト】
指定したフォルダを、「ごみ箱 」「タスク」などのフォルダに偽装することができます。

●「完全削除」(フリー)【パソコンソフト】
ファイルを復元できないよう完全に削除するごみ箱ソフト。

●「はじめてのエンディングノート」【パソコンソフト】
➡ダウンロード版4000円、CD-ROM版4500円
エンディングノートを書きたいけれど、書き方がわからず迷ってしまう方でも、すぐに始められる「エンディングノート」パソコン編。

●「JIGEN」➡2300円(Amazon)【HDD&SSD専用ケース】
時計機能付で、指定日数の期間に暗号ドライブにアクセスされないと、自動的にHDD内のデータが消去されます。

IT化が進んだ時代に生きる我々は、誰かを頼る、家族が何とかしてくれるであろうという他人任せではなく、データの処理方法などは、あらかじめ自分で準備しておくべきなのかもしれませんね。
 

デジタル機器の「お焚き上げサービス」

 
一方で、パソコンそのものや、外付けハードディスク、メモリーカードなどの周辺機器をはじめ、携帯電話やスマートフォンそのものを処理してくれるサービスも新たに誕生しています。
一例として、2013年10月に、一般社団法人遺品整理士認定協会が「MISお焚き上げステーション」という、パソコンや携帯電話など情報機器をお焚き上げするサービスをスタートさせています。

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お焚き上げも、その内容によって価格が細かく設定されています。
●携帯電話 ➡ 500円/1台   ●ノート型パソコン ➡ 2000円/1台
●デスクトップ型パソコン ➡ 3500円/1台 ●ハードディスクのみ ➡ 1000円/1台
●外付けハードディスク ➡ 800円/1点 ●USB ➡ 300円/5点
●CD・DVDディスク ➡ 500円/10枚 ●メモリーカード ➡ 300円/10枚

個人情報の悪用を徹底的に防ぎ、故人の尊厳を守るための方策としてスタートした新サービス。
今後も、時代が必要とする様々な「デジタル終活」の方法が生まれてくることになるのでしょう。
何を遺し、何を遺さないのか、元気なうちから精査しておく必要があるようです。
 
 

≪記事作成ライター:川島大河≫
情報サービス会社、広告代理店などの勤務を経て、現在は供養関連事業(お墓、葬儀、終活など)の販促企画、セミナー・プロデュース、執筆・編集関連業務に従事する。「楽しく人生を過ごすために役立つ情報を分かりやすく提供」することがモットー。


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