オセアニアの今~中国に依存する経済状況を考察


今回はオセアニア経済を考察します。
オーストラリアもニュージーランドも、経済は大きく中国に依存する体質です。従って、両経済共に中国の経済が現在どの様な方向にあるのかに注目しつつ考察する必要があります。
そんな訳で、まず中国経済について思い描くことを述べたいと思います。

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今朝中国第3四半期GDP(国内総生産)1.8%前期比、6.7%前年比と発表されました。これは、中国の「新常態」の経済成長センスからして、予定通りの数字と言えます。5年程前の10%を超える成長率から、巡航速度の経済成長期へと移行しているものの、それでも先進国から見れば羨ましい限りです。これまでの低賃金での安価な製造業中心の経済モデルから、消費中心の経済モデルの脱皮、転換期を迎え、この移行期が順調に進めば、先進国経済への影響は少ないと思われます。
中国は、国営企業の重厚長大製造業、即ち鉄鋼業メーカーのゾンビ企業化、東南アジア・南アジアへの製造業の移行が進み、もはや価格競争力がなくなってきています。景気を牽引してきた不動産業も、国内でのばらつきがあり、上海などの都市部の不動産投資は依然として活況ですが、地方では不振のようです。

そして株式市場。昨年の大幅下落から、今年の中国株価は落ち着きを取り戻し、上海総合指数は3,000ポイント前後と、大きく落ち込むことなく、堅調と言えます。昨年の5,000超の指数は不動産から株式市場に資金が流れ、バブル状態と言えました。中国の投資家も徐々に賢い投資スタンスになっているのではと思います。

中国9月貿易収支については、419.9億ドル黒字と予想より悪かったようです。下記(出所:ロイター)は2008年から2016年までの貿易収支、そして輸出・輸入の内訳を示しています。これを見ると2014年からは「新常態」の貿易収支の流れのようです。そして直近では輸出(赤線)、輸入(青線)共に下向きと言えます。特に輸出(-10%)の落ち込みが激しいと言えます。

そこで今回のレポートの本題であるオセアニア経済が登場してきます。

オーストラリアは、鉄鉱石・石炭の輸出に大きく依存しており、中国の需要が鉄鉱石の価格を左右しています。そしてニュージーランドは、乳製品の輸出に大きく経済が依存してくる体質にあります。中国の存在が、大きくその輸出体質に影響を及ぼしていると言えます。
このことをベースにオセアニア経済、そして金融の流れを考察しましょう。

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豪経済について考察しましょう。
中国の鉄鉱石・石炭需要に大きく影響される経済と言えます。
これまではRBA(豪準備銀行)の声明文では、資源投資部門と非資源投資部門を明確に分類し、その産業を個別に分析してきました。現在資源部門は、一頃の落ち込みから回復する流れのようです。そしてその他の産業も、リーマンショック後は比較的安定して推移しています。
輸出産業には打撃となる豪ドル高を、RBAそして政府は気にしていると言えます。RBA声明文では、「豪ドル高は貿易部門を複雑化している。」との表現です。以前には豪ドル高は明確に阻害要因と明記され、豪ドル高をけん制する内容となっていました。
不動産投資が依然として活況のようであり、インフレ懸念は引き続きあるようです。しかし直近のインフレ率は豪第2四半期消費者物価指数1.0%前年比となっています。RBAのインフレ目標は、2~3%の範囲内に収めることです。2%の下限にはまだほど遠い状態です。

経済が中国経済の新常態の成長と共に、大きくは向上しておらず、そしてインフレも目標には届いていない、その意味では現在政策金利(キャッシュ・レート)1.50%を引き下げても良さそうに個人的には思っています。しかしロウRBA総裁は、「金利据え置きはインフレや成長目標と一致している。」として、慎重に言葉を選んでいます。積極的に利下げには踏み切らない姿勢を強めています。このことで最近の豪ドルは対ドル、対円で豪ドル高の傾向を次第に強めているのではと思います。
また米FRB(米連邦準備理事会)の年内の利上げが確実視されていることから、米長短金利が上昇する動きにあります。それにつれて豪連邦債も10年債で2.32%と一頃の2%前後の水準からは上昇しています。中長期的には高利回り追求の豪ドル債投資と、底堅い豪ドル為替投資は、底値は拾って行きたい所ではと思っています。

そしてニュージーランドの経済を考察しましょう。
基本的には先進国であるオーストラリア通貨と兄弟関係にあります。そしてオーストラリア以上にニュージーランド債は高利回りを示しています。
現在ニュージーランド債は10年2.62%と、オーストラリア債以上の高利回りが受け取れます。先進国債券でこのような高利回りを受け取れる国はありません。その意味で豪ドル、NZDドルには高債券利回り投資を目指した資金が本邦などからは流入することになります。
ニュージーランドも資源国通貨に分類されますが、オーストラリアとはちょっと異なります。木材など森林資源、乳製品などの農産物の輸出が盛んなようです。乳製品輸出は一大産業を構成します。中国向けの乳製品価格には常に注目しないといけない経済と言えます。
乳製品大手会社フォンテラ社の乳製品価格を決める指標GDT(Global Dairy Trade)Price Indexが月2回発表されます。それによってNZDが変動します。
下記(出所:Global Dairy Trade)は過去10年間のGDT Price Indexの推移を示しています。これを見ると昨年あたりから底値圏から価格上昇の動きになっているようです。これはニュージーランド経済には追い風となっているように思います。

号外2

そしてニュージーランド経済にはオーストラリア同様に、中国からの不動産投資が盛んに行われており、RBNZ(ニュージーランド準備銀行)には頭痛の種になっています。不動産投資を規制する動きにあるようです。不動産投資を規制する手段として、LTV(Loan to Value)規制、そして不動産購入に際して頭金を倍増するなどの規制を、この10月から踏み切りました。その結果、これまで程の不動産価格上昇の動きは収まってきたようです。
RBNZのインフレ目標は1~3%とちょっと幅を広く設定しています。現在のインフレ率は昨日発表された第3四半期消費者物価指数0.2%前年比と、予想よりも良いものの、依然として低い水準にあるようです。RBNZは9月22日開催の金融政策委員会で、その声明文には、「更なる金融緩和がインフレ目標の中間点(2%)に落ち着く必要がある。」としています。
現在の政策金利(オフィシャル・キャッシュ・レート)2.00%を年内に1.50%まで引き下げる観測があります。そのためにNZDは豪ドル以上にNZD安の可能性があるのではと思います。高利回りのニュージーランド債ですが、為替が下落基調になると、高利回りを打ち消すことになるので注意したいところです。

ミドルリスク、ミドルリターンの金融商品と共に、オセアニア通貨への高利回り債券投資も常に考察してゆく必要があるのではと思います。
研究を怠らないようにしたいものです。


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