ビジネスシーン限定。ああ恥ずかしや。お金にまつわる格言、ことわざの勘違い、大間違い


マネセツ127(前田)間違いだらけの格言/メイン
ビジネスシーンで、さらりと格言を入れてくる保険屋さんがいます。
「人間、万事塞翁が馬とは申しますが、やはり備えあれば憂いなしですよね」と。
「ぬぬぬ。おぬし、できるな」と私も心の中でニヤリ。

格言やことわざ。できれば嫌味にならない程度にさらりと使いこなしたいものですが、その使用法が適切ではなかったり、意味を間違っていたりしたら……」、かなり恥ずかしいですよね。
ここでは、ビジネスシーンで実際によく見かける例をいくつか挙げてみます。この機会にぜひ、点検してみてください。あなたは大丈夫かな?
 

この場合、「沈黙は金」ではなく「果報は寝て待て」

 
『沈黙は金』と言うだろう。この取引は先に値段を言ったほうが負けだ。じっと待っていれば、必ず向こうから金額を提示してくるから」……。

『沈黙は金』は、「こちらの見積もりが先か、相手の予算を聞き出すのが先か」という場面のやり取りでよく使われるフレーズです。この場合、「沈黙は金(きん)」というよりも、どちらかと言えば、「沈黙は金(かね)になる」という意味合いで「金」という言葉を使っていますが、この格言の本来の意味は全く違います。

実はこの格言、イギリスの「雄弁は銀、沈黙は金」という格言が語源だと言われていて、「よどみなく話せることは大事だが、黙るべき時を知ることはもっと大事だ」(故事ことわざ辞典)という意味です。
これをビジネスシーンに置き換えれば、
「雄弁に語れば、確かに説得力はあるように見えるし、本人は気持ちいいかもしれないが、それにも増して相手の心を打つのは、相手の言葉を黙って傾聴する姿である」ということになります。
「黙っていれば金(かね)になる」という意味ではありません。お間違えなきよう~。

〇 「沈黙は金」に類似することわざは、「口は災いの元」である。

この場合、「情けは人の為ならず」ではなく、「泣いて馬謖を斬る」

「『情けは人の為ならず』と言うだろう。我々もつらいが、ここは、彼に温情をかけるよりも、いったん地方に転勤してもらって一から出直してもらおう。そのほうが彼の将来のためだ」……。

これもまた、よくビジネスシーンで見る光景です。
この会話の意味するところは、「重大なミスをした部下に温情をかけることは、かえってその人の成長を妨げたり、長い目で見た利益にならなかったりするので、心を鬼にして、あえて辛い道を歩ませよう」といったところでしょうか。

確かに、「情けは~」のところを「泣いて馬謖を切る」に置き換えるとしっくりきますね。しかし、この格言の意味はまったく違います。本当の意味は、
「誰かに情けをかけるのは、『相手のためにしてやっているのだ』と思わず、自分自身が救われる、よい人間になるために行っているのだと思いなさい」というアドバイスなのです。

そうか! わかりました。

「情けは人の為ならず」に類似する格言は、「損して得とれ」だったのですね!

うーん間違いではないのですが、昔は、「得」ではなく「徳」だったそうです。
ビジネスシーンでは、つい「お金」=損得勘定に走りがちで、自然に、「損して得とれ」と出てきますが、「損して徳とれ」が本来の意味です。情けをかける、または損をしてでも、人間としての「徳」を積むのです。そうすればかならずやいつか自分に、安寧が訪れると先人たちは説いています。何でもカネカネはいけませんね。
 

そのほかにもたくさんある、ああ、勘違い!

 
最後に、間違いだらけの会話をご紹介しましょう。
「ほら、見てくれ、孫の七五三の写真なんだ」
「孫にも衣装と言うだろう、もうかわいくてね」
「部長、本当に蛙の子は蛙ですね! 部長に似て整ったお顔立ちで~」
「うちの孫が蛙とはなんだ!」

×孫にも衣装    〇馬子にも衣装
「馬子」とは、駄馬に荷物や人を乗せて運ぶことを職業とした人で、馬子のような身分の低い人でも羽織袴を着れば、立派に見えること。(故事ことわざ辞典より)です。

自分の孫の写真を自慢げに部下に見せてしまい、あげく、蛙と言われれば怒り出すような部長が、自分のことを「馬子」だなんて遜る(へりくだる)とは思えませんので、「孫」だと思って格言を使っていますね。

さらに、「蛙の子は蛙」は、「おたまじゃくしの時代は似ても似つかなくても、結局は姿形が似てくる」という意味です。これは「どうあがいてもしょせんは」というような意味合いで使われるので、この部分で部長が怒り出したのは、ある意味で正解でした。

以上、格言、ことわざの間違った使用法をご紹介してきましたが、なんでも「過ぎたるは猶及ばざるがごとし」と申します。ビジネスシーンに格言を入れるのは、ほどほどにしておくほうがいいのかもしれません。相手がその意味を知らないと、間違って伝わったままになることもあるかもしれませんから。

── さらに、「過ぎたるは猶及ばざるがごとし」は、「覆水盆に返らず」との類似で、「終わってしまったことはしょうがない」という意味だと思っていたあなた、それ、大間違いです。
くれぐれもお気をつけあそばせ。

≪記事作成ライター:前田英彦≫
同志社大学工学部(現理工学部)出身。株式会社リクルートに11年間在籍、広報室マネジャーなどを経て独立。数々の起業家、創業経営者との出会いを通して、日々成長中。独立時に設立した会社は現在18期目を迎えている。「『レジを打ったことのない人間に小売りの何がわかる!』と流通業の顧客に言われて悔しかったことがきっかけで、たい焼き屋も展開。大学を卒業して30年。突如理系仕事に目覚め、最近では製造業の職人になってしまったという噂も。ダルメシアン、テニス、ゆで卵を愛す。


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