国民医療費が40兆円台に。「病院まるごとロボット化」を政府が推進


Robot with dropper. 3d illustration

来年度の予算案(一般会計総額)が過去最大の97兆4547億円に決定しました。全体の約3割を占める「社会保障費」は、過去最大の32兆4735億円。

ある要人は「歳出削減に向け、年金制度改正、高齢者医療費の自己負担額引き上げなど抜本的改革を行うべき」と発言していますが、2014年度に国民医療費が初めて40兆円の大台を超えたことをご存じでしょうか?
2007年に「超高齢社会」に突入した日本では、「医療」の側面だけ見ても医療提供体制、医療保険、診療報酬・高額療養費・高齢者医療制度・薬価の見直し、さらには大病院の赤字化、医師・看護師不足……とあらゆる課題を抱えています。
そうしたなか、内閣府の「未来投資会議」(昨年11月)で「病院をまるごとロボット化(IT化)」が発表されました。さて「病院まるごとロボット化」とは何のことなのでしょう。

 

高齢化社会から高齢社会から、「超高齢社会」へ

 

世界保健機構(WHO)や国連の定義では、「高齢化社会」「高齢社会」「超高齢社会」次のように明文化されています。
■「高齢化社会」 ➡ 高齢化率が7%を超えた社会
■「高 齢 社 会」 ➡ 高齢化率が14%を超えた社会
■「超高齢社会」  ➡ 高齢化率が21%を超えた社会
つまり、高齢化率が2007年に21%を超えた日本は「超高齢社会」に分類されますが、世界ランキングでいうと、現在23%の日本は第1位。次いで高齢化率20.4%のイタリア、ドイツが第2位に肩を並べます。この3ヵ国を見てわかる通り「超高齢社会」は先進国に起きる現象であり、経済的に豊かで医療が進歩した社会でしか、超高齢社会にはならないことがわかります。

 

「超高齢社会」の日本で、病院まるごとロボット化?

 

20年ほど前から、町のクリニックでも事務関連データのデジタル化(電子カルテなど)が進んでいますが、最近では介護の現場でも、介護・自立支援型ロボットが導入され始めています。
しかし今回、内閣府が発表した「病院まるごとロボット化(IT化)」は、「現場の医療行為そのもの(病院全体)のデジタル化」を指し示したものとなります。

例えば、大病院、小規模医院を問わず、現状では医師・看護師が薬剤・検体・器材等を上下階に取りに行く、また搬送することも少なくなく、そうした間接業務が医療業務を阻害すると問題になってきました。
しかし、「病院まるごとロボット化(IT化)」が実現すれば、衝突物回避機能(センシング技術)を備えたロボットが、患者、薬剤、検体、機材を搬送する光景も珍しいものではなくなるのです。
※すでにパナソニック製をはじめ「病院内自律搬送ロボット」の販売開始と並行して、LAN を通じて各種センサの信号授受を行える院内システムが開発・導入されています。

エレベータの自動乗降、階段からの落下防止、自動ドア開閉等はもろちん、患者、外来、見舞客といった多くの人々を感知して、入り組んだ廊下もなんのその、縦横無尽に院内を移動する搬送ロボット……。あるいは、手術室で患者の血圧や体温データから薬を的確に投与する手術支援ロボット……。さらには、医師が送信した処方箋データをもとに、手早く薬を選り分ける薬剤処方ロボット……。
院内のあちこちでこうしたロボットたちの姿を見る日も、そう遠くなさそうなのです。

 

緒についたばかりの「病院をまるごとロボット化」

 
マネセツ147(岩城)病院まるごとロボット化./図①

具体的数字で見ると、平成26年(2014)度の国民医療費が初めて40兆円を突破し、人口一人あたりの国民医療費も増加。しかしながら、国民医療費が増加した半面、高齢者、高額療養費等の優遇制度によって窓口負担が抑えこまれている現実にあり、大病院といえども経営が逼迫しているとも言われています。

そのため、圧迫した経営が医療そのものの安全性・信頼性を損ないかねない危険性が、以前より危惧されていました。つまり「病院まるごとロボット化(IT化)」が実現したあかつきには、【医師・看護師の業務効率が向上】【持続可能な医療システムに向けた制度改変が実現】【安全性・信頼性を損なうことなく、高い質の医療の提供が可能に】【コスト削減】……といった様々なメリットをもたらされると言われています。
※「大病院では赤字が拡大」=公益社団法人 日本医師会「第20回 医療経済実態調査報告」(平成27年実施)より

しかしながら、「超高齢社会」の日本で、このまま医療費の増加が続き、今のままの「医療の形」であれば限界がくることは明白です。何より、「病院をまるごとロボット化(IT化)」は緒についたばかり。
テクノロジーに振りまわされず、人が技術を上手に活用するようにしたいものですが、医師が安全管理に集中できる、より良質で先進的な医療の提供にロボットがひと役もふた役もかってくれることを、誰もが願ってやまないでしょう。さらに、超高齢化社会に暮らす日本人としては、「テクノロジーを活用した新たな医療現場の幕開け」に大いに期待したいところです。

≪記事作成ライター:岩城枝美≫ 
横浜出身。東京在住。大手情報サービス企業を退社後フリーランスに。教育、結婚、通信、金融、IT、住宅、ゴルフ系の出版物、Web、社史、社内報など、20年にわたりあらゆるジャンルの取材・執筆、ディレクションに携わる。


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