中高年の熟年夫婦に朗報!配偶者優遇の相続制度を新設へ


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相続制度の見直しを検討してきた法制審議会(法相の諮問機関)の部会は、遺産相続に関する民法改正の要綱案をまとめ、今年(2018年)1月22日からの通常国会に提出しました。

約40年ぶりとなる法制見直しの目的は、高齢化社会における遺産相続のあり方への対応。改正案には故人の配偶者が住まいや生活費を確保しやすくする新制度が盛り込まれるなど、法的に結婚している配偶者の優遇を強く打ち出した内容となっています。加速する高齢化の時代とともに、遺産相続の「何が、どう変わるのか」……気になるポイントを具体的に見ていくことにしましょう。

 

自宅に住み続けられる「配偶者居住権」を新設

 

今回の法制改正における柱のひとつが「配偶者居住権」の新設です。
総務省の全国消費実態調査(2014年)によると、2人以上の世帯の家計資産に占める不動産の割合は全国平均で約67%。子どもがいる場合、配偶者の法定相続分は遺産の2分の1となるので、子どもの相続分を捻出するために、住んでいる自宅を売却(自宅を現金化して分割)しなければいけないケースも考えられます。そこで改正案では、住宅の権利を「所有権」と「居住権」の二つに分割。配偶者が居住権を選択すると、子どもや他者が住宅の所有権を持っていても、配偶者はそのまま住み続けられるようになります。
また、居住権の評価額は住宅の評価額よりも低くなるため、配偶者が預貯金などの現金をより多く相続できるケースが増えます(下図参照)。つまり、残された配偶者は住む家を失うことなく、老後の生活費の不安も減るというわけです。

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居住権の評価額は配偶者の年齢や平均余命などから算出され、高齢になるほど安くなりますが、配偶者が若い場合は従来の所有権と変わらないほど高額になることも見込まれます。そうした意味で、配偶者居住権は高齢化社会を主軸に見据えた、シニア世代のための優遇制度といえるでしょう。

 

結婚して20年以上の夫婦に限定した優遇措置も

 

さらに、中高年の配偶者を優遇する措置として、結婚期間20年以上の夫婦にかぎり、配偶者から生前贈与された自宅は遺産分割の対象(遺産の総額)から除外できる規定も設けられました。こちらも、残された配偶者が住み続けられる家を確保するとともに、預貯金などの現金を得やすくする仕組みとなっています。
現行制度では遺産分割の際、生前贈与された自宅も遺産に含めて計算されるため、贈与を受けた配偶者は預貯金などの取り分が少なくなってしまいます。たとえば、夫の遺産(生前贈与された自宅2000万円+現金3000万円)を妻と子ども1人で相続する場合、妻の法定相続分は遺産の2分の1にあたる2500万円。しかし、妻はすでに自宅2000万円分を贈与されているため、相続できるのは現金500万円だけとなってしまうのです。そこで、生前贈与された自宅の2000万円分は遺産分割の対象外とし、残りの現金3000万円のみを対象とすることで、妻はその2分の1の1500万円を受け取れるというわけです(下図表参照)。

 

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前述したように、この規定の対象は「結婚して20年以上経過した夫婦」と限定されており、夫婦関係の長さを重視している点が最大のポイントです。3組に1組のカップルが離婚する時代、熟年夫婦になるまで長く連れ添った配偶者だからこそ、こうした優遇が受けられるということかもしれませんね。

 

時代に即した新規定も追加され、より現実的・合理的な法制へ

 

その他、今回の改正案では以下の新規定も盛り込まれています。
【介護に貢献した親族が金銭請求可能に】
故人の介護などを行った相続人以外の親族が、相続人に金銭を請求できる権利を新設。相続人以外の親族とは、6親等以内の血族と3親等以内の配偶者が相当し、とくに義父・義母を介護した「息子の妻」などを想定している点がポイントです。故人の息子が先に亡くなっている場合、息子の妻の貢献が相続に反映されないケースが多いためです。

【遺産分割前でも預貯金の引き出しが可能に】
現行制度では遺産分割の協議が終了するまで、故人の預貯金が引き出しにくくなる(口座の凍結で引き出せない、引き出しに煩雑な手続きが必要となる)などの不便が生じていました。そこで、遺産の受け取り内容を決める遺産分割の前でも、相続人が故人の預貯金を金融機関から引き出せるようにする「仮払い制度」を新設。残された配偶者の当面の生活費や、故人の葬儀費用の支払いなどに配慮した措置です。

【パソコン作成の財産目録も添付可能に】
自筆の遺言書に付ける財産目録は、これまで自筆以外は不可とされていましたが、パソコンで作成した印刷書類や登記簿のコピーなども認められるようになります。また、変造・紛失などのトラブルを防止するため、遺言書を各地の法務局で保管できる制度も新設されます。

── 以上、遺産相続に関する民法改正の要綱案について詳しく見てきました。
全体的なイメージとしては、加速する高齢化や現代の家族事情に即した、より現実的かつ合理的な見直し内容となっているように感じます。また、長年連れ添った配偶者や貢献度の高い親族に配慮するなど、「血縁の深さ」より「つながりの深さ」を重視している点において、これからの時代に求められる相続制度とは何なのか、深く考えさせられました。この機会に既婚の方も未婚の方も、多様化する家族関係や相続のあり方について一考してみてはいかがでしょうか。

※参考/法務省HP、朝日新聞、産経ニュース

≪記事作成ライター:菱沼真理奈≫  
約20年にわたり、企業広告・商品広告のコピーや、女性誌・ビジネス誌などのライティングを手がけています。金融・教育・行政・ビジネス関連の堅い記事から、グルメ・カルチャー・ファッション関連の柔らかい記事まで、オールマイティな対応力が自慢です! 座右の銘は「ありがとうの心を大切に」。


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