話題沸騰の節税対策、iDeCoとは?(後編)


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前編では、iDeCoのメリットは “節税”にあり、デメリットは積立て中にかかる“手数料”と説明しました。

とはいえメリット・デメリットは、加入者の収入や積立期間、積立金額によって左右されるものの、2017年1月より加入範囲が拡大したことで、公務員や主婦でもiDeCoに加入できるようになりました。

そこで「話題沸騰の節税対策、iDeCoとは?」の後編では、以前から加入することができた自営業者や、企業年金制度のない会社の従業員を含め、どのような人にiDeCoが適しているかをズバリ解説します。

 

自営業にとってiDeCoは最強の自衛手段!

 

「40年間も国民年金を納付してきたのに、月6万5000円の年金では生きていけない!」
年をとって仕事をするのが困難になったとき、年金収入だけでは生活できなくなる……。いま、こうした高齢者が急増しています。

老後破産に陥り生活保護に頼らないためには、現役世代から資金形成を行う必要があります。なかでも退職金がなく、国民年金だけで生活しなくてはならない自営業者(特に個人事業主)にとって、問題は切実です。このリスクを回避する最強の手段がiDeCoなのです。

 
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iDeCoの節税メリットのなかで、最も即効性があるのが掛け金拠出時の所得控除です。
自営業者は毎月6万8000円まで掛け金を設定できるため、年間で最大81万6000円の所得控除が受けられます。年収400万円と仮定した場合、節税額は年間15万1600円になります。
iDeCoの掛け金は60歳以降、年金として確実に受け取れますから「節税効果」+「確実な年金」の手段として、自営業者にとって最強の武器といってよいでしょう。

 

企業年金制度のない会社員におすすめ!

 

企業に務める従業員(サラリーマン)が加入する老齢厚生年金の平均受給月額は、14万5000円(男性18万円、女性9万円)です。一方、総務庁の統計によると、夫婦ふたり住まいの高齢者世帯の平均生活費は約25万円(月)とのこと。妻が専業主婦で夫の年金だけで生活する場合、受給額は平均である18万円から見ても、月額で7万円ほど不足する計算です。これをカバーするのが企業年金(厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金)です。
しかし、創業間もない企業や中小企業では、このような企業年金制度がないところも少なくありません。iDeCoはこうした企業年金制度のない会社に勤めるサラリーマンにとっても強い味方となる、おすすめの制度なのです。

将来に備えるための投資としては、定期預金、株式投資、投資信託などがありますが、企業年金制度のない会社員は月額2万3000円まで掛け金とすることができますので、投資額は年間27万6000円となり、年収500万円であれば、節税額は約5万5000円となります。運用利益が仮に5%とした場合、評価額は28万9800円、手数料に2000円払ったとしても、節税効果の5万5000円を考慮すると、価値は6万6800円増えたことになります。iDeCoをおすすめする理由はここにあります。

 

専業主婦もiDeCoに加入可。最大のメリットは所得控除!

 

今年1月の法改正で専業主婦(第3号被保険者)もiDeCoに加入できるようになりました。自分名義のiDeCoで掛け金を増やし、60歳以降になった段階で確実に年金を受け取れるのは大きなメリットといえますが、節税効果についてはどうでしょうか。

もちろん運用益が無税となる点は大きなメリットですが、主婦の場合は退職金がありませんので、一時金として受け取る場合の節税メリットはあまりないといえるでしょう。
                                   
では、iDeCo最大のメリットである所得控除を見てみましょう。

                                        
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完全な専業主婦や98万円未満のパート主婦にとって、そもそも所得税や地方税がかからないため節税効果は期待できません。
図はパート主婦が気にかける壁(103万円の壁、130万円の壁等)ごとに、500名以上の企業とそれ未満の企業に勤めるパートの節税効果を示したものです。

収入が103万円を超えればわずかではあるものの、iDeCoの手数料を超える節税効果があります。さらに2018(平成30)年より実施される配偶者控除の見直しにおいて、103万円の壁が150万円にスライドしたことに伴い、配偶者特別控除の上限である201万円まで収入を上げようとする主婦が増えることが予想されます。これらのパート主婦は、iDeCoの節税効果をより実感するに違いありません。

 

公務員にとってのiDeCoは?

 

地方公務員の共済年金支給額の平均は、23万2000円です。自営業者や企業のサラリーマンと比べれば恵まれているものの、共済年金と厚生年金の一体化によって享受する利点は減ってきており、老後の生活を年金だけで暮らすには少し不足する金額です。iDeCoに加入できるようになったとはいえ、公務員に許された掛け金が毎月1万2000円に過ぎないのは、こうした年金制度の違いが配慮されているからです。

掛け金が少ないため、手数料をカバーする運用益を得るまでに時間はかかりますが、所得控除がありますので、iDeCoは公務員にとってもやはりお得な投資先です。地方公務員の平均年収は約670万円(サラリーマン男性の平均は約511万円)。生活にゆとりのある公務員にとって老後を潤すためのiDeCoは、やはり魅力的な資産形成の手段といえるでしょう。

参考URL:
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/kyoshutsu/ideco.html 厚生労働省ホームページ https://www.nta.go.jp/gensen/haigusya/index.htm 国税庁ホームページ 

≪記事作成ライター:山本義彦≫
東京在住。航空会社を定年退職後、介護福祉士の資格を取得。現在は社会福祉法人にて障がい者支援に携わる。30年に及ぶクラシック音楽の評論活動に加え、近年は社会問題に関する執筆も行う。


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