話題沸騰の節税対策、iDeCoとは?〈前編〉



 

今年7月、内閣府の有識者検討会で年金の受給開始年齢「75歳選択制」が検討されました。

すかさず「“70歳定年、75歳年金支給開始”の時代が近づいた」との先読み報道がなされたので、将来の年金を心配した方が多いかもしれません。でも、一律75歳支給という意味ではないのでお間違えのないように。かえって、老後の資産形成を考えるきっかけとして問題提起になったとも言えますね。
そこで現在、話題となっているのが「iDeCo(イデコ)」です。平成13(2001)年に始まった個人型確定拠出年金の制度が、今頃になって急速に注目されているのはなぜでしょうか。
前編と後編にわたってiDeCoを取り上げます。

 

iDeCo(イデコ)って、いったい何?

 

あまりなじみのないiDeCoですが、この呼び方は個人型確定拠出年金の愛称として、平成28(2016)年9月16日に決定しました。英語の「individual-type Defined Contribution pension plan」から頭文字を取ったもので、法改正を前に親しみやすい名前で認知度を高めたいと厚生労働省がネーミングしたのですが、普及につなげる狙いがむしろ年配の方からは覚えにくい、との声もあがっているそうです。

確定拠出年金は、私的な年金制度のひとつです。
文字通り、「確定」した掛け金を「拠出」して、それを資金とした運用益と掛け金が「年金」として給付され、運用成績次第で給付金額が左右されるのが特徴です。個人型は20歳以上60歳未満の加入者本人が掛け金を拠出し、運用方法を選ぶもので、国民年金基金連合会が主体となって運営しています。
受給方法は、老齢年金のほか一時金や障害給付金などとしても受け取りが可能。モデルとしたアメリカの制度(401K)と同じく、税制上の優遇措置が講じられているため、より豊かな老後生活を送るための有利な資産形成方法として、現在、脚光を浴びているのです。

 

iDeCoのメリットは、ズバリ“節税”!

 

iDeCoが何よりもお得な点は、講じられている税制上の優遇措置が3つあることです。

■その1:掛け金が全額所得控除の対象となるため、所得税・住民税が軽減される
(例)マネセツ太郎さんの年間所得控除のイメージ
30歳会社員(既婚で共稼ぎ、子どもなし)、年収500万円
掛け金月額1万2000円を60歳まで30年間拠出し続けた場合
 ↓
概算で86万4000円の節税ができます。 

■その2:積み立てた拠出金の運用益には税金がかからない
一般の金融商品は利息などには税金(源泉分離課税20%)がかかりますが、iDeCoの場合、運用益は非課税です。税金で差し引かれるはずの金額も再投資にまわせるので、さらに運用益が期待できます。

■その3:給付を受け取るときも税制優遇措置がある
iDeCoは年金か一時金で、受取方法を選ぶことができます。年金として受け取るときは「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象となります。iDeCoが節税対策として人気があるのもうなずけますね。

 

まだある、iDeCoのメリット!

 

さらに、iDeCoには次のようなメリットもあります。

■その1:年金制度の破たんリスクがない
国民年金基金には1兆円を超える莫大な積立金の不足があります。このツケは将来誰かが痛みを負うことになるわけで、破たんを防ぐためには年金の支給開始年齢の引き上げや、支給額の減額などの抜本的対策が必要なのは明らかです。せっかく積み立てた年金が支給開始年齢になっても受け取れない、金額が少なくなる、という可能性があるのです。
その点、私的年金であるiDeCoは拠出された年金を個人単位で管理しているため、運用が失敗したときは運用益がマイナスになりますが、制度が破たんするリスクはないといえるでしょう。

■その2:自己破産しても受け取ることができる
iDeCoは確定拠出年金法第32条によって換価不要な資産として保護されています。そこで、たとえ自己破産しても積み立てた資金は清算されることがなく、財産として残ります。60歳を過ぎたら自分が掛け金を払って貯めた年金(または一時金)を受け取ることができるのです。個人事業主の方などにとっては、またとないセーフティネットとなるでしょう。

 

もちろん、iDeCoにはデメリットもある

 

とはいえ、iDeCoにはメリットだけではなくデメリットもあるため、加入時には事前にしっかり理解しておく必要があります。

■その1:60歳までは引き出しできない
iDeCoは年金として設計されているので、途中で解約して現金で受け取ることができません。そのため、積み立てはあくまで余裕のある資金で行う必要があります。ちなみに、掛金額の変更はできるので、生活が苦しくなった場合などは、最低額(月額5000円)まで下げるという柔軟な対応をとることが可能です。

■その2:手数料がかかる
iDeCoは、加入時の手数料(初回のみ 2777円)と、運用期間中の口座管理料(毎月数百円程度*)がかかります。積み立て残額が少ないときは年間2%程度のコストとなりますが、残高が100万円を超えるころには0.2%程度に下がります。また、60歳以降の年金受け取り時には振込の都度、手数料(432円)が必要です。

*口座管理料は取扱い金融機関によって異なります。詳細は特定非営利活動法人 確定拠出年金教育協会のURLを参照ください。http://www.dcnenkin.jp/search/commission.php
 

公的年金だけでは心配だと老後に不安を持っている人にとって、iDeCoは大きなメリットのある私的年金制度です。節税しながら効率的に運用ができるので、将来に不安がある方、または、必要な資金を備えておきたい方は、前向きに検討すべき制度といってよいでしょう。
── 次回〈後編〉では、専業主婦や公務員など法改正で加入が可能となった方々にとってのメリット、デメリットをさらに掘下げることによって、どんな人にiDeCoが適しているのかを解説します。
参考URL:http://www.dcnenkin.jp/

≪記事作成ライター:山本義彦≫
東京在住。航空会社を定年退職後、介護福祉士の資格を取得。現在は社会福祉法人にて障がい者支援に携わる。30年に及ぶクラシック音楽の評論活動に加え、近年は社会問題に関する執筆も行う。


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