世界的金余りの中の投資戦略で見えてくること 


世界的に資金が滞留していて、どこの金融商品に投資資金を振り向けるか、投資家はあれこれ考えているようです。折しも世界的に株高現象の途上にあるようです。

そこで今回は、日本経済新聞の二つの記事に注目してみました。

1つ目は、個人投資家の待機資金が株高で、10月末現在13兆円という見出し記事です。
 
投資信託協会の10月の投信概況によると、証券口座の現預金にあたるマネー・リザーブ・ファンド(MRF)残高が13兆1774億円と過去最高を更新したということでした。
証券会社で投資家が株式、投資信託、その他金融商品に投資する場合には、MRF口座を介して、金融商品を購入します。そして利食い売り、損切売りをして現金化すると、MRF口座に移します。
記事によると、その背景には株高による利益確定売りにあるということです。日経平均は21年ぶりの株高を更新し、株式投信の解約額は4兆4845億円と過去2番目の高水準にあるといいます。11月初旬も高値更新の日経平均にあり、ここの所、利食い売りに押されて下落基調にあるようです。その過程で、株式投信と株式の利食い売りが更に増えているのではないのかと思います。この先も調整局面が続く可能性も否定できません。
しかし、日本株式は今後も好調を維持することができそうです。(それについては、後程検証したいと思います。)
尤も証券会社は、日銀のゼロ金利政策から、マイナス金利が適用されるMRFのコスト増に苦慮している現状があります。

2つ目は、米運用会社の資産規模が足元20兆ドル(2300兆円弱)を超え、過去最高水準となっているという記事です。
 
世界的な株高基調で底上げされており、上場投資信託(ETF)など株式指数に連動するインデックス型の金融商品への資金流入が続いています。
このことから、世界的な金余りの状況が伺えると思います。高齢化社会であり、世界各国の年金運用に苦慮しているのではないのかと推測できます。運用のプロである米国運用会社のファンドマネジャーは、次はどの金融商品に資金を振り向けるのか知恵を振り絞ります。運用利回りが良いことで、世界中の年金基金が押し寄せます。
 
米運用会社でも、利食った運用資金は、日本同様にMRF口座に滞留してしまうことになります。米国では、米連邦準備理事会の現在のフェッド・ファンド・レート(FF Rate)が1.00~1.25%といった所なので、日本と比べて、多少の利回りは保証されています。
しかし、日本ではゼロ金利政策が続いていることから、MRF口座に資金滞留させてしまっては、利息収入さえ保証されない現状と言えます。「この状況を打開する策はないか」と、投資家は試行錯誤しており、新たに投資先を探すこととなります。

それでは日本の投資環境はどのような状況にあるのでしょうか?
ファンダメンタルズをチェックしておきましょう。
下記グラフ(出所:ウォール・ストリート・ジャーナル紙)は第3四半期GDP(国内総生産)の前期比ベースのグラフです。3か月毎の推移を示していますが、マイナス成長を示現することがなくなってきました。現在は0.3%で、前年比ベースでは1.4%です。内訳を見ると輸出が1.5%と前期よりも0.2%減ですが、相変わらず外需に頼った経済成長路線です。個人消費0.5%減、住宅投資0.9%減と、内需は芳しくないと言えます。このようなことから、次のことが推し量られます。企業は好調に輸出で稼ぐものの、個人の消費、そして住宅投資意欲に欠けてしまうのではないかと思います。
政府は景気刺激をしないといけないのですが、公共投資2.5%減と芳しくないのです。このことから、政府は景気刺激策をいろいろと提案しているものの、実際には落ち込んでいると言えます。

このような経済状況の中では、日銀としては、ゼロ金利政策を続ける以外に方策はなさそうです。黒田日銀総裁としても、就任以来続けている異次元の金融緩和策を続けています。金利についてはゼロ金利政策の継続、そして量的緩和政策については、イールド・カーブ・コントロールという概ね10年の国債を0.0%に安定させる政策を続けています。
このようなことから、低利で、潤沢な資金を金融市場にばらまいていると言えます。米FRB(連邦準備理事会)で良く言われたヘリコプターマネーのように思えます。欧米中央銀行のように、量的緩和の縮小といった議論が湧き上がる状況には決してないように思えます。為替ではこのようなことで、円はゼロ金利にへばりつく状態、ドルはFRBが利上げに踏み切り、量的緩和縮小の方向にあるため、中期的には日米金利差拡大の円安に振れやすい状況が続くと言えます。

そして日銀の金融政策が続くと見込めることから、企業の投資意欲は強いのではないのかと思います。GDPの内訳を見ると、設備投資0.2%増と僅かにプラスを保っています。輸出中心の良い企業業績が見込めます。
そして成長分野への投資、例えばAIや、電気自動車への移行が急ピッチで進んでいる自動車産業分野など、この辺りへの投資を進める企業は、海外投資家の目にも留まります。
日本企業は日々研究開発を怠っておらず、常に新技術、新製品の開発に勤しんでいます。このようなことが結果的に、21年ぶりの日経平均高値水準と言うことに繋がったのではないのかと思います。
勿論海外投資家の資金がけん引役になったことも要因と言えます。

そこで最初の議論に戻りましょう。日本ではMRFに大量の資金が滞留し、そして世界の運用会社では過去最高の水準になっています。投資家はどうしても運用利回りの高い金融商品に振り向ける傾向にあります。これは当然の投資心理と言えます。
しかし株式市場にしても、大きな変動を過去には見受けられたので、リーマンショック後の株価の下落は印象的でした。株価上昇時の利食いを実行した資金は、MRFで次の出動を待っていますが、高値警戒感もあり、投資家は心理的に積極的な株式投資には躊躇します。高値警戒感がある時代であるからこそ、ハイリスク、ハイリターンな金融商品よりも、ミドルリスク、ミドルリターンな金融商品に注目すべきではないのかと思います。
ローリスク、ローリターンなMRFでは、利益を生めません。

その点、クラウドファンディングの金融商品は、5.5%から6.5%の金利を安定的に受け取ることができます。
太陽光発電、バイオマス発電、不動産投資など、証券化ファンド組成上の優先劣後の構造を利用したメザニン投資(中二階投資)に特化しています。負債サイドの銀行借り入れに次ぐ順位の投資のために、投資利回りが高くなる仕掛けとなります。
クラウドファンディング商品を、株価が上昇している時だけに、リスク分散して適度にポートフォリオに組み込む時期ではないかと思います。

«記事作成ライター:水谷文雄»
国際金融市場に精通するInvestment Banker。
スイス銀行(現UBS銀行)にて20年余に亘り外国為替および金利・債券市場部門で活躍、
外銀を知り尽くす国際金融のプロフェショナル。新興の外国銀行(中国信託商業銀行 )の
東京支店開設準備に参画しディーリング・ルームの開設を手掛ける。
プライベートではスペインとの関わりを深く持つ文化人でもあり、
スペインと日本との文化・経済交流を夢見るロマンティスト。


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