「バブル以来の景気拡大」「26年ぶりの株価高値」。なのに、なぜ証券会社も銀行も儲かっていない!?


 

久しぶりに筆者のもとにやってきた証券マンA氏が、あいさつもそこそこに「ボーナスが半減なんですよ」と嘆きます。

「えっ、どうして? われわれ小市民は景気拡大を実感できなくても、金融関連の人々はバブル以来の景気上昇や株価上昇に浮かれているんじゃないの?」……。そう問い質す筆者に、証券マン氏は浮かない表情を浮かべます。
今回はその証券マン氏が教えてくれた昨今の金融界を取り巻く環境について、その時のやりとりを再現しながらご紹介することにしましょう。

 

景気拡大と騒いでいるわりに金融業界は儲かっていない?

 

いまどきの証券会社が「ボーナス半減」なんて、それこそ嘘のような話にしか聞こえませんよね。しかし、証券マン氏は真顔でこう聞いてきたのです。

証券マンA氏 :「証券会社は、何で儲けを出しているかご存じですよね」
筆者:「そりゃあ知っていますとも。株式などを売買した際の手数料だよね」
証券マンA氏 :「はい、その通りです」
筆者 :「26年ぶりの高値をつけたとテレビや新聞で報じられているように、これだけ株価が上がっているんだから株取引も活発で、さぞや儲かっているんじゃないの?」
証券マンA氏 :「いや、それが正反対なんです。株価は売りたい人と買いたい人の需給で決まりますから、取引数や出来高とは関係ないといっても過言ではありません。いまは取引数がすごく少ないんです」
筆者 :「えっ、どうして!? 」
証券マンA氏 :「北朝鮮問題をはじめ世界情勢の不安定な状態が続いている時、日本人の多くは、〈いまは下手に動かず静観しよう〉という心理状態に陥るケースが多いのです。なので、プレイヤーがいない状態が続いていまして……」
筆者 :「そうすると、手数料が減って……」
証券マンA氏 :「はい、ボーナスが激減するわけです」

 

銀行マンのボーナスも減っている!?

 

さらに、証券マンA氏と筆者の会話は続きます。
証券マンA氏 :「証券会社はまだましなほうで、一部の銀行はもっとひどいのではないでしょうか?」
筆者 :「それこそ、えっ?だよ。でもどうしてなの?」
証券マンA氏 :「ズバリ、日銀のマイナス金利です。これまでの銀行は日銀の国債を買ったり、日銀に当座預金を預けるだけで金利がついていました。金利がすごく低くても、扱う量が何兆円といった単位ですから、金利もそれだけに大きな金額になります。これまではそれでたくさんの行員を養えていたのですが、その原資がマイナス金利政策で根こそぎ奪われたわけです」
筆者 :「それが、大手銀行が発表している支店統合につながっている……」
証券マンA氏 :「その通りです。住宅ローンの利ざやも上がらないので、大手銀行は撤退の動きを見せていますし、企業の資金需要は大きくはありません。そうするともう売るものがないのです」

 

欧米の銀行と日本の銀行が大きく異なる点

 

筆者 :「銀行が大きく変容している様は、ここ数年話題にもなっているよね」
証券マンA氏 :「そもそも日本のように〈お金をただ預かってくれるだけ〉という銀行は、欧米には存在しません。欧米ではお金を口座に預けたとたん、すぐに〈どう運用しましょうか〉と相談を持ちかけられます。つまり欧米の銀行はお金を預けるところではなく、あくまでも〈投資〉の窓口機能を果たすところなのです」
筆者 :「なるほど。映画などでも個別の銀行員と顧客が大きなテーブルで話をしているシーンをよく見ますね」
証券マンA氏 :「ええ。ただし、いまの日本でお金を預けている人に銀行員が投資信託を少しすすめるくらいでは話になりません。日本の銀行はこれまでの経緯から、投資についてはまだまだ始まったばかりの状態でもありますので、もう何を売ったらいいのかわからない銀行員が多い……。それが実態なんです」
筆者 :「銀行員がそういうふうに育ってきていないということだね」
証券マンA氏 :「はい。そこに気がついた大手フィナンシャルグループの中には、採用時から銀行、証券のジャンルに分けずに新卒採用をするところも現れ始めました。要は、適性を見て振り分けていくわけです。これは日本で非常に正しい取り組みだと僕は考えているのですが、とはいえ、まだまだ採用する側もされる側も〈銀行に入れないから証券会社〉という古い意識にとどまっているケースがほとんどです」
筆者 :「すると、このままでは日本の銀行は危ない……ということ?」
証券マンA氏 :「内外でそう感じている人は多いと思います。経営体力がない銀行は特に、統合を繰り返さない限り、今後生き残っていけないのではないのではないでしょうか」

 

ビットコイン狂奏曲は、この先どうなる?

 


 

筆者 :「ビットコイン等の仮想通貨の行く末は?」
証券マンA氏 :「最初の志はよかったのですが、一証券マンとしては、ビットコインは時代に咲いた“あだ花”だと思っています。ビットコインとは要はポイントのようなもので、1ビットコインのコンセプト自体、各国の通貨を経由しなくても同じ価値で自由に取引できるというものでしたが、それがいつしか投機の対象になってしまいました」
筆者 :「最近では大手家電量販店でもビットコインを使えるようになっているしね」
証券マンA氏 :「ええ。でも仮想通貨の実態は土地や企業と違ってもともと何もないもの。つまりゼロなんです。それゆえ消滅のリスクがあります」
筆者 :「つい先日もビットコインの暴落が話題になりましたね」
証券マンA氏 :「そうですね。現在多くの日本人が投資をしていますが、取引所が登録制になったからといって、安定を意味するわけでも国が保証してくれるわけでもありません。もともとが無価値ですから、〈ある日、突然、取引所ごと消滅〉といった事態が起こりえることは、常に念頭に置いておかなければならないでしょう」

──このやりとりは、あくまで一証券マンと筆者の雑談の一部をまとめたものです。証券会社のほとんどがボーナス半減というわけでもないでしょうし、銀行の取り組みも日々進化・変容しています。しかしながら筆者にとっては、とても勉強になった雑談=商談でした。みなさんはどう感じたでしょうか。

≪記事作成ライター:前田英彦≫
同志社大学工学部(現理工学部)出身。株式会社リクルートに11年間在籍、広報室マネジャーなどを経て独立。数々の起業家、創業経営者との出会いを通して、日々成長中。独立時に設立した会社は現在18期目を迎えている。「『レジを打ったことのない人間に小売りの何がわかる!』と流通業の顧客に言われて悔しかったことがきっかけで、たい焼き屋も展開。大学を卒業して30年。突如理系仕事に目覚め、最近では製造業の職人になってしまったという噂も。ダルメシアン、テニス、ゆで卵を愛す。


再生エネルギーならクラウドバンク

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です