証券投資といえば、証券会社が運用する投資信託や株式を思い浮かべますが、ここ最近、市場に連動する「ETF」という上場投資信託の人気が高まっています。
金融緩和の一環として、日本銀行が年間約6兆円のETFを買い入れているため、その名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
いま注目のETFとはどのような金融商品なのか、その仕組みや特徴、一般的な投資信託との違いなどをまとめてみました。
運用の透明性が高いシンプルな設計の投資信託
ETFは「Exchange Traded Funds」の略で、株式のように証券取引所に上場している投資信託の一種(上場投資信託)です。
証券会社が運用する一般投資信託とは異なり、ETFは日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などの値動きが、そのまま連動する仕組みとなっています。たとえば、日経平均が1%上昇すれば、ETFもそれに連動して1%上がるというわけです。
仕組みが比較的シンプルでわかりやすく、株のように投資する企業を選ぶ必要もありません。
また、ETFは市場が開いている時間内であれば、リアルタイムに変動する相場価格で売買できます。日経平均やTOPIXの値動きは、ニュースやネットなどで簡単にチェックできますので、市場の動きに合わせてパフォーマンスが把握しやすく、運用の透明性も高いといえるでしょう。
保有コストが低く分配金の信頼性も高い
手頃な資金で投資できる点や、保有コストの低さもETFの大きな魅力です。
銘柄にもよりますが、ETFは1万円程度から投資でき、保有中にかかるコスト(手数料、信託報酬)も年間1%未満と、一般投資信託(4~5%)と比べるとかなり低めです。たとえば、日経平均に連動するタイプの場合、保有コストは年間あたり0.2%程度となっています。
また、定期的に分配金が支払われる一般投資信託と同様に、ETFも運用収益(株式の配当や証券の利回りなど)の一部を分配金として受け取ることができます。
一般投資信託のなかには運用益を上回る特別分配金を支払い、その分、元本が目減りするものがありますが、ETFの分配金は、ファンドの運用益内で支払うよう法律で定められています。
一般投資信託の場合、「分配金が多く支払われているから安心」と思っていたら、いつの間にか元本価格が大きく下落していた……という話をよく耳にしますが、ETFで支払われる分配金は純粋な運用利益ですから、元本が削られることはありません。
銘柄の選択や分配金の再投資には注意点も
ETFは保有コストの低さや、リアルタイムで売買できる点が最大のメリットですが、注意しておきたいポイントもいくつかあります。
たとえば、日経平均に連動する8銘柄の1日あたりの平均売買代金(2016年9月)を比較すると、最も売買代金の多い銘柄と少ない銘柄では、なんと1万6000倍もの開きがあります。よって、手数料の低さだけで銘柄を選ぶのは、あまりオススメできません。
とくに、売買代金が少ない銘柄は売買したいタイミングに取引が成立せず、なかなか売買できないケースもあるので要注意です。
また、一般投資信託には分配金を再投資に回せるオプションがありますが、ETFにそのような仕組みはありませんので、再投資する場合は自分の手で行う必要があります。
さらに、ETFの売買は一定の取引単位で行われるため、1回の分配金ではその額に届かず、すぐに再投資できないケースもあります。それでも再投資したければ、売買の取引額に達するまで分配金に手を付けず、地道に貯めていくしか方法はありません。
もちろん、分配金が出れば、少なくとも運用成績がプラスになっているとわかるので、これは大きな安心感につながりますよね。
加えて、「仕組みのわかりやすさ」「運用の透明性」「かかるコストの低さ」などを総合的に考えると、その魅力やメリットは大といえるでしょう。
中長期的な資産形成の投資先として、堅実な運用実績が見込める上場投資信託「ETF」。
投資のビギナーはもちろん、次なる投資先や金融商品を探している人も、まずはチェック&検討してみる価値は大いにありそうです。
≪記事作成ライター:菱沼真理奈≫
約20年にわたり、企業広告・商品広告のコピーや、女性誌・ビジネス誌などのライティングを手がけています。金融・教育・行政・ビジネス関連の堅い記事から、グルメ・カルチャー・ファッション関連の柔らかい記事まで、オールマイティな対応力が自慢です! 座右の銘は「ありがとうの心を大切に」。
Follow Us