先月(2017年11月7日)、東京株式市場の日経平均株価が4営業日続伸し、終値は2万2937円60銭とバブル崩壊後の高値を更新。
1996年6月26日につけたバブル後の最高値(2万2666円80銭)を上回り、1992年1月9日(2万3113円64銭)以来、約26年ぶりの高値水準となりました。ニュースなどでも大きく報じられましたので、ご存じの方も多いでしょう。
高値を更新した11月7日以降、平均株価は一時続落したものの、最近の上昇基調に乗って2万5000円台を期待する声も上がっていますが……果たしてこの勢いはどこまで続くのでしょうか。
20年間で3万円超の値動きをした日経平均株価
まずは、日経平均株価の値動きを1980年代から追って見ていきましょう。
これまでにつけた日経平均株価の史上最高値は、バブル絶頂期の1989年12月29日に記録した3万8915円87銭。その翌年からバブル崩壊による景気悪化とともに下落基調が強まり、2003年4月28日にはソニーショックの影響で7603円76銭まで落ち込みました。
その後、一時的に値が上昇する局面はありましたが、2008年10月28日にはリーマンショックを発端とする世界的な金融危機により、1982年以来の最安値(6994円90銭)を記録。2010年代前半まで低迷を続けた平均株価は、2013年にスタートしたアベノミクスや、日本銀行の異次元緩和によって上昇基調に転じ、2015年4月には約15年ぶりに2万円台を回復しました。
日本株の株価上昇を後押しする外国人投資家
そして今年(2017年)10月、日経平均株価は史上初の16連騰(16日連続上昇)を記録し、同月27日には約21年ぶりに2万2000円台(2万2008円45銭)を回復。その勢いで平均株価は4営業日続伸し、11月7日にバブル崩壊後の高値更新となったわけです。これまでにないアクティブな値動きに、市場では「中長期的には2万5000円台を目指す展開になる」と期待する声も。世界景気の回復とアベノミクスを背景に進行してきた株高局面は、大きな節目を超えたとの好ムードが広まっているようです。
こうした株価上昇の動きを後押ししているのが、売買高の過半を占める外国人投資家です。日本株は円相場の変動による影響を受けやすいものの、ここ最近は1ドル113円前後で安定傾向に。米国では年末の利上げ観測が強まり、日米の金利差が広がれば円安・ドル高になりやすいため、日本株に注目する海外の投資家が本格的に買いに入ったとみられています。さらに、今年10月の衆院選で自民党が圧勝し、安倍政権の金融緩和策で株価上昇が明確になったことや、大手上場企業の業績が最高益を更新していることも好材料となったようです。
バブル後の失われた20年を取り戻したに過ぎない……?
約26年ぶりに高値となった日経平均株価ですが、「バブル崩壊後の失われた20年を、ようやく取り戻したに過ぎない」と冷静視する声も聞かれます。たしかに、過去20年で株価が数倍に上がっている主要国と比較すると、日本の市場がまだまだ見劣りするのは否めません。たとえば、1996年時点と比べて英国の株価指数は約2倍、中国・上海の株価指数は約4倍、米ダウ工業平均株価も約4倍と、過去最高値を次々と更新。株価が上がっているにもかかわらず、日本国内の経済にあまり高揚感がないのも、「バブル後の時点に戻っただけ」だからなのかもしれません。
また、今回の株価上昇には日本銀行も大きく関わっています。アベノミクスの量的質的金融緩和において、日銀は株式上場投資信託(ETF)を約6兆円購入していますが、これが日本株価の底支えとなっているのです。言い換えれば、最近の株高局面は「官制相場」の様相も強いということです。
株価が見せかけで上がっているのか、好調な企業業績に見合って上昇しているのか……。いずれにせよ、株価がいくら上がっても景気の上昇が実感できなければ、一般庶民にとっては絵空事に過ぎません。北朝鮮情勢や不安定なトランプ政権など国際的な不安材料は尽きませんが、今後は国内企業に対する成長支援政策など、産業界への力強いテコ入れも重要課題となってくるでしょう。そして、実質をともなった健全かつ中長期的な株価上昇とともに、その経済効果が国民一人ひとりに還元されることを願うばかりです。
※参考/日本経済新聞、産経新聞、朝日新聞
≪記事作成ライター:菱沼真理奈≫
約20年にわたり、企業広告・商品広告のコピーや、女性誌・ビジネス誌などのライティングを手がけています。金融・教育・行政・ビジネス関連の堅い記事から、グルメ・カルチャー・ファッション関連の柔らかい記事まで、オールマイティな対応力が自慢です! 座右の銘は「ありがとうの心を大切に」。
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