「脱炭素」が握る投資マネー。日本企業は、果たしてこの流れに乗れるか?


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局地的豪雨、圧倒的規模のハリケーン、あらゆる生命体が生彩を失うひどい干ばつなど、世界中で異常気象が続き、深刻な問題となっています。

地球温暖化への警鐘はとどまるところを知らず、世界的レベルでCO2(二酸化炭素)など温室効果ガスの排出防止が求められています。

2015年の「気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)」で、2020年以降の温暖化対策の取り組みが「パリ協定」として採択されてから、2年が経過。フランス、カナダなどは石炭の火力発電を廃止し、アメリカのトランプ大統領はまさかの「パリ協定」脱退ながらも、アメリカを含む世界のビジネス界は「脱炭素」に向かっています。「脱炭素」への目標を掲げることが企業成長のカギを握り、巨額の投資マネーが動くからです。一方、日本へは厳しい見方が相次いでおり、日本企業がこの動きに乗って行けるのかが、危惧されている状況です。

 

「脱炭素」をめぐる動き

 

まず、「脱炭素」について確認しておきましょう。
地球温暖化の原因であるCO2などの温室効果ガス排出を防ぐために、石油や石炭などの化石燃料を使用しないことが「脱炭素」です。これまでも太陽光発電を利用したり、バイオマスエネルギーなどの再生可能エネルギーを使うことで、世界中で低炭素化が図られてきました。

日本政府は、2030年に温室効果ガス排出量を2013年度と比較して、26%削減することを目標としています。家庭を含めた社会全体での削減が必要とされ、「COOL CHOICE」運動を推進中。エコカー、省エネ住宅、省エネ家電などの低炭素型製品を選択することで、ライフスタイルの見なおしにもなると勧めています。

主な企業も温室効果ガス削減目標を掲げていますが、そのスピードや対応内容にはバラツキがあるのが実状です。2017年11月、ドイツで行われた「気候変動枠組条約第23回締約国会議(COP23)」において、火力発電を扱う日本企業への風当たりは強く、日本は「環境後進国」のレッテルを貼られてしまいました。日本企業は脱炭素社会の実現において、どう対応していけばよいのでしょうか。

 

注目される企業の温暖化対策

 

2014年より、環境NGO「世界自然保護基金(WWF)ジャパン」では、日本企業の業種ごとに温暖化対策ランキングを順位付けして発表。これは各企業が公開している環境報告書やCSR報告書などの情報に基づき、温暖化対策の実効性を評価するという試みです。
長期的なビジョン、削減量の単位、省エネルギー目標など、第三者による評価を含めた7つの指標で、実効性を重視した取り組みを評価。「電気機器」編を筆頭に、これまで「輸送用機器」編、「食料品」編、「小売業・卸売業」編、「金融・保険」編を発表してきました。

 
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たとえば、2015年2月発表の「輸送用機器」編では、日産自動車が総合得点100点満点のうち、87.5点を獲得して1位に。
一方、トヨタ自動車は長期ビジョンがないことなどから63.9点で4位となりました。この発表を受け、トヨタはすぐに対応。2015年10月には新車のCO2排出の9割低減や工場のCO2排出ゼロにチャレンジすると公表しました。

企業対応評価で世界的に有名な国際NGO「CDP」では、運用資産総額100兆ドルにもなる800以上の機関投資家が連携して世界の企業にアンケートを行っています。特に優れた対策をしている会社は「Aリスト」に選定されます。これは温暖化対策に積極的な企業だと認められた証拠。「Aリスト」入りにより、投資家から資金提供のチャンスが訪れるというわけです。

 

潮流は、もはや“低炭素”ではなく、あきらかな“脱炭素”へ

 

COP23に出向いた日本企業の訪問団に密着するNHKスペシャルの「激変する世界ビジネス“脱炭素革命”の衝撃」をご覧になった方も多いのではないでしょうか。世界の最先端の技術を持ち、信頼性が高いと思われていた日本ですが、今では中国を中心とした再生可能エネルギーに実績を持つ国や企業に巨額の投資マネーが向けられているとのこと。40基以上の石炭火力の増設計画があり、いまだに石油や石炭、そして原子力などのいわば“旧エネルギー”に固執している日本に世界から厳しい目が向けられる実態を、番組では報じたのです。

「パリ協定」で掲げられた目標は「産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑える」です。目標をクリアするために、2017年11月、イギリスとカナダの主導で「脱・石炭火力連盟」が結成され、フランス、イタリア、アメリカ・ワシントン州、カナダ・オンタリオ州など27か国・地方政府が参加。イギリスとフランスでは、2040年までにガソリン車の販売を禁止すると決定しました。
温室効果ガス排出の実現ゼロを目指し、世界的な潮流は、もはや“低炭素”ではなく、あきらかな“脱炭素”となったのです。

 

脱炭素社会の実現に向けてシフトする投資

 

話を、NHKスペシャルの番組に戻しましょう。アメリカの大投資家である大手保険会社の幹部がこんな話をしていました。
『── 近年、アメリカで発生している巨大ハリケーンや大規模な山火事などに対する保険金の支払いが莫大な額になっている。このままでは保険会社は支払い不能により倒産の危機に瀕することになり、保険システムそのものが成り立たなくなる。そこで、地球温暖化を少しでも阻止する脱炭素社会を実現するために、全力で再生可能エネルギーを推進する国や企業に投資を行い、支援していく。逆に、再生可能エネルギーに力を入れない国や企業からは投資を引きあげる ──』
地球温暖化という環境における課題だけではなく、ウォール街の巨額な投資の流れさえも確実に、 “脱炭素”へシフトしていたのです。

日本企業の訪問団が愕然としたのは言うまでもありません。日本の低炭素社会実現への意識は、完全に世界から出遅れていたのです。このままでは、日本は世界から取り残されてしまう……。日本企業のトップの顔には危機感が表れていました。日本企業の訪問団は帰国後、社内でセミナーを行い、意識改革を推進していきます。

── 2011年3月11日に起こった東日本大震災、福島第一原子力発電所の事故は、エネルギー問題への注目を集めることにもなりました。それから6年が経ち、まもなく7年を迎えようとしている昨今、世界的な脱炭素社会への動きはますます大きくなり、投資マネーが関わることでさらに大きな革命をもたらしていくはずです。
日本は果たして世界から取り残されず、巻き返しを図ることができるのでしょうか。太陽光エネルギー、風力発電、水力発電など、再生可能エネルギーにさらなる実績を積み上げ、画期的かつ革命的な対応ができるのかどうか。日本の企業の技術、努力、そして意識にかかっているといえそうです。

≪記事作成ライター:山本義彦≫
東京在住。航空会社を定年退職後、介護福祉士の資格を取得。現在は社会福祉法人にて障がい者支援の仕事に携わる。28年に及ぶクラシック音楽の評論活動に加え、近年は社会問題に関する執筆も行う。


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