ドル金利高そしてドル高が新興国経済に及ぼす影響!


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今回はドル金利高、ドル高が新興国経済と企業に及ぼす影響について考察したいと思います。ドル金利高は、これまで低利で資金調達できた新興国経済には大きな打撃と言えます。この問題の考察をする前に、パウエル新FRB(米連邦準備理事会)議長は、初めての議会証言に臨まれ、基本的な方針を示されましたので、このことに少し触れたいと思います。

パウエル議長は、下院での議会証言で、「経済が堅調であり、さらなる段階的な利上げが最善である。今後2年間は良好な経済環境を予想している。2%のインフレ目標は利上げの余地を設ける目的で設定している。」等と証言されました。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙等で、詳細を読むと、自身が保有しているデータからは、経済成長を続け、そしてインフレ率も上昇すると確信されているようであり、3週間以内に提出するFRBプロジェクションで、金融政策の方向性を明確にするとの発言をされていたようです。金融市場は、パウエル議長が、予想よりタカ派寄りの発言内容であったと解釈しました。米10年債利回り2.90%まで上昇、3.00%が視界に入ってきているようです。
また筆者が注目しているドル短期金利先物ユーロドル(3ヶ月物)は12月限2.535%まで利回り上昇の動きとなっています。この水準は、今年FRBが年4回(0.25%毎)政策金利(フェッド・ファンド・レート)を引き上げた場合の水準2.50%を既に上回っています。つまり現時点で既に年4回の利上げを織り込んでいると解釈できます。
筆者は、短期金利の上昇ペースから、今年は3回ではなく、4回利上げが実施されると2月に入り思っていました。またパウエル議長が今後2年間は良好な経済環境が続くと予想されていることから、来年も利上げセッションが続くのではと確信しています。来年には3%を超えるフェッド・ファンド・レートの水準を見ることになるのではと推測します。そしてドル金利上昇することから、資金的にはドルへの資金シフト、つまりドル高相場が為替相場理論からは解釈されます。こんなことを前提に、新興国経済への影響を考察してみたいと思います。

これまで低金利で資金調達出来ていた前提が崩れ始めています。世界の企業によるドル建ての借金は、2017年末現在で、米国企業を除き6兆ドル(約640兆円)と10年前の2倍以上と言われている。単純に計算して1%の金利上昇で600億ドル(約6兆4000億円)の負担増となります。経済が順調に成長して行けば問題ないが、今後新興国が景気後退などの局面に陥ると、たちどころにほころびが生じるのではと推測します。

国別でドル建て債務のGDP比率で見ると、メキシコ、南アフリカ、ブラジル、インドネシア、トルコ、インド、中国等が高いと言えます。特にドル資金調達比率が最も高いのがメキシコです。統計ではここ10年で約2倍増えていると言えます。メキシコはNAFTA(北米自由貿易協定)で、トランプ政権になって、米国との摩擦が増しています。
トランプ政権はNAFTAの見直しに言及しており、これまでように米国との貿易を、関税なしの条件に続けられるか不透明になっています。NAFTAが不透明になったことで、メキシコ企業がこれまでドル資金調達で設備投資していた状況に変化が出てくる可能性があります。ドル金利高は企業には大きな負担となるでしょう。そしてこれまで通りメキシコで生産した商品が問題なく関税なしで国境を越えて米国に輸出できる保証がなくなる懸念があると思います。その結果、メキシコ経済が低迷する可能性があるのではと懸念されます。
これまでは企業成長できるという前提で設備投資資金をドルで低利で調達してきましたが、金利高、ドル高で企業の足元がぐらつく可能性が出てきます。メキシコの現在の政策金利は7.50%です。金利差の妙味でドル調達の方針で資金調達していた状況から徐々に変化してくることが予想されます。国内資金で調達しても高い金利負担を強いられ、資金担当者、そして企業経営者にとっては頭の痛い問題に直面すると予想されます。それはメキシコ経済の綻びにつながりはしないか、今後の進展を見守りたいと思います。

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南アフリカはメキシコの次にドル調達比率が高いです。そして10年前と比べても3倍近い調達額となっていて、アフリカ経済発展の牽引車としての役割を果たして来ました。鉄鉱石、貴金属など資源が豊富なことで、先進国がこぞって投資してきたため、国内産業が育ってきたようです。
政権がこれまで不安定でしたが、ズマ大統領からラマポーザ新大統領に今月交代し、政治の安定が期待されます。しかし資源輸出に頼った経済は安定しているようです。中央銀行のある南ア準備銀行の政策金利6.75%とこちらも新興国であることから高い水準にあります。米政策金利上昇の影響をメキシコと同様に大きく受けそうです。今後ドル金利高の影響を、経済成長との関係を見ることになります。そして資源輸出の経済構造を今後どの様に変化させてゆくかに注目したいと思います。

ブラジル、インドネシア、トルコ、インドの経済はさておき、中国を取り上げたいと思います。世界第2位の経済大国の中国も、企業のドル債務が膨張しています。対GDP比で約4%ですが、金額は17年末で4900億ドル(約52.4兆円)弱と、日本の約1495億ドルの約3倍となっています。中国の政策金利(1年物貸出基準金利)は4.35%ですが、米国の金利差から見るとまだ2.85%の金利差がある。
しかし、今年は1%縮小し、そして来年以降さらに縮小傾向が鮮明になると、借り換えを考え始めることになります。幸い中国経済は、巡航速度の経済成長を続けていることから、大きな負担にはならないのではと思います。

結論として、ドル金利高は新興国には大きな負担となりますから、今年は借り換えリスクが発生する危険性はあると言えます。借り換えができずディフォルト企業が出てくると、世界経済に混乱が生じてきます。そのような潜在的新興国企業リスクが出てくると、グローバルな株価の上昇にも一抹の不安を覚えることになります。

そのようなリスクに備えたミドルリスク・ミドルリターンのクラウド商品を皆さんのポートフォリオに加えることが賢明であると思います。株価が混乱している時期だからこそ、クラウド商品の有効性を再度認識したいと思います。

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«記事作成ライター:水谷文雄»
国際金融市場に精通するInvestment Banker。
スイス銀行(現UBS銀行)にて20年余に亘り外国為替および金利・債券市場部門で活躍、
外銀を知り尽くす国際金融のプロフェショナル。新興の外国銀行(中国信託商業銀行 )の
東京支店開設準備に参画しディーリング・ルームの開設を手掛ける。
プライベートではスペインとの関わりを深く持つ文化人でもあり、
スペインと日本との文化・経済交流を夢見るロマンティスト。


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