自動運転にみる車の未来【1】トラック自動運転化で“移動革命”始まる


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自動運転車とは、AIが周りの状況を把握し、人間の代わりに運転する技術をもった車のこと。

この自動運転システムの開発競争が、既存自動車メーカーだけでなくソフトウェア会社なども巻き込み、激化しています。
「車が動いているのに、運転席すらない──」。こうした未来型技術はすでに実用化されており、また一般車より先に、トラックなどで無人運転の実用化へ向けた検証が始まっています。これは社会問題化する運送業の人手不足や、地域の高齢者の移動手段の解決策として、移動サービスの高度化が必要不可欠だから。今回は、最近話題のトラックの自動運転の“いま”をお伝えします。

新車の90%は、自動ブレーキ搭載に

カーブの多い高速道路を走っていて、レーンからはみ出しそうになる──。
すると車が「自動的に」ハンドルを切ってくれて微調整してくれる。
あるいは、渋滞中にうっかりよそ見をしていて前の車にぶつかりそうになる──。
すると車が「自動的に」車間距離を一定に保ち、ブレーキをかけてくれる。

こんな自動運転の未来を感じさせるテクノロジーが、次々実用化されています。
自動運転技術はレベルによって分かれますが、前述した操舵や制御などを「自動的に」行う「レベル2」の自動走行システムは、すでに市場化が急速に進んだ技術としてCMなどでもおなじみですね。

また、2020年には国内の新車の90%以上に自動ブレーキが搭載されると想定されています。さらに数十年後ともなれば現在の車の概念とはうって変わり、街のいたるところで「ドライバー不在の車」が走行している、と想定されています。

技術的側面だけでなく、自動運転に対する規制緩和の議論も活発に行われており、政府は2017年5月、国家戦略「官民ITS構想・ロードマップ2017」を決定。「自動車の根本的な構造については、今後10~20 年の間に、破壊的なイノベーションが起きると予想される」として、2020 年までにレベル3(特定された場所で自動運転化)の実現。さらに2025 年を目途 に、レベル4(特定の道路ですべての操作が自動運転化)の実現などを目標に掲げています。
この目標通り事が進めば、10年以内には私たちがいま目にしている道路事情が激変することになりそうですね。映画で見た未来の街が、もうそこまでやってきていることになります。

「移動革命」の一環、トラックの無人走行成功!

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自動運転化の流れのなかで実用化への第一歩を踏み出しているのが、高速道路での隊列走行や無人車両による、トラックの移動サービスです。これは政府が掲げる「移動革命」の一環で、物流の人手不足解消が期待されるなど、少子高齢化が進む日本の新たな経済戦略として注目されています。

2018年1月23日には、国内大手メーカー4社が開発したトラックを持ち寄り、新東名高速道路にて、後続無人・隊列走行の実証実験を行いました。今回の第1段階の実験では、3台のトラックが時速80kmで30mの車間距離を維持しながら15kmを走行。後続車に人は乗っていましたが、あくまでハンドル操作を行っただけ。アクセルやブレーキは操作しなかったとのこと。

ここでいう「トラックの隊列走行」とは、1台目のトラックにのみドライバーが運転し、2台目、3台目などの後続車両はドライバーなし(無人)で走行するというもの。先頭車と後続車は、自動走行システムで電子的に連結され、隊列を組んだ後続車は自動制御され、走行していきます。
アクセルやブレーキなど挙動情報から位置情報まで個々の自動車が持つ膨大なビッグデータや、革新的なAI技術を掛け合わせたものが自動運転技術であり、最初は時間、場所の限定的なサービスだとしても、そのエリアは少しずつ拡大されていくでしょう。

高速道路でのトラック隊列走行は、早ければ2022年の商業化を目指し、2020年に高速道路(新東名)での後続無人での隊列走行を実現する目標を掲げています。

自動運転化によって、産業構造が変わる?

こうしたトラックの自動運転化に向けた開発は世界中で始まっており、たとえばフォルクスワーゲングループは、去る6月25日に自動運転トラックが隊列走行を行い、積荷を届ける実証実験をドイツで開始したと発表。

また、ボルボは9月13日、運転席のない自動運転EVトラックコンセプトカー、「ベラ(Volvo Vera)」を発表しています。既存の自動車メーカーだけでなく、ソフトウェア開発会社やスタートアップ企業なども参入し、無人輸送の実現に向けて動き出していることがわかります。

2020年までに次世代都市交通システム(ART)が稼働!

日本では2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、BRT(バス高速輸送システム)に自動運転システムを搭載した「次世代都市交通システム(ART/Advanced Rapid Transit )」をオリンピックの会場周辺(東京臨海部)で2020年までに運行すると、経済産業省が発表しています。
●すべての利用者に利用しやすい新しい公共交通システムを構築
●ARTの核となる要素は、走行安全、客室内安全、渋滞緩和、CO2削減と速達性、快適性、定時制を両立させるための自動運転技術である
●2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を重要な一里塚とする

内閣府の主導の下、内閣官房、警察庁、総務省、経済産業省、国土交通省が連携した自動走行システムへの取り組みによって、まずは東京臨海部エリアにてARTが稼働することになりますが、経済産業省のHPでは以下の「ありたい姿と具体的な成果イメージ」を掲げています。

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※経済産業省HP「自動車走行技術を活用した次世代交通システムの資料」より引用

 

── 自動運転車の登場は、移動サービスをはじめとするビジネス・モデルを大きく変革し、さらには社会全体のあり方を変えていく可能性を秘めているといえるでしょう。喫緊の課題として、物流の人手不足や地域の公共機関の維持など、多くの社会問題を解決するために移動サービスの高度化は、もはや待ったなしの状況といえるのではないでしょうか。

●参考/「官民ITS構想・ロードマップ2017」「未来投資戦略2017」(内閣府)

≪記事作成ライター:ナカムラミユキ≫ 
石川県金沢市在住。広告制作会社にて、新聞広告を手がける。映画、舞台からメーカー、金融まで幅広い記事広告を担当。著名人インタビューや住宅関連、街歩きコラム、生活情報まで興味の赴くまま執筆しています。


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