少額からの資産運用!注目のソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)とは?


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2019年5月13日、内閣府は2019年3月の景気動向指数を発表し、基調判断を「悪化」として下方修正しました。

「悪化」となるのは2013年1月以来、6年2か月ぶりのことです。
一方、1週間後の20日には、今年1~3月期の国内総生産(GDP)が年率2.1%増と発表しました。専門家の間ではどちらの景気判断が正しいのか、さまざまな見解が示されているようです。
景気は拡大期と後退期を繰り返して推移していきますが、アベノミクスにより「景気が回復している」という声がありながら、認識としては「厳しい状況」であることに変わりはない模様。

さらに、平均年収は依然として減少傾向にあります。今年10月に予定されている消費税率10%への引き上げ、さらには少子高齢化の進行による2050年問題、やがて来る年金制度の破たんなど、日本は実にさまざまな問題を抱えているといえるでしょう。
そこで、重視されるのが個人の資産形成です。5月22日には、金融庁が「資産寿命」について指針案をまとめました。将来のために、自ら資産運用をせざるを得ない時代が確実に到来しているのです。

預金は、資産運用のうちには入らない?

世界的な資産の内訳比率を見ると、日本は預金比率がきわめて高いといわれています。ただ、銀行預金の利息の実状は相変わらず低いため、タンス預金とあまり変わりはありません。預金をする理由のひとつに次のように理由が挙げられます。

「お金はもっているけれど、それを運用するにはどうしたらよいのか正直わからない」

こうした人々は、資産運用となると投資や株式などをイメージしがちのよう。一般的に金融商品には難解な専門用語が多く、予備知識や経験が必要とされるため、あまり身近には感じられないのではないでしょうか。そのため、資産運用が必要だと理解していても「素人には難しい」という感覚が定着しているのかもしれません。

ところが、今ではスマートフォンが1台あれば、さまざまな金融商品の取引ができる時代。預金通帳のない銀行を使いわける人も多いですね。こうした人は、インターネットという便利な通信技術の発達とPC、スマートフォン、タブレットなど技術的に優れた製品の流通によるさまざまな使い方を、上手に使いこなしています。ネットを使うことにより、時間や場所の制限がなく、スピーディに操作できることが評価されているのです。

知名度が上がっているクラウドファンディング

昨今、「夢を実現する」「よいアイディアを応援する」ための資金調達のひとつの方法として、一般的に認知されてきたのが「クラウドファンディング」です。「クラウドファンディング」のキーワード、つとに知名度が上がっていますね。

この「クラウドファンディング」は、ネット上で不特定多数の賛同者から資金を集め、出資者にはモノやサービスなどのリターンがあるというしくみですが、リターンが金利などの金銭となる場合は、投資商品としてのファンドとなります。事業者も増えていて、いずれも少額から始められるのが魅力のよう。
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では、投資のひとつであるクラウドファンディングについて見てみましょう。
クラウドファンディングにはいくつかの種類があり、大きく3つのタイプに分けられます。
■購入型
ある企画に賛同する人が資金を出資して支援し、リターンとして商品やサービスなどを受けるタイプ。
アイディアや夢を実現したい側にとっては資金を集める絶好の場であり、その発想に賛同して出資する側はプロジェクトの成功に立ち会える場ともなります。店舗を開いたり、アイテムを開発したり、特産品を販売するなど、さまざまな発案・企画があります。

■寄付型
ある企画に対して、賛同する人が資金を寄付するタイプ。社会貢献的な意味合いが高いものが一般的。
震災の復興支援、恵まれない子どもたちへの活動支援、動物殺傷ゼロの活動などさまざまな例があり、リターンは特にありませんが、その企画を通じて被災地が復興していくさまや、子どもの成長などを見守ることができ、お礼に写真や手紙が来る場合があります。

■融資型
購入型や寄付型と違って、金銭でのリターンがあるのが大きな特徴。
日本では「ソーシャルレンディング」という名で認知度が高く、投資家から集めた資金を企業などに融資して得た利回りを分配するしくみです。個人が少額から投資できるのがポイントで、不動産や海外、再生可能エネルギーなどのファンドがある投資商品になるため、リスク管理も必要になります。

資産運用に人気のソーシャルレンディングとは

予備知識がなくても誰でも簡単に、しかも着実に資金を増やすことができる金融商品として人気を集めているのが「融資型クラウドファンディング」です。日本では「ソーシャルレンディング」として知られ、昨年中に投資された額は約1800億円といわれ、近年、大きな成長を遂げている投資方法のひとつです。

ソーシャルレンディングは、まずネットを通じて個人投資家から小口資金を募集します。その資金を集約して大口化し、企業や海外の金融機関に対して融資を行います。返済には利息があるため、利益が出ます。その利益を運用利回り分として個人投資家に分配する、というしくみです(※融資型クラウドファンディングの図式参照)。

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株式への投資などと比較すると、ソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)には、次のような特徴があります。
☑予備知識なしでも始められる
☑管理をする手間がいらない
☑少額から始めることができる
☑元本の保全性が高い
☑運用利回りが高く安定している

ソーシャルレンディングをおこなううえでの注意点

ソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)の運用年利回りは、平均で約5~7%。安定しているため、現在の市場では魅力的な商品・方法といえます。
ところが近年、ソーシャルレンディングの認知度が高まるにつれ、業者を騙った者による虚偽募集や、予定通りの利息を受け取れない……など、さまざまな問題生じているのも事実です。
ソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)では借り手を保護するために、法律上、融資する先を投資家には開示しないことになっていましたが、それをいいことに目的外に使われる事例が増えているのです。

そこで、虚偽の募集や架空の事業などをおこなった事業者に対して、金融庁は金融商品取引業登録の取り消しや業務改善命令を出すなどの行政処分をおこないました。

さらに、これまで匿名化されていた借り手企業名などを開示できるようにすると発表。具体的な内容についてはパブリックコメントを募集した後、検討に入っていく模様です。
この取り組みにより、ソーシャルレンディング事業者の健全化が図られ、投資家としては安心して取り組みができる体制が整いつつあります。しかし、自分の眼でしっかり業者を選別することが重要であることは変わりありません。

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── FXや投資信託、株式の取引などと違い、誰でも簡単に少額から始められる資産運用であり、投資未経験者には最適な金融商品だと人気のソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)。
金融庁が「自助」を勧めるのは、裏を返せば、今後は公的年金だけでは暮らしていけない世の中になると認めたことでもあります。資産運用を具体的に考えるためにも、IT、IoT、そしてAI化が進む環境で育まれたクラウドファンディングを利用してみてはいかがでしょうか。
もちろん、利用する際にはリスクもあります。高利回りなどの情報だけにとらわれず、手数料など商品内容や業者をよく見極め、個人の責任において判断をすることが大切だということも忘れずに……。

≪記事作成ライター:山本義彦≫
東京在住。航空会社を定年退職後、介護福祉士の資格を取得。現在は社会福祉法人にて障がい者支援の仕事に携わる。28年に及ぶクラシック音楽の評論活動に加え、近年は社会問題に関する執筆も行う。


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