ベテラン人気男優と、若手最旬・オスカー女優。この二人のギャラ格差は違法?


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ハリウッドにおける男優と女優の賃金格差が、あらためて世界の耳目を集めています。
その端緒は、史上最年少でオスカーに4度ノミネートの快挙を達成し、アカデミー賞主演女優賞に輝いたジェニファー・ローレンス。
映画製作大手会社からのハッキングメールにより、ヒット映画『アメリカン・ハッスル』出演時の報酬が、共演男優より低いことが明らかになったことが、そのきっかけになったそう。

こうした問題に端を発し、ハリウッド女優らが男優との賃金格差や、映画の配役決定権の透明化を求め、続々と声を挙げ始めています。
── 世界をかけめぐる男女賃金格差問題とは?
 

賃金格差の解消を目指す新法が成立

 
2015年10月、男女の賃金格差の解消を目指す法案を可決したカリフォルニア州議会。
この新法「Fair Pay Act」では、「まったく同じ職務の場合、性別で賃金を変えることは違法である」ことをうたい、さらに「肩書きは違っても、職務内容が似ている場合、男女の賃金は同じでなければいけない」とも言明。
しかし、同新法にあらゆる業界が当惑。当然ながら、男優に高いギャラ配分が慣習化しているハリウッドでも議論かまびすしく、様々な問題が表面化しているのです。
 

世界で最もギャラの高かった男優・女優

 
では、ギャラの格差はどれほどなのか。
第3位までの世界ランキング(米誌『Forbes』)をみてみると……。

2015年 ギャランティの高かった男優 1〜3位
第1位:ロバート・ダウニーJr.(米国)/約96億円 『アベンジャーズ』他
第2位:ジャッキー・チェン(香港)/ 約60億円 『新少林寺』『酔拳』他
第3位:ヴィン・ディーゼル(米国)/ 約56.4億円『ワイルド・スピード』他

2015年 ギャランティの高かった女優 1〜3位
第1位:ジェニファー・ローレンス(米国)/約64億円 『ハンガー・ゲーム』他
第2位:スカーレット・ヨハンソン(米国)/約44億円 『真珠の耳飾りの少女』他
第3位:メリッサ・マッカーシー(米国)/約28億円 『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』他

男女ともに、ギャラの判断基準は「その俳優の主演映画が世界的なヒットが見込めるか」によるそう。これは、ハリウッドにかかわらずインドのボリウッドをはじめとする世界各国共通の相場でもあるようです。
 

格差に一石を投じたJ・ローレンス

 
ハリウッドの因習に一石を投じたのが、『ハンガー・ゲーム』他の大ヒットによって、女優第1位のギャランティを獲得したジェニファー・ローレンスです。

冒頭で説明した通り、映画製作大手会社ソニー・ピクチャーズが『アメリカン・ハッスル』の男性共演者に、自分より高いギャラを払っていたことを知った時、ジェニファーは次のように発言。「ソニー・ピクチャーズに対してではなく、自分に対して腹が立った。私がすぐにあきらめて、ちゃんと交渉しなかったから」。さらに「これからは遠慮して、かわいらしくしたりせず、納得する出演料を勝ち取りたい」とも宣言。

この発言を受け、同作でジェニファーと共演した人気男優ブラッドリー・クーパーは、「素晴らしいことだ。(人気女優の)彼女が立ち上がったことで問題解決に弾みがつく」と、ロイター通信に語ったと報じられています。
 

二人を代表する3部作の興行収益を比較

 
女優第1位/ジェニファー・ローレンス主演の3部作『ハンガー・ゲーム』
その全米興行収益は、トータル 約2122億7174万9488円
●『ハンガー・ゲーム』:約448億3633万9780円
●『ハンガー・ゲーム2』:約847億8703万2967円
● 『ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス』:約826億4837万6813円

同じく、男優第1位/ロバート・ダウニーJr.主演の3部作『アイアンマン』
その全米興行収益は、トータル 約2631億7069万219円
● 1作目『アイアンマン』:約643億36万1209円
● 2作目『アイアンマン2』:約653億549万4505円
● 3作目『アイアンマン3』:約1335億6483万4505円

アメリカ合衆国内の興行収益だけで2000億円超えですから、地球規模ともなればその額はいくらになるのか……。途方もない数字になることは間違いありません。
 

ともにやんちゃな、ロバートとジェニファー

 
1965年生まれのロバート・ダウニー・Jr.は、世界で最もギャラの高かった男優ランキングで、トップの座に3年連続で君臨。オスカー主演男優賞は未冠ながら、その才能ゆえに私生活でも最も問題の多いスターの一人とされ、波瀾万丈の末に見事カムバックを果たしたロバート。
彼は『アイアンマン』シリーズ、『シャーロック・ホームズ』シリーズ、『アベンジャーズ』シリーズなどで抜群の知名度を誇り、2014年に始めたTwitterが、史上最速で100万フォロワーを獲得。これが世界記録保持者としてギネス登録された話はつとに有名ですね。

一方のジェニファー・ローレンスは、破天荒な言動とお騒がせの行動でも有名な1990年生まれの26歳。17歳でヴェネツィア国際映画祭新人俳優賞を受賞した際には、メリル・ストリープの再来かと世界の注目を集め、史上最年少でオスカーに4度ノミネートの快挙を達成。フィルモグラフィーは少ないものの、『ハンガー・ゲーム』3部作は、まさに彼女の名を全世界に知らしめた大ヒット作。ハリウッドのトップ女優に君臨した、名実とものスターといってよいでしょう。

両者に関してはいろいろな見方・比較ができると思いますが、いずれ劣らぬ大スターであることは間違いありません。ハリウッド業界が新法「Fair Pay Act」に則って、年齢、実績、スター性、将来性などを鑑み、ギャランティを横並びにするかは悩ましいところではないでしょうか? 皆さんはどう感じますか。
 

皆さんの会社や店舗の給与(報酬)基準は?

 
いずれにせよ、私たち庶民にとってはハリウッドのギャランティは、夢の世界で起きている話ともいえるもの。
利権渦巻くハリウッドは横に置いておくとしても、日本社会のなかで同じ仕事をしていて、周囲から同じ評価(成績、売り上げ)を得ている男女がいた場合、一方が、実績で定評あるベテラン男性スタッフ、もう一方が、将来を嘱望された20代の人気女性スタッフだったら、年齢・男女の差はなく、同じ給与(報酬)を得ることは可能でしょうか。
── もっと身近に、もし皆さんの会社や店舗にこのような二人が存在したら、その給与(報酬)は、きちんとした根拠に基き、均等に定めることはできますか?
 

≪記事作成ライター:岩城枝美≫
横浜出身。東京在住。大手情報サービス企業を29歳で退社後フリーランスに。教育、結婚、通信、金融、IT、住宅、ゴルフ系の出版物、Web、社史、社内報など、20年にわたりあらゆるジャンルの取材・執筆、ディレクションに携わる。


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