年金制度〈超〉入門 その2 ── 国民年金・厚生年金・共済年金を理解する


画像マネセツ073(古賀)/年金超入門その

「将来、年金は果たしてもらえるのだろうか?」。
年金問題に包括された先行き不安感……。
それは、結婚しても子どもを作らない、定職に就かない、パラサイト・シングルの増加、消費マインドの落ち込みといった様々な現象を生み出し、それら現象が渾然一体となり、「国民の活力が減退化している」といったマイナストーンの声が今日の日本を覆い尽くしているかのようです。

こうした不安感や不透明感を少しでも軽減するために、年金制度を理解するための整理を続けます。

前回、「年金制度〈超〉入門 その1」で、年金制度のわかりにくさのポイントである運営方法の違いを取り上げました。
「その2」の今回は、日本の年金制度が職業別に分かれている問題を取り上げます。
 

職業別の年金制度

 
日本の年金制度を職業別に分類すると、次の3つに分かれています。

「国民年金」:自営業や農林水産業、無業者や非正社員が加入
「厚生年金」:民間企業のサラリーマンやその主婦(主夫)が加入
「共済年金」:公務員とその主婦(主夫)が加入

もともと日本の年金制度は共済年金から始まっており、これは明治時代に制度化された「恩給制度」がルーツであり、国会議員、官吏、軍人などを対象としていました。

一般の人々(民間の労働者)のための年金制度が始まったのは、1942年に制度化した労働者年金保険から。これが厚生年金保険に受け継がれます。

「共済年金」「厚生年金」ともに、賃金収入によって保険料額が変わる仕組みで、所得比例方式と呼ばれます。賃金が多ければ多いほど保険料は多く支払わなければなりませんが、一方で、受け取る年金額も大きくなるメリットがあります。

「厚生年金」保険料の、賃金に対する比率は約16%ですが、「共済年金」は、それよりもやや低く設定されています。そして年金給付額も「共済年金」のほうが高いのです。
つまり、「共済年金」はそのルーツからして、相対的に豊かな人々のための年金制度ということができます。
 

国民皆保険なる、脆弱な制度

 
さて、この2つの制度だけでは、年金制度からこぼれた人々が大量に残されてしまいます。

戦後の日本が経済成長を成し遂げる中、サラリーマンや公務員だけが年金の恩恵に預かることができるのは不公平だ、という声が高まり、「国民年金」の制度が作られたのは、戦後となる1961年になってから。これによって、国民皆保険という制度が整ったのです。

「国民年金」は、自営業者や農林水産業従事者を対象としており、一般的にはサラリーマンや公務員より所得水準は低めです。このため保険料額、給付額とも「共済年金」「厚生年金」より小規模です。

また、所得の把握が難しいことから、保険料を所得に比例しない「定額方式」が取られています。したがって受け取る年金額も定額です。
現在「国民年金」の保険料額は所得にかかわらず、月額1万5000円程度で、受給額も40年間保険料を支払い続けた満額支給の人で、月額6万6000円程度と最低限の生活レベルに設定されています。
しかしこれは、低所得者には負担感が大きい逆進性の強い制度です。

また、「共済年金」「厚生年金」の保険料が源泉徴収として給料から天引きされるのと異なって、「国民年金」の保険料は、強制的に徴収されるわけではなく、「支払わなくても、年金がもらえないだけ」という、実質的には任意加入制度です。
これが国民年金の未納・未加入問題となっているわけです。つまり「国民年金」は、制度的にも運営基盤が脆弱なのです。
 

基礎年金制度の問題点

 
「国民年金」の財政悪化が進んだことを背景に、1985(昭和60)年には「共済年金」「厚生年金」「国民年金」を横断する制度が新しく設立されました。これが「基礎年金」制度です。

「共済年金」「厚生年金」「国民年金」の3つに共通した基礎部分(いわば1階の部分)を一元化しようという制度であり、全国民の共通の基礎的な年金を支給する制度として「国民年金」は刷新されたのです。

■「共済年金」「厚生年金」加入者は、1階部分の上に2階部分を所得比例のかたちで支払う
■「共済年金」「厚生年金」の加入者は、いまだに全額を所得比例のかたちで支払う
■「共済年金」「厚生年金」から基礎年金に拠出金が支払われるというかたち

この制度、実は「国民年金」の赤字を「共済年金」「厚生年金」に補填してもらうための仕組みになっています。
これはつまり、基礎年金制度は制度の一元化というよりは、財政悪化を続ける国民年金を財政支援するため。
ところが、これによって新たな矛盾が生じることになりました。次回で具体的に触れますが、ここにも制度設計の問題がありそうです。
 
 

≪記事作成ライター:帰路游可比古[きろ・ゆかひこ]≫
福岡県生まれ。フリーランス編集者・ライター。専門は文字文化だが、現代美術や音楽にも関心が強い。30年ぶりにピアノの稽古を始めた。生きているうちにバッハの「シンフォニア」を弾けるようになりたい。


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